見出し画像

脂肪はなぜつくのか

ダイエットをしている人なら誰もが疑問に思うことでしょう。脂肪はなんのために存在するのか。それを簡単に解説しますので、今後のダイエットに役立ててください。


脂肪の役割

早速ですが、なぜ脂肪がつくのかを説明します。脂肪は文明が生まれる前の哺乳類が、厳しい自然環境の中を生き抜くために必要なものだったのです。

現代のように冷房や暖房がない時代、特に冬の寒さを凌ぐためには脂肪を身にまとわせて体温が下がることを防いできました。

イルカやクジラ等の海洋性哺乳類は、冷たい海水の中で生活するために暑い皮下脂肪に覆われています。それと同時に、内臓を守るための防具の役割も果たしています。

ホルモンや細胞膜、核膜を作るのにも脂肪は大きく関わっています。これらは人体の生体活動に必要なものです。

そして、糖質は活動エネルギーとして代謝されますが、体に蓄えることが出来ません。そこで、糖を中性脂肪に変えて体に蓄え、必要な時に分解してエネルギーとして活用しています。

これは、今のように食に簡単にありつける環境ではなかったので、少ない量で効率的にエネルギーを蓄えるための生存戦略です。

そんな生活が何万年も続き、DNAに刻まれて今日に至ります。現代の食生活が一般的になったのはたかだか100年です。体は今なお、文明が生まれる前の形式として作られているので、太るようにできているのです。

脂質

私達が脂肪と呼んでいるものは「中性脂肪」と呼ばれるもので、脂質の一部です。脂質には「脂肪酸、中性脂肪、コレステロール」などがあります。

脂肪酸は脂質の構成要素で、炭素と水素・酸素の原子が結合したものです。鎖状につながった炭素結合の長さによって「短鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「長鎖脂肪酸」に分けられています。

この脂肪酸がグリセリンと結合したものを「油脂」と呼び、私達が普段使うバターやオリーブオイルなどになっています。

脂肪酸には融点があって、常温で固体のものを「飽和脂肪酸」。常温で液体のものを「不飽和脂肪酸」と呼んでいます。バターや肉の脂身は飽和脂肪酸です。

これら油脂になったものは全て中性脂肪の扱いとなり、脂質はこの中性脂肪を食べることで摂取することになります。ですから、油を完全に抜くのは栄養失調の原因となります。

必須脂肪酸

飽和脂肪酸は体内で合成できますが、不飽和脂肪酸は合成できません。ですから、不飽和脂肪酸は外から取り入れる必要があります。この体内で合成できない不飽和脂肪酸を「必須脂肪酸」と呼んでいます。

不飽和脂肪酸の炭素の二重結合が1つのものを「一価不飽和脂肪酸」、2つ以上あるものを「多価不飽和脂肪酸」と呼び、必須脂肪酸は「多価不飽和脂肪酸」です。

多価不飽和脂肪酸はn-3系とn-6系に分かれ、植物性油などに多く含まれています。ちなみにオリーブオイルは一価不飽和脂肪酸なので、必須脂肪酸扱いではありません。

必須脂肪酸は以下のとおりです。

n-3系
- ドコサヘキサエン酸(DHA)
- エイコサペンタエン酸(EPA)
- α-リノレン酸

n-6系
- リノール酸
- アラキドン酸
- γ-リノレン酸(ガンマ-リノレン酸)

コレステロールの役割

コレステロールも脂質の一部です。胆汁や細胞膜、神経の成分、ステロイドホルモンの原料となります。

胆汁は脂肪やタンパク質を分解しやすくします。細胞膜は細胞の保護をします。神経の成分は脳からの指令を体に伝えます。ステロイドホルモンは糖や脂肪の代謝系の調節や免疫系の調整をします。

このように、人体の生体活動の機能調整を担っており、重要な要素となっています。しかし、健康に悪いイメージも持たれています。それはなぜでしょうか?

コレステロールには悪玉と善玉の2種類があり、悪玉コレステロールはLDLコレステロールと呼ばれています。

悪玉は全身の細胞にコレステロールを運ぶ役割を持っており、これが多いと、血中にコレステロールが溜まり壁を作ってしまい動脈硬化などの原因になってしまいます。だから「悪玉」と呼ばれていますが、実際は全身にコレステロールを運ぶために必要な存在です。

対して善玉はHDLコレステロールと呼ばれ、血中に溜まったコレステロールを回収して肝臓に運びます。綺麗にお掃除してくれることから「善玉」と呼ばれています。


この善玉コレステロールが少ないと、悪玉が血管に溜まってしまい健康トラブルを起こすので、コレステロールが健康に良くないと、漠然としたイメージを持たれてしまっています。

良質な脂質を摂る

最初に書いた通り、人は脂肪がつくようにできています。世は飽食の時代ゆえに、身体が追いつていません。

ですので、暴飲暴食を避け、必須脂肪酸と呼ばれる良質な油を摂って、健康的に過ごすことが大切です。

特にDHAは体に良いと言われていますので、積極的に摂りたい油です。しかし、青魚に多く含まれているので、現代の食生活では魚の消費量が減っており、なかなか摂りづらい環境になってきています。

そこで、しらすなどをふりかけとして使うことで、簡単に魚を食べることが出来ます。サプリに頼るのも悪くないですが、サプリはあくまで補助的なもの。できることなら、魚を食べて摂取してください。

DHAだけでなく、タンパク質やミネラルも摂れるので、おすすめです。

動画

YouTubeにも解説動画として投稿しています。もしよかったら、こちらも御覧ください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?