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観るサイクリスト ~自転車映画レビュー~ イカロス
ただの自転車好きが勝手に自転車映画を批評します。
基本的にネタばれを気にせずつらつらと書いていきますので、気になる方は注意してください。
『イカロス』
ロシア人科学者が暴露した国家ぐるみのドーピング。プーチンにとって最悪の内部告発者となったお琴の証言に米国人自転車選手が迫り、アカデミー賞を獲得した作品。 NETFLIXより
第90回アカデミー賞でアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した作品。監督はブライアン・フォーゲル。プロデューサーのダン・コーガンは他にも評判良さそうな作品に関わっているようなので、この作品の質は彼の手腕によるところが大きいのかもしれません。
NETFLIX作成のドキュメンタリーですので、加入されている方であれば視聴可能です。下にリンクを貼っておきます。
序盤のノリはお馬鹿映画
冒頭で紹介されるのは、ドーピングスキャンダルによって、最も権威の失墜したアスリートであるランス・アームストロング。まぁ、自転車ファンであれば、彼に対していろいろな思いがあります。間違いなく長くなってしまうので、それは別の機会に。
彼と同じようなプログラムでドーピングを行えば、成績が上がって検査もパスできるんじゃね?というのを検証しよう。これが最初に示されるこの映画の目的です。
体張って検証しようっていう牧歌的な馬鹿映画的なノリですよね。ナスDみたいなもんです。(笑)
このナスD系の映画として『スーパーサイズ・ミー』なんてものもあるので、こちらも興味あればご覧になってみてはいかがでしょうか。
そんなこんなでドーピング浸けの日々が始まるわけですが、ケツに注射針をぶっ刺すとか、まじめにやっているだけに逆に笑える部分もあり、これはなかなか面白い映画になりそうだと感じていました。
ロードレース中の映像もかなり迫力あり、映像的にも見応えのあるものでした。監督でもあるブライアン・フォーゲルさんのライディングフォームや、使っている機材なんかもプロとそん色ないようなもので、それを見ているだけでも自転車映画評論家としては満足。(笑)
おそロシア……
ただ、この検証ですが、結構すぐ終わってしまうんですよね。しかも、あっけなく。
「えっ、終わり?こっからどうなんの?」なんてこと考えて観ていると、物語はあらぬ方向に転がっていきます。明らかに想定したいたことよりも巨大で根深く邪悪な方向へ。
あまりにホイホイ事態が悪化していくので、鑑賞中は頭がついていけずに「えっ・・・!?(絶句)」みたいな状態でした。(笑)
ドキュメンタリー映画ゆえに、この話がどこに着地するのか誰にも分からない感じが、非常に良かったです。
後半はほぼ主役と言っていいようなグリゴリー・ロドチェンコフ。何とかアメリカへ亡命し、ロシアの国家ぐるみのドーピングを明るみにします。
彼も加担していたので、あまり応援する気にはなれませんでしたが、ロシアに消されるかもしれない空気感には本当にハラハラさせられました。
しかし最後。ロシアは、何も罰せられることなくオリンピックへ参加したことが告げられます。さらに、このスキャンダルに関わっていたスポーツ大臣などは、見事に出世。非常に皮肉で後味悪いところは最悪でした(誉め言葉)。
非常に上質なNETFLIXオリジナルのドキュメンタリー
年々アカデミー賞でも、存在感を増しているNETFLIXオリジナル作品。2020年は計24部門にノミネートされ、この数字はディズニー映画よりも多いそうです。
僕もNETFLIXオリジナルをいくつかみていますが、どれも質が高くて素晴らしい者ばかりです。この作品も例にもれず、素晴らしい出来の作品でした。ぜひ、ご覧ください。
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