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夜の自由帳

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夜に考える、ぐるぐるとした出口のないこととかの、集積所です。
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#空気

夜の粒子

夜の粒子

夜。
最近の札幌の夜は、大体2-4℃位。
本州の人には寒いと思われるかもしれないけれど、空気が乾いているせいか、あまり寒さは感じない。
最近は風が強くて、それが少し大きめのカットソーをはためかせていって、誰かの絵筆の軌跡みたいだ。
私はいつも黒い服を着ているので、夜の風にあたる時、自分の中の何かが黒い粒子になって、黒い服の一部と一緒に溶けだしていくように感じる。

夜の中を歩いているとき、このまま

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未来が来る

未来が来る

未来が現実に追いついてくる
喜ばしいことなのかもしれない
けれど、
未来がひとつ現実になるたびに、たくさんの、感情的に無限の、と言ってもいいけれど、可能性が殺されていく

可能性はイノセント
現実は暴力

ひとつ未来が現実になるたびに、可能性は過去の中の「在ったかもしれない」けれどももう実現することはない地平線の中に消えていく

未来は可能性を食べて生きている

友達と、過去の人でも「いい感じ」で

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藍のなかの黒の、夜空

藍のなかの黒の、夜空

夜空が暗いと安心する
特に札幌の冬の夜空は、キン、と凍りついたように冷たくて、暗くて鮮やかな藍のなかに、月明かりに照らされた雲が透けて見える

『青は藍より出でて藍より青し』という昔の言葉があるそうだけれど、わたしは藍色の方があおいと思う

暗い、凍ったあおい空から降る空気の中で、誰も私に触れられないような、誰にも触れられないような、人を孤独で覆うような夜の空に浸されていると、まるで自分が肯定され

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ネイビー、ピンク、オレンジ、ブルー

ネイビー、ピンク、オレンジ、ブルー

また、いつのまにか朝が来ている
いつだって明日が来る準備なんてできていないのに、空の色は変わっていって、当然っていう顔をして「今日」になって、人間たちがどこからから溢れてくる

夜からグラデーションを描く朝を、美しいと思う

誰にも踏み荒らされていない朝の空気はシンプルで清潔な気がするし(朝を「踏み荒らされていない」と感じるのはわたしが雪国育ちだからかもしれない)、陽が上り切る前の、朝の境界の時間

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