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外資系IT企業で半年間フルリモート勤務をして気づいた3つのこと

世の中には、工場勤務や行政機関の業務など現状全ての仕事をリモートでできるわけではないが、今後働き方の多様化や身体障害者への配慮、移動時間削減による生産性向上などを考慮すると、新型コロナウイルスの感染者数の有無に関わらず、日本社会はこれからリモートワークを推進していくことが考えられる。私自身も、外資系IT企業でここ半年間はほぼ一度も会社に出社せずフルリモートで仕事をしている。

最近は、営業資料の作成、IoTデバイス関連のシステム開発、データ分析、IT資格の勉強、チームやお客様とのMTGなどビジネス系・技術系の業務に関係なく全ての作業をPC一つで行っている。個人の立場や性格によって対面形式の方が仕事をしていて安心するとかリモートの方が集中しやすいなど働き方に対して正解は複数あるが、今回は外資系IT企業で働く東京都内在住の独身男性がフルリモートワークを半年してみて気付いたことを述べていきたい。

1. 仕事ができるやつは、リモートワークを好む

私が思う仕事ができる人の定義は、いくつかあるがリモートワーク関連で言うなら特定の業務内容を完結する最低条件を言語化し実行できる人である。これは、チームやお客様とのオンラインMTGで顕著に現れる傾向がある。仕事でしっかり結果が出せる人(営業なら営業成績を上げる、エンジニアなら高い技術力を持ってプロダクトやシステム開発が納期までにできる人)は、どの業界でも基本的に周りから仕事をお願いされていたり、責任が重い業務をする傾向があるので、必然的に自由な時間が少ない。

そのため、zoomやTeamsなどでミーティングをする際は、誰が何をいつまでにどれぐらいのアウトプットを出している状態にするべきかを瞬時に見極め、それを実行するために必要な最低参加人数とMTG時間を設定する。例えば、仕事ができる社員は、チームメンバーと何かしらの問題や課題を複数人で解決したい場合、「とりあえずチーム全員で1時間zoomで話そう」のような曖昧な条件でMTGを設定しない。

しかし、全ての人がそこまで効率性を追求して仕事に没頭しているわけではないので、仕事ができる人でも会社のゴタゴタに巻き込まれ不必要なMTGに参加することがある。特に、オンラインMTGが当たり前になりつつある会社では、気楽にミーティングに社員やお客様を招待できるので、みなさんもカレンダーがMTGだらけになった経験は少なからず経験したことがあるのではないだろうか。

リモートワークであれば、オンライン会議中でもSlackで同僚と仕事の進め方を決めたり、資料作成のための調査が可能だ。ここで強調したいのは、リアルで会う会議が非効率であると言いたいわけではない、リアル会議にはリモートではできない会議中の参加者同士が複数話す議論の進め方、お客様の言葉のニュアンスをより掴みやすくなるなどメリットがある。仕事ができる人は、非効率だと思う事を避けたくなる傾向があり、非リモート環境とリモート環境の利点を見極め、その中で最も効率的且つ生産性が挙げられる意思決定を選択する。

2. リモートワークは、人を超健康的or超不健康にさせる

私がここ半年間フルリモートワークをしていて実感している劇的な変化は、「健康」への考え方だ。私の場合、ほぼ自宅で作業が完結できるので、仕事に没頭しすぎると、一人暮らしでもあるため、時間感覚が簡単に狂う。もし仮に会社出勤をしていれば、周りが昼休み休憩などを取るような仕草を見れば、自分も昼食を取ろうと思うが、1人で家で作業をすると、お腹が減った時が自分の昼食の時間になる。

お腹が減った時に料理をしたり、近くの店でご飯を食べたりすること自体は非常に健康的だが、自己管理ができないタイプの人だと、周りを気にしないで生活ができてしまうので、不摂生な食事や不規則な食事スタイルに簡単になる。自分も仕事が忙しく10時や14時に昼食?を取ったり、しまいには昼食を取らないなんてこともあった。今では、絶対に11-13時の間に昼食を取り、20分の仮眠も取るようになった。(実家暮らしをしている同僚から、両親が12時になると昼食を準備してくれる話を聞くと、とてつもなく羨ましく思ったりすることがよくある)

リモートワークは、様はどこでも仕事ができるため、逆に自宅からどこにも移動しないという意味でもある。そのため、リモートワーク者で1日の万歩計の数値が1000を超えないなんてことがあるのはあるあるではないかと思う。外歩きが少なくなるので、筋肉量が減り、激痩せしたり、激太りの原因に悩まされるリモートワーカーは意識的に散歩をしたり、ランニング、ジムに通い始める。しかし意志が弱いと、毎日コンビニ弁当生活へのジャーニーは一瞬に到来する。

3. リモートワークは、イノベーションを減らす&増やす

リモートワークは、人々の生産性や効率性を上げたのかも知れないが、偶然の出会いを奪った。私は、誰とでもオンラインで気楽に連絡を取り、そこから仲良くなったりする事に比較的抵抗がないが、そんな楽観的な性格の自分でも悩みがある。それは、偶然な人との出会いだ。

人は、自分と同じような経験や性格を持った人と交流をする、要は自分が知っているコミュニティー内で似たような考え方を持つ人と居ると安心するため、似た者同士が集まったグループに所属する傾向がある。リモートワークによって、自分と似たような価値観を持った人と交流することはよりスマホ1つで一層簡単にできるようになったが、自分が今まで経験したことのない、または全く違うコミュニティーに属する人との触れ合いはほとんどなくなってしまった。

イノベーションとは、同一性の高いコミュニティーで発生することは極めて少ない。なぜなら、イノベーションとは、全くの無から新しいビジネスモデルや技術が生まれるのではなく、二つ以上の異なる分野が融合することで、新しい価値の創出がされるからだ。なので、時間さえあれば、私はITエンジニアやコンサルタント以外の文化芸術や公共機関で働く公務員など自分の職種とは全く違う人との交流をしている。

リモートワークは、意識していないと同一性の高いコミュニティーに閉じた生活をする事が多いが、逆に外資系企業で仕事をすると同じ業界や職種でも違う国の人達と交流ができるのはとても魅力的だ。例えば、デーサイエンスについて勉強をしたい時、アジアや欧米など色々な地域に住むデータ分析官やコンサルタントと意見交換ができる。良くどの国の時間に合わせるかで揉めたりもするが、リモートワークが進んだからこそ、自宅に居ながら世界中の社員と仕事の話や日常生活を共有できるのは、刺激的である。(チェコで仕事をするスロベニア人の同僚と話したが、朝森を観ながらコーヒーを飲み、家で犬と遊びながら1日が始まる話を聞いた時はちょっと嫉妬してしまった)

最後に

最近GAFAは、新型コロナウイルスの状況を様子観ながらではあるが、社員を週2-3日で出社させる事を宣言し始めているが、この意図は上記で述べたようなイノベーションを生み出すエコシステムはリアルな人との交流から生まれる偶発的な発見の重要性を指していると推測される。



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