三浦尚志

研究者 大阪出身 既婚 2児の父 勤務地つくば 趣味はお酒と音楽 週の半分は東京の四ツ…

三浦尚志

研究者 大阪出身 既婚 2児の父 勤務地つくば 趣味はお酒と音楽 週の半分は東京の四ツ谷~永田町をうろうろしています 研究テーマは住宅の暖冷房設備 加えて住宅の省エネ基準の評価を作ってます 1件でも多く良い家が建つお手伝いをしたいです

メンバーシップに加入する

住宅の環境設計(温熱環境や省エネ)に関することを学びます。住宅の省エネルギー基準や正しい環境工学に基づき、家の暖かさや寒さ、省エネなどを定量的に評価する方法を学び、住宅を設計する際に、間違ったうわさ・宣伝などに惑わされることなく、しっかりとした軸を持って判断できる力を養います。

  • ベーシックプラン

    ¥500 / 月

最近の記事

建築物省エネ法の義務化について思うこと

来年度から建築物省エネ法の義務化が始まりますね。「義務」とは法律上極めて重い措置です。義務化のデメリットについて僕なりに考えてみました。 義務化のデメリット1つは、本当に頑張っている人が単なるマニアックな人になっちゃうことです。 これまで省エネで頑張ってきた人たち 施主のことを考えて断熱について真剣に取り組んでいる人がいたとします。断熱がメジャーではない時代、そういう人は一部の人には受け入れられるものの、「少々変わった設計者」として、一部のマニアックな人のみに受け入れら

    • エアコン(10)〜再熱除湿〜

      前回、除湿の仕組みについて説明しました。少し復習したいと思います。 前回の復習まず、除湿についておさらいします。除湿とは、空気中の水蒸気が結露して水になるということでした。結露した分だけ空気中の水蒸気が減り、湿度の量を表す水蒸気分圧あるいは絶対湿度が下がるということでした。 空気中の水蒸気を結露させるためには、水分を含んだ空気の温度と湿度から決まる露点温度以下に空気を冷やしてあげる必要があります。エアコンで冷房する時、室内機の熱交換器の温度を下げてそこに室内機に吸い込んだ

      • エアコン(9) 〜除湿の仕組み〜

        前回、カタログに表記される値について説明しました。 カタログに表記される値は、あくまで試験条件で計測された値です。エアコンの効率は外気温度や処理する負荷、吹き出す風量などの運転状況によって大きく変動することを説明しました。 エアコンの効率は暖房時と冷房時とで大きく異なり、カタログには別々に表記されます。今回、暖房運転・冷房運転に加えて、3番目の運転方法である除湿運転について説明します。

        • 水蒸気と水(5) 〜空気線図における結露計算〜

          前回、空気線図の説明をしました。少し復習をしたいと思います。 前回の復習空気線図は横軸に温度、縦軸に水蒸気の量をとります。そして水蒸気の量を表す指標として、絶対湿度や水蒸気分圧で表されることを説明しました。 空気線図の中には、縦軸として、絶対湿度または水蒸気分圧で書かれているもの、あるいは両方書かれているものがあることを説明しました。 さて、温度と湿度が決まると、この空気線図上に1点、プロットを打つことができます。

        建築物省エネ法の義務化について思うこと

        メンバー特典記事

          エアコン(10)〜再熱除湿〜

          前回、除湿の仕組みについて説明しました。少し復習したいと思います。 前回の復習まず、除湿についておさらいします。除湿とは、空気中の水蒸気が結露して水になるということでした。結露した分だけ空気中の水蒸気が減り、湿度の量を表す水蒸気分圧あるいは絶対湿度が下がるということでした。 空気中の水蒸気を結露させるためには、水分を含んだ空気の温度と湿度から決まる露点温度以下に空気を冷やしてあげる必要があります。エアコンで冷房する時、室内機の熱交換器の温度を下げてそこに室内機に吸い込んだ

          エアコン(10)〜再熱除湿〜

          エアコン(9) 〜除湿の仕組み〜

          前回、カタログに表記される値について説明しました。 カタログに表記される値は、あくまで試験条件で計測された値です。エアコンの効率は外気温度や処理する負荷、吹き出す風量などの運転状況によって大きく変動することを説明しました。 エアコンの効率は暖房時と冷房時とで大きく異なり、カタログには別々に表記されます。今回、暖房運転・冷房運転に加えて、3番目の運転方法である除湿運転について説明します。

          エアコン(9) 〜除湿の仕組み〜

          水蒸気と水(5) 〜空気線図における結露計算〜

          前回、空気線図の説明をしました。少し復習をしたいと思います。 前回の復習空気線図は横軸に温度、縦軸に水蒸気の量をとります。そして水蒸気の量を表す指標として、絶対湿度や水蒸気分圧で表されることを説明しました。 空気線図の中には、縦軸として、絶対湿度または水蒸気分圧で書かれているもの、あるいは両方書かれているものがあることを説明しました。 さて、温度と湿度が決まると、この空気線図上に1点、プロットを打つことができます。

          水蒸気と水(5) 〜空気線図における結露計算〜

          水蒸気と水(4) 〜空気線図〜

          この記事は、以前書いた記事「空気線図の見方(1)」をもとに書き直したものです。以前の記事も参考にしてください。 空気線図とは前回、横軸に温度をとり、縦軸に飽和水蒸気圧をとるグラフを書きました。 そして、ある湿った空気があったとします。この湿った空気を冷やしていきます。冷やすと言うことはこのグラフの中で点が左に移動すると言うことです。点が左に移動すると、飽和水蒸気圧の曲線に当たります。この当たった時の温度より低くすると結露が起きると言うことを説明しました。このように、グラフ

          水蒸気と水(4) 〜空気線図〜

          水蒸気と水(3) 〜飽和水蒸気圧〜

          前回、水と水蒸気の状態を水分子が行き来するという話をしました。そして、水蒸気の水へのなりやすさ、これは、(水蒸気を含む)空気の温度と空気に含まれる水分子の多さによって決まるというような話をしました。 今回、ここら辺の話をもう少し定量的に進めたいと思います。 水蒸気圧ここに何かガラスのようなものに囲まれた空間を想像してください。この空間の空気の中に水蒸気分子がいます。水蒸気が動き回っています。 水蒸気分子の多さを1個、2個と数えても良いのですが、あまりにも数が多いので個数

          水蒸気と水(3) 〜飽和水蒸気圧〜

          自分の意見を持つ

          自分の意見を持つ

        記事

          水蒸気と水(4) 〜空気線図〜

          この記事は、以前書いた記事「空気線図の見方(1)」をもとに書き直したものです。以前の記事も参考にしてください。 空気線図とは前回、横軸に温度をとり、縦軸に飽和水蒸気圧をとるグラフを書きました。 そして、ある湿った空気があったとします。この湿った空気を冷やしていきます。冷やすと言うことはこのグラフの中で点が左に移動すると言うことです。点が左に移動すると、飽和水蒸気圧の曲線に当たります。この当たった時の温度より低くすると結露が起きると言うことを説明しました。このように、グラフ

          水蒸気と水(4) 〜空気線図〜

          水蒸気と水(3) 〜飽和水蒸気圧〜

          前回、水と水蒸気の状態を水分子が行き来するという話をしました。そして、水蒸気の水へのなりやすさ、これは、(水蒸気を含む)空気の温度と空気に含まれる水分子の多さによって決まるというような話をしました。 今回、ここら辺の話をもう少し定量的に進めたいと思います。 水蒸気圧ここに何かガラスのようなものに囲まれた空間を想像してください。この空間の空気の中に水蒸気分子がいます。水蒸気が動き回っています。 水蒸気分子の多さを1個、2個と数えても良いのですが、あまりにも数が多いので個数

          水蒸気と水(3) 〜飽和水蒸気圧〜

          自分の意見を持つ

          この記事はメンバーシップに加入すると読めます

          自分の意見を持つ

          あまり使われていない付属部材の評価について(1)

          建築物省エネ法(住宅)では窓に付属部材をつけた場合の評価として、付属部材をつけた時のηd値が表形式で提供されています。外付けブラインドや和障子の値を見ると、他の列の値よりも圧倒的に値が小さい。例えば二層Low-E複層ガラスの日射取得型が0.64、日射遮蔽型が0.40、その差0.24なのに対して、同じ日射取得型のガラスに外付けブラインドをつけると0.15にまで減らすことができます。 このように、付属部材による日射遮蔽効果は抜群なのにもかかわらず、建築物省エネ法ではほとんど利用

          あまり使われていない付属部材の評価について(1)

          水蒸気と水(2) 〜水と水蒸気、結露〜

          前回、物質には3つの相があって、気体・液体・固体、あるいは気相・液相・固相ということを説明しました。特に、水の場合は、気体・液体・固体の場合をそれぞれ特別に、水蒸気・水・氷と呼ぶことを説明しました。 今回は少し水蒸気に着目して説明したいと思います。 水と水蒸気の状態ここに、何かビンのような水を入れる容器があったとします。この中には水が入っています。水は、なんとなく、分子同士が拘束しあってドロドロと動いている状態であるということを言いました。顕微鏡レベルでの話です。余談です

          水蒸気と水(2) 〜水と水蒸気、結露〜

          水蒸気と水(1) 〜水蒸気の正体〜

          注:圧力をあげると気体が液体、固体になっていくの部分で若干の間違いがあっため、加筆・修正しました。(2024.2.12) 水蒸気を勉強することは大切なことです。一般的に水と呼ばれる分子、分子記号で言うとH₂Oですが、これが気体の状態にあるのを水蒸気、液体の状態にあるのを水、個体の状態にあるのを氷と言います。 水蒸気とは何か?良く聞く言葉なので、なんとなくはわかっていると思います。空気中に水蒸気が多い状態を湿度が高い、水蒸気が少ない状態を湿度が低いといいます。水蒸気を含む空

          水蒸気と水(1) 〜水蒸気の正体〜

          エアコン(8) 〜カタログに表記される効率について〜

          前回、蒸気機関の仕組みを通してカルノーサイクルについて勉強しました。 蒸気機関は高温から低温に熱を移動させることによって動力を生み出す仕組みでした。ヒートポンプは逆で、動力を与えることによって低温から高温に熱を流す仕組みでした。細かい部分では色々と違いがあるものの、大雑把な言い方をすると、ヒートポンプは蒸気機関の逆、蒸気機関が熱から力を生み出す仕組みであり、力から熱を生み出す仕組みがヒートポンプであると理解してください。 また、カルノーサイクルとヒートポンプサイクルを比較

          エアコン(8) 〜カタログに表記される効率について〜

          エアコン(7) 〜カルノーサイクル〜

          これまで、エアコンの原理を、ヒートポンプ回路を用いて説明してきました。ヒートポンプ回路では、圧縮機、熱交換器、膨張弁が重要な役割を担っていました。そして、それぞれのパーツについて詳細な解説を行いました。 今回からは、具体的な機械・部品の説明から離れて、ヒートポンプの効率に着目して説明していきたいと思います。 まず、ヒートポンプ効率を議論するはじめとして、逆カルノーサイクルについて触れたいと思います。

          エアコン(7) 〜カルノーサイクル〜

          エアコン(6) 〜熱交換器〜

          前回、前々回と、ヒートポンプサイクルを構成する重要な部品である圧縮機と膨張弁について説明を行いました。 今回は、熱交換器について説明します。 様々な熱交換器熱交換は非常に重要な技術です。エアコンに限った技術ではありません。 例えば、車のエンジンは放っておくと高温になりすぎるので、エンジンから出た熱をなるべく放熱するために熱交換する仕組みがあり、その熱交換する部品をラジエーターと言われます。 あるいは住宅の設備では、ガス給湯機や石油給湯機のように、ガス・石油を燃焼室で燃

          エアコン(6) 〜熱交換器〜

          エアコン(5)~膨張弁~

          前回、ヒートポンプ回路の説明を行いました。 暖房運転は室外から室内に熱を運び、冷房運転は室内から室外に熱を運ぶというように、熱の流れる向きが逆になります。 ヒートポンプ回路は、圧縮機・熱交換器・膨張弁・そしてもう1つの熱交換器という4つのパーツに成り立つということを説明しました(次図)。 そして、この4つのパーツの位置は同じで、冷媒を流す向きを逆にすることで、暖房と冷房とで熱の流れる向きを切り替えることができることを勉強しました。 ただし、圧縮機の場合は、入口と出口が

          エアコン(5)~膨張弁~

          エアコン(4)~暖房と冷房の切り替え・圧縮機~

          これまでヒートポンプ回路について説明してきました。前回、より現実的な冷媒(R410A)を想定した温度設定に説明を変更し、さらにこれまで便宜的にピストンを用いて回路の説明をしてきたところを、実際と同様に冷媒が圧縮機・熱交換器・膨張弁・熱交換器を通る説明に変更しました。 圧縮機・熱交換器・膨張弁・熱交換器、この4つの部品がエアコンのヒートポンプサイクルを理解するうえでキモとなります。 これらの部品を説明する前に、ここで説明している図は冷房を前提とした図でしたので、暖房を前提

          エアコン(4)~暖房と冷房の切り替え・圧縮機~

          多様な住宅空調設備を評価するための暖冷房負荷計算の開発(4)

          前回からの続きです。 本記事は、令和4年度国立研究開発法人建築研究所講演会で講演した内容をもとにしています。講演会では時間的な制約があったため、この内容をもとに、大幅に加筆(&修正)しています。 講演会の動画はこちらから視聴できます。 住宅の暖冷房エネルギーの消費量の予測に暖冷房負荷計算は欠かせません。この記事では、新たに暖冷房負荷計算を開発する狙い・意義・概要について説明します。 まとめ計算した結果 開発した負荷計算の計算結果の例を次に示します。 このような形

          多様な住宅空調設備を評価するための暖冷房負荷計算の開発(4)