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「恋人」「カップル」という仕事。
恋人が欲しい人は何を求めている?
もちろん「恋人」に決まってる。
カップルになりたい人は、「カップル」のステータスを求めてる。
恋人が欲しい人
上の一つ目を、何の違和感もなく受け入れる人は多いかもしれない。
そりゃそうでしょ、って。
そう、「恋人」を求めてる。
例えば「恋人」というのは、以下のようなものかな。
そこら辺にいる人を捕まえて、
「突然すみません。あなたは今から私の恋人ということでいいですかね。」
「ええ?ああ、はい。では、そういうことで...。」
これで二人は恋人として結ばれる。
「では、失礼いたしました。さようなら。」
「さようなら。」
二人はその後の人生でもう二度と会うことはありませんでしたとさ。THE END。
え?違うって?
でも、二人とも恋人であることに同意したよね?
あなたの「恋人」のイメージとは全然違うって?
そうか、わかった。
あなたの「恋人」像はすでに決まってるんだね。そりゃそうだ。
でなきゃ、「恋人」なんて言葉をわざわざ使わず、ただ「人」でいいものね。
その「恋人」と何をするの?
それはどんな像なの?
出会って?デートして?一緒にいたいと思えて?
そんなの「友達」でもできない?
ほう、友達とは違う?
友達とはセックスができない?"恋"を感じないから友達?
ああ、そういうことね。
そうか、じゃあ「恋人」とは性的指向が一致して、もちろん性的魅力が必要で、「恋にも落ち」なきゃいけないんだ。
どうやら「恋人」とどんなことをして、どんなやり取りをして、っていうある程度具体的なイメージがすでに出来上がってるんだね。
その「恋人」像に、ある任意のホモサピエンスを当てはめたいってことか。
あるポジションに人を置く。。。
なんだか仕事の求人みたいだ。
「仕事の求人なんかじゃない。そこにはロマンスがある。純粋なものがある。恋人は特別なんだ。」
そうか、ややこしいね。
もしそのホモサピエンスが「恋人」像からはみ出てたら、それは「妥協」になるか、「恋人(彼女/彼氏)」として失格!みたいになるのかな。
"純粋"なものの割に、「妥協」とか「失格」ってのも面白いね。
あと、「恋人」像の変更をそんなに簡単にできるものかな?
おそらく衝突があるよね。
衝突があったとして、そのあと簡単に「恋人」像を諦められるのかな?
その衝突こそが「恋人」の醍醐味で幸せなんだって?
そうか、じゃあ、それを続けられるよう願っている。皮肉ではないよ、本当に。
というか、そんな衝突を断続的にしたいから、その醍醐味を味わいたいから「恋人」が欲しかったの?
ちょっと驚いたよ。
そんな複雑な「恋人」にはなれそうにないや。
カップルになりたい人
最初にこう書いた。
カップルになりたい人は、「カップル」の状態・ステータスを求めてる。
「ステータスなんかじゃない。恋人とずっと一緒にいたいからカップルになるの。」
「好きな人とただカップルになりたい。」
カップルじゃないとずっと一緒にいれないの?
というか、やっぱり「カップル」ってステータスだよ。
ずっと一緒にいる人との関係を、 結果的に「カップル」と呼ぶのならまだわかるけど、特定の誰かがいないのに「カップル」に憧れるのはなんだか興味深い。
これも「恋人」と同じで、何かすでに「カップル」像があるんでしょう?
だって、電車でたまたま隣り合った人とはカップルとは言わないものね。
「カップル」はこんなことして、こうしなきゃいけなくて、これこれがあって...。
やっぱり仕事の求人に見えてきちゃうな。
「だから仕事とは違うの。それはロマンチックでフィーリングがあって、純粋で...。」
なんで「仕事の求人」って言うと、そんなに受け入れ難いんだろう。
「仕事は辞めることがあるし、最近は終身雇用も廃れてきたし...」
「カップル」は辞めないものなの?
「うん、少なくともずっと一緒にいるって最初は思えてる」
では、一昔前の「この会社に一生捧げるぞ!」っていうのと似てるね。彼らも辞めることを前提にはしてないようだから。
「カップル」には"業務形態"、"社則"も"役職"もある。
そういう「カップル」の関係性の中にいるとゲンナリしてしまいそう。
気味悪さ
ここまで書くと、「恋人」や「カップル」を求める人を批判してるように見える。
そんなことはない。その行為自体は良くも悪くもない。
ただ、幻想や"見せかけ"のオブラートで包んでしまい、「仕事の求人」的な側面(実際かなり大きな部分を占めると思う)を見ないようにしているのが、なんというか気味悪く感じてしまう。
この気味悪さはアイドルへの幻想と似てる。
アイドルの本当の姿を知らずに、
「この人はこういう性格で、こういうことは絶対にしないし、普段こういうことを考えてるはずなんだ。」
という思い込みをしていて、それに拘っていたら、気味悪く感じるかも。
幻想や"見せかけ"だとわかっている上で、「仕事」的な側面も十分理解して、あえてそれを選んでいるのなら気味悪くないかもしれない。
「私にとって、恋人は手段。私の人生のために使い尽くしてやる」というレベルの人は、むしろ潔い。ただ、そんな人と関わると当然わかりやすい形で"手段"、"道具"になること必須。
通常、「仕事の求人」と言われて何か違和感や嫌な感じが出てくるのは、「恋は打算じゃない。ビジネスじゃない」とどこかで感じるからだと思う。
「仕事」に幻想を抱く人も多いけれど、「恋人」や「カップル」に幻想を抱く人はもっと多い。
そこに打算はないの?
むしろ打算まみれじゃない?
何か深遠な「恋」というのは、相手のステータス、表面的な性格、性的な何かに惹かれただけだったってことは...まさかないよね。
幻想をなくすとはできなくても、少なめにして、触れられないその人自身と接していけたらいいね。
それは「恋人」とか「カップル」の関係性の中だけでなく、どんな人間関係にも、もしかしたら人間以外とのあり方にも繋がってくるから。
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