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愛と金、どちらを選びますか?【天使のくれた時間感想】

愛か金かの選択

人生において、お金が大事か愛が大事かという話。

金か、愛かの究極の2択を迫られた時、あなたならどっちを選びますか?

ロンドン行きの飛行機の搭乗口。ここから飛行機に乗り、ロンドンへ行くと、外資系金融マンとしてのキャリアがスタートし、一生お金に困らない生活ができる。そこで止めるのが最愛の女性。飛行機に乗ったら私たちは別れてしまうと泣きながら行かないでと懇願している。

これは映画「天使のくれた時間」のオープニングシーンである。
20年前の少し古い映画であるが、簡単にあらすじを紹介する。

主人公のニコラスケイジ演じるジャックは、結局飛行機に乗り、お金持ちになる道を選ぶ。
何年かした後、投資銀行の社長となり、金で買えるものはなんでも買える金持ちになったが、結婚はしていない。
拝金主義的で傲慢な人間になってしまっていた。
愛だけがない主人公は、クリスマスイブに、飛行機に乗らず最愛の恋人を選んだパラレルワールドに突然送られる。

もちろん、主人公は大慌て。いきなり昔の恋人が妻として目の前にいて子供2人に犬も飼ってる素敵な家族を持つことに。
徐々に慣れてきて、この家族のいる愛のある生活が愛おしく思うようになった主人公は、元の世界に戻りたくないとまで思うように....

続きや、細かい話が気になった方は是非天使のくれた時間を観てみてください。Netflixでもprimeでも観られます。

一旦これは置いといて、少し"愛"について最近思ったことを書く。

愛とは何か。

アドラー心理学の「幸せになる勇気」を読んでいた時のこと。
愛とは何かという議論において、哲人が言った言葉。

利己的に「わたしの幸せ」をもとめるのではなく、利他的に「あなたの幸せ」を願うのでもなく、不可分なる「わたしたちの幸せ」を築き上げること。それが愛なのです。
引用:「幸せになる勇気」p.239
ほんとうの愛をを知った時、「わたし」だった人生の主語は、「わたしたち」に変わります。
引用:「幸せになる勇気」p.240

この、愛を知ると主語が「わたしたち」に変わるという指摘がものすごく腑に落ちた。
"愛"は自分一人の力だけで生まれるものではない。
この映画でも愛とは、妻への愛であり、家族への愛である。

「わたし」として生きていた自分が、主語を「わたしたち」に変えて生きていくというのは、とても勇気のいることに思われる。
結婚すれば、人と付き合えば、自分だけの時間は明らかに減ってしまうだろう。それと同時に、守るべきものが増えるという責任感や重圧もあるだろう。子供ができたらさらに、子供に費やす時間は増えるだろう。

家族ができることによって、自分の時間が失われていく様子もこの映画では描かれていく。慣れてない育児や子供の送り迎え。結婚記念日やクリスマスなどの家族でのイベント。独り身であった主人公には想像できないほどの時間のかかることであった。主人公にとってかけた時間や手間は、投資銀行の社員というキャリアにおいて無駄なものであったのだと思う。
だが、そのかけた手間や時間こそが自分の幸せであるということに気がついていく。

最近、同い年で結婚してもう子供もいる人の話聞いた。
その人は、「子供産まれると価値観が変わる。もっとバリバリ働くつもりだったけど、家庭の時間も大事だなと思った」というような話をしていた。
彼はきっと主語は「わたしたち」になって生きているんだと思う。

二兎追うものだけが、二兎を得る。

話を元に戻す。
ロンドン行きの飛行機に乗る瞬間が自分に訪れたらどっちを選ぶだろう。
最愛の女性が、行かないでって言う、飛行機に乗ると、会社員として輝かしい人生が待ってる。
それを棒に振って最愛の人と過ごすべきか、
今はお金のためにと最愛の人を捨てるか。 

きっと今の僕はロンドンに旅立つのだろう。
最愛の人が今存在してないというのもあるが、若いうちにお金は欲しいという想いが強いからだ。

しかし、現実にこんな究極の2択が生まれることはない。

大抵の人は、最愛の人と一緒にいつつ、お金も稼げる道を考えるだろう。
どちらも諦めない。
家族が満足して生活できる程度に稼ぎ、家庭の幸せを楽しめる時間もしっかりとっておくという考え方が主流だと思う。

最近ライフワークバランスという言葉をよく聞く。
男性の育児休暇の取りにくさが問題となったり、家父長制的な男性中心の家族ももはや過去の遺物となってきている。
男は稼ぎ、女が育てるという価値観はもはや古く、男性も女性も働きながら子育てするor自分達の生活を楽しむという、仕事と家庭どちらか一方に偏りすぎない人生が理想的とされてる風潮を感じる。
そのような両方取る選択肢も実際の人生ではありえる。

だが、この問いは人生において重要な意味を持つだろう。この答えは価値観次第で、みんな答えは変わってくる。僕はこう思い、主人公のジャックはこうした。それだけだ。
人生を送る上で、暫定でもいいが、「自分がどう生きていきたいと思っているのか。」について一度じっくり考えてみるべきだ。

これはものすごく個人の哲学的な問題であり、答えは簡単に出ない。
その場合、極端な選択肢を考えてみるのをおすすめする。
愛はないけど金がある。金はないけど愛がある。真反対の選択肢を与えられた時に、どっちを選ぶのかによって、自分の価値観を知ることができる。
愛をとるのかお金を取るのか、両方を選ぶのか。はたまたどちらも選ばないのか。
どちらかを選ぶというのも答えだし、どちらも選べないから妥協点を探すというのもあり。そもそも、人生はグラデーションであり、決まった答えはないはずだ。

今の自分はこれを選ぶが、未来の自分はこれを選ぶ。人生を送っていく上で変わっていくことも悪いことではない。だが、一度しかない人生で進むべき方向を示したコンパスがあるのとないのとでは大きく生きやすさが違ってくると思う。

今自分の主語は「わたし」である。
今のところ「わたしたち」になる予定もない。
実際、愛とは何なのかということは分からないが、主語が「わたしたち」になるという認識を持っておくことは大事であると思う。

だが一方で、主語が「わたし」の今だからこそ、守るべきものがないからこそ、できる挑戦もあると思う。
子供がいたり、妻がいたりすると、リスクをとって勝負に出たりすることが難しくなり、どうしても無難な選択をすることも増えるだろう。
そんな中で、リスクを考えずに挑戦できるというのは今しかないと思うので、その状況を逆に利用して若いうちにたくさん挑戦し、失敗しておきたい。

今は自分のために生き、最愛の人ができたら家族のために生きる。そんな方向転換する未来も考えていていいと思う。

鶏口と牛後どっちになりたい?
って聞かれて、牛口と答えるくらい貪欲に生きていきたい。

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