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日本語を正しく使おう

人材紹介ビジネスの関係者が用いる言葉の中で、長く違和感を覚え続けている言葉(用語)について、ついに我慢できなくなり投稿してしまいました。

それは「母集団形成」という言葉です。

「特定の求人に対して応募者を集める(=応募者群を形成する)」ことを指して日常的に使われるのですが、その意味合いで使うべき用語は「応募集団形成」です。

そもそも「母集団」とは統計学の用語で、『調査や観察の対象とする集団全体。標本を抽出するときのもとの集団。』(大辞泉)と定義されています。
これを人材採用のシーンに持ち込むと、母集団とはその求人のターゲットとなる、何らかの属性で括られた人材の集団ということになり、それは応募者ではありません。(正確には「採用母集団」といいます)

「オウボシュウダンケイセイ」という音(オン)が、何となくそれまでに聞いたことがある言葉「ボシュウダン」と結び付いて、あまり深く考えられることなく使われているうちに不覚にも定着してしまった、という歴史的経路を想像すると思わず頬が赤くなってしまいますが、いまやインターネットの「人事用語集」などにも「母集団」が応募者の集団と定義されていることは驚きでしかありません。

些細なことかも知れませんが、人材紹介コンサルタントは常にお客様から一定の知性を期待される仕事であること、また本来「言葉」が思考の道具として生まれた背景に思いを馳せると、正しい言葉を用いる習慣を放棄したとたん「思考の質」は低下の一途をたどるであろうことに強い危惧を覚え、細かなことにこだわっていきたいと改めて思います。

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