運動発達を考慮した手の評価の視点(機能と構造を踏まえて)
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福岡県で理学療法士をしてますkenkenです*
日々のちょっとした疑問や曖昧なことに、"しっかりと向き合い"皆さんにとって有益な情報発信ができるようにお役にたてればと思います。
はじめに
私たちが日常生活の中で当たり前のように使用している「手」。
普段は「手」のことについて改めて考える機会はありませんが、もし、怪我や病気などで手に不自由がでたとき、どのような視点で診ていく(評価する)必要があるのか。
今回は、「運動発達を考慮した手の評価の視点(機能と構造を踏まえて)」というテーマでまとめていきたいと思います。
🔲 手の機能
多くは物(道具)に対して握ったり、摘んだり、押さえたり、触るなどを通じて扱い・操作することがあげられます。
※ 手の機能(役割)の中には、指や手掌により形を作り表現することやコミュニケーションをとる機能もあります
🔲 手の機能を果たすために必要な構造(解剖学と運動学)
体表から見ると手は1つの塊ですが、
骨でみると片手全部で27個の骨で構成されています。(両手で54個)
その27個の骨同士が、互いに関節を構成して、細やかな動きを再現しています。
関節といってもすべてが同じ動きをするのではなく、形や部位により求められる機能が異なってきます。
🔲 手の関節と運動方向
💡ここがPOINT💡
手の関節は、その曲がる角度によって力の入りやすさに変化が生じ、背屈約30°で握る力(圧迫力)が最大となります。
つまり、手の関節が動かしにくい状況でいくら握力を鍛えようとしても力が入りにくいことを示しています(下図参照)
加えてもう1つ押さえておきたい内容として、「ダーツスローモーションの動き」があります。
手関節はダーツスローモーションといって、ダーツを投げるときのような動き(橈背屈から尺掌屈方向)をします。
日常的な手関節の動きの多くは、純粋な背屈・掌屈というのはあまりなく、背屈をするときには「橈屈」を、掌屈をするときには「尺屈」を伴います。
このように手関節の生理的な動きを理解した上で、可動域獲得や関節運動の再教育をしていく必要がありそうですね。
※補足:日常生活で必要とされる上肢可動域の目安を転載(下表)。立ち上がり時に手の支持で立つ、または床から手で支えて立ち上がるなどの場合は、さらに大きな手関節への負荷(背屈90度程度)がかかりますのでご注意ください。
🔲 運動発達からみた手の動きについて
粗大な運動から巧緻運動へ(中枢から末梢へ)、「つつむ→つかむ→つまむ」といった全体的な運動から分離運動を学習していきます。
その学習過程の中で、自分の身体の使い方に始まり、「道具の認識や使用方法」を学んでいきます。
そのため、道具の持ち方や操作性など、課題に対する身体の使い方をセラピストが観察することで、対象者の「握りの発達過程」を把握することができます。
その「握りの発達過程」の獲得状況に応じた動きのパターンやまだ習熟していない「必要な安定性」がどこかを見極めることで、アプローチするポイントが見えてくるのでないかと思います。
おわりに
本日は「手の機能と構造、運動発達を考慮した評価の視点」というテーマでまとめてみました。
手関節に関する基本的な解剖として、
①背屈30度で最も力が発揮されること
②日常的な手関節の動きの多くは、手関節掌屈に尺屈 / 手関節背屈に橈屈を伴うこと
③運動発達を考慮した「握りの発達過程」にて安定が必要な評価の視点をお伝えしました。
本業は理学療法士(PT)で基本動作や生活のための土台になる動きの調整を担当してます。患者さんが困っていれば、もちろん手を見ることもありますが、机上課題や作業活動については、作業療法士(OT)の方がより詳しいと思いますので1意見として参考にされてください。
皆さんの日常生活に少しでもお役にたてたら光栄です🦥🍃
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