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【ハイレベル🔥】長期的な為替レートの決定理論について:国際金融論💶⑥

今後、定期的に投稿していく
【国際金融論】シリーズにおいては
私が現在熱を入れて学習している内容である
「国際経済学の分野」について学んだことを
アウトプットしていきたいと思います👍

前回の記事は、こちらになります

はじめに:モデルの導入前に

開放経済における対外取引は、財・サービスに係る「経常取引:Current Account」と
金融資産に係る「資本取引:Capital Account」に大別されるということはこちらの記事で解説しています💖

これらの取引の根本的な相違点は
次の2点です

  1. 資本取引の単位費用が
    経常取引の単位費用より小さいこと

  2. 資本取引の所要時間が
    経常取引の所要時間より短いこと

これらの相違から
国際取引に障壁(=資本規制や取引数量制限、莫大な取引費用の存在など)がない場合

内外の資産市場はほぼ常時均衡状態にある
見なせますが、国内外の財(サービス含む)
市場は必ずしも均衡状態にあるとは限らないのです
何より、資本の移動というのは
時間が掛かることが多いですからね

「金融市場における資本」とは少しニュアンスが違うかもしれませんが、材市場における資本を考えるみます
工場や家を建てる時間が1年以上掛かるケースが多いことに対して、鉄鋼原料が貿易される時間は相対的に短いというイメージで良いと思います📝

短期と長期の違いについて

今一度、ここで「長期と短期の違い」について確認しましょう
国際マクロ経済学における「長期」とは
財市場と資産市場の両者が均衡状態に達する期間を指します

その一方で「短期」とは、瞬時に均衡状態に達する資産市場のみが均衡する期間を示していると理解してください

私が解説する内容は、内外の財市場・資産市場が共に均衡状態にある場合の為替レートの決定理論 を取り扱うことにします

以下では、まず為替レートの均衡に関する古典的な概念である
「購買力平価説」および購買力平価と密接な関係にある
「実質為替レート」について説明することを試みます

その次、貨幣市場に着目した為替レートの
長期均衡理論である
「マネタリー・アプローチ(貨幣接近)」
について考察してみようと思います

また、購買力平価説およびマネタリー・アプローチに基づく為替レートの実証分析についても言及します

そして、私が卒業論文を執筆するときに留意点を指摘しながら理解を深めていくことにします💝

為替レートの長期的均衡モデル:Part⑤

為替レートの決定理論について、これから丁寧に解説していきたいと思います
長期均衡モデルで大切なことは「財・資産両市場の均衡」を考慮することにあります

短期とはまた異なる視点を持っていることは
上記で解説いたしましたが
まずは長期のモデルから順番に解説していきたいと思います

2)マネタリー・アプローチ ・・・①

(1)モデルの概要

購買力平価が成立する長期において
国内外の物価水準が両国の貨幣量によって決定されるとする考え方をマネタリー・アプローチ(貨幣接近)といいます

この考え方では
両国の貨幣成長率(=マネーサプライ増加率)が両国の物価上昇率を決定し
その結果為替レートの変化率が求められるという経過をたどります

今回のモデル解説において登場する記号一覧は、以下の通りです

$$
P : Domestic  Price  Level     \\
P^*: Foreign  Price  Level   \\
M: Domestic  Money  Supply \\
M^* : Foreign  Money  Supply \\
L(Y,i) :  Liquidity   Demand  Function \\
Y:  Real  National  Income (= GNI)\\
i: Nominal  Interest Rate   \\
*=star:  Foreign  Country's   Signal  \\
\hat{}=hat:  Relative  time  increase  rate
$$

また、マネタリーアプローチでは
「弾力性」という概念が登場しますので定義しておきましょう💖

①実質貨幣需要の所得弾力性

$$
Income  Elasticity  of  Real  Money  Demand\\
η_y =[\frac{d(M/P)}{(M/P)}/\frac{dY}{Y}]・・・①
$$

②実質貨幣需要の金利弾力性

$$
Interest Rate Elasticity of Real Money Demand\\
η_i = [\frac{d(M/P)}{(M/P)} / \frac{d i}{ i}]・・・②
$$

*は外国の変数、小文字は各変数の自然対数値、^は相対的時間増加率であることを示すことは、これまでのモデルの解説と同様です

なお、貨幣需要は所得の増加関数
金利の減少関数である
ことから
①ηyはプラス、③ηiは マイナスの値を
取ると想定します

(2)モデルの構成

典型的なマネタリー・モデルは
国内外の貨幣需要関数と相対的購買力平価式の 3 本の式から構成されます

また国内外の貨幣需要を表す流動性選好関数は、以下の通り定式化されます

$$
Domestic:
M/P  = L (Y, i )  or\\
\hat{m}- \hat{p} = η_y \hat{y} + η_i i ・・・③
$$

$$
Foreign: \\M^* / P^* = L^* ( Y^*, i^* )  or\\
\hat{m}^*- \hat{p}^* = {η_y}^*\hat{p}^* + {η_i}^* i ^*・・・④
$$

$$
Relative   PPP\\
≡ \hat{s}= \hat{p}- \hat{p}^*・・・⑤
$$

③と④式を国内外物価水準について解き
相対的購買力平価の関係式を代入して
整理すると以下の式を得ます

$$
Monetary  Approach≡\hat{s} = \hat{p}-\hat{p}^*\\    \\
=(\hat{m}-\hat{m}^*)-(η_y \hat{y}-{η_y}^*)-(η_i i - {η_i}^*i^*)・・・⑥
$$

ここで、国内外マネーサプライの実質所得・名目金利弾性値が、同値であると仮定しますと
上式は以下のように表されます

$$
\hat{s}= (\hat{m}- \hat{m}^*)\\     - η_y (\hat{y}-\hat{y}^*)-η_i(i-i^*)・・・⑦
$$

さらに⑥式の右辺において
左の2括弧書き換え、これを国内外の超過貨幣供給率(実質的な所得成長に必要な貨幣増加部分を 上回る貨幣供給)の差分を新たにと定義します

$$
Domestic  excess  money  supply  rate\\
≡[\hat{m_e} - \hat{m_e}^*]
$$

国内外の超過貨幣供給率(実質的な国民所得の成長に必要な貨幣増加部分(ηy× y^)を上回る貨幣供給)を考慮した式を踏まえると
マネタリーアプローチの関係性を示す
以下の式が得られます

$$
\hat{s} = ( \hat{m_e}-\hat{m_e}^*)-(η_i  i -{η_i}^* i^*)・・・⑦
$$

ここまでのマネタリーアプローチモデルの
構築の流れをご理解いただけたでしょうか?

貨幣の弾力性や、貨幣供給率の変化なども
モデルの中に入っていますから
より現実経済を説明できるような設計になっていると思いますので、自分のなかで理解を深めていきたいなと思います💚

次回は、マネタリーアプローチのモデル設定から導出された⑦式のインプリケーションを
一緒に考えていくことにしましょう

マガジンのご紹介🌟

こちらのマガジンにて
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています
今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚

最後までご愛読いただき誠にありがとうございます!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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