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日本製造業の底力
東洋経済オンラインの最新記事から『コロナ後は「日本の製造業」こそが時代の勝者になる』。日本の製造業に秘められた高い潜在的能力をデジタル技術で解き放つことが重要だとしています。
筆者は、アフターコロナ に現れる“新常態(New Normal)”で、最も大きな問題はその「不確実性」であるとした上で、製造業の命脈である研究開発と設備投資がこれまで以上に難しくなる点を挙げて、そのような環境下でこそ日本企業の特長であるダイナミックケイパビリティを活かし得ると述べています。
そしてそのダイナミックケイパビリティが語られる際に必ずといっていいほど引き合いに出される富士フィルムと米Kodak社の例が再び挙げられていますが、奇しくもコロナウイルス治療薬として脚光を浴びた「アビガン」も富士フィルム社が開発してことも象徴的です。
世界と比較して生産性の低さが指摘されているものの、バブル崩壊〜アジア金融危機〜リーマンショック〜欧州債務危機〜東日本大震災などの不測の事態に次々と見舞われた中でも、製造業が我が国経済を支え続けてきたことをもって、筆者は日本の製造業が環境や状況の変化に対応できる高いダイナミック・ケイパビリティを備えている可能性を示唆しています。
筆者は、ダイナミックケイパビリティ理論の第一人者である菊澤研宗氏の見解をもとに、ダイナミックケイパビリティは職務権限が曖昧な日本型(職能型/メンバーシップ型)の人事管理システム下でこそ培われるとしており、それが昨今の「スクラム」と呼ばれるアジャイル開発の手法の源流も“ワイガヤ”など日本流のモノ作りにあるとしています。
昨今の職能型の限界と職能型(ジョブ型)への移行を既定路線とする論調とはやや反しますが、一方で日本製造業の課題をデジタル化(設計工程のデジタル化、バーチャルエンジニアリング)であるとしており、それらを推進する“デジタル人材”を採用するために多くの企業が着々と職務型への移行を進めていることから、日本企業の人事がどのような方向に進むのか、興味深いところです。
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