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言葉が纏う機微をデザインすること

デザインについて書きたいと思います。そして今年を振り返ります。今年の個人テーマは「不確実性と向き合う」でした。来年は「ひとつになる」です。詳しく書き留めます。




1. 答えを探し続ける魅力

私がデザインに魅力を感じている理由は「答えがないこと」です。デザイナーの数だけ解があります。懐疑の中で常に答えを探究する。定義できない価値だからこそ惹かれ続けています。

一言で表現できない、定義困難な「美」という概念。すなわち「言葉にできない価値そのもの」がデザインだと考えています。デザインすることも重要ですが、デザインをどう解釈するのかが問われます。

我々はデザインという非言語を扱います。一方、優れたデザインには「意思と言葉」が必ず内包されています。


2. ありがとうをデザインする

例えば「ありがとう」という言葉。その言い方次第で印象は大きく変化します。声色、表情、目線、ジェスチャーなど様々な付加要素によって伝わり方は変わります。そもそも「ありがとう」という言葉で良いのか?と考えることも。それらが複合的に絡み合い、発言者を介して言葉に「印象」が付加されていく工程があります。

無意識に「ありがとう」を設計しています。

自身の言葉の「設計」に意識を向けることは難しい。重要性だと理解していても実践できているかは別問題ですね。

一方、私たちは相手の言葉にどのような意味が内包されているのかを日々感じ取り、事実に「解釈」を添えながら無意識的に印象のデータを蓄積しています。他人から投げられる言葉には敏感に反応してしまうでしょう。


3. 言葉が纏う機微をデザインする

デザインは、伝え方をコントロールすることによって「伝えたいように伝えるための手段」といえます。

言葉が纏っている機微をデザインします。

私たちは言葉を含むあらゆる事象に感情を動かされています。デザインは感情にはたらきかける。それらは簡単に測れない。感情の総量があるとするならば、あなたの10と私の10が一致しているか否かの測定は不可能でしょう。

私は「感情」と「無意識」を言語化し続けたい。「ロゴス・エトス・パトス」はブランディングや対話に必要な3つの要素です。人と関わり、人に動いてもらいたいのであれば、感情や感覚は無視できません。


4. 身の周りに溢れた「設計」

デザイナーはデザインの価値を主張します。ロジカルシンキングやクリティカルシンキングと同粒度でデザイン思考を語ります。それは、職種を問わずあらゆるビジネスパーソンに必要なコンピテンシーという意味でしょう。

デザイン=設計

「設計」という言葉に置き換えると理解が易しくなります。あらゆる職種はクリエイティブであり、何も生み出さない仕事はないといえます。私たちの業務には共通して「設計」があります。

業務プロセスを設計し、情報の流れ、会話の流れ、お金の流れ、人の配置、プロジェクトやオペレーションを設計します。マネジメントもある種の設計でしょうか。そう考えるとあらゆる職種の方々が「デザイン」という言葉を用いる意味が理解可能になります。

私はこの1年マネジメントをしてきました。関わる事象は全て不確実性が高く、答えが明確なものは多くありませんでした。しかし、それら幾つもの苦しい状況を楽しんでいる自分が居ました。


5. ひとつになること

デザインをあまり特別なものにしたくない。デザインを特別なものと考える態度自体が、デザイン以外の人たちに相当壁をつくっている。

Takram 田川欣哉氏 [DESIGN AND PEOPLEより]

デザインを主張するのではなく溶け込ませること。職種間の隔たりを無くすことを最終的には目指したい。そうあるべきだと考えています。

部署・職種・役割にとらわれることなく、マーケティング・PR広報・コーポレート・エンジニア・事業部などの「他部署とひとつになる」ことが2024年の個人テーマになります。部署間の隔たりを仕組みと肌感覚で払拭すること。連携不要な部署は一つもありません。

目に見えない、感情・無意識・設計などの価値と重要性を見逃さない。不確実で曖昧な全体像を捉え長期的に溶け込ませる。「ひとつになる」ことを諦めない。そのような姿勢で来年に臨みます。


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