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高知の夏は、暑くて熱い!

高知では、旧公立学校校長・教頭会が母体となった教育研究団体「MIRAI教育研究会」が毎年夏と冬の2回、素晴らしく豪華な講師陣を招いてのセミナーを開催するなどして熱心に活動していらっしゃいます。この研究会の顧問の先生に以前からお世話になっていて、今回のセミナーにもお誘いをいただきました。
参加させていただくのは今回で3回目。
高知の『暑くて、熱い夏』をたっぷり味わってきました。



社会の変化とこれからの学校教育 ~主体性と当事者意識~ 
工藤 勇一 先生

午前中はみなさんご存じの工藤先生の講演。
オンラインでの講演ということであまり期待していませんでした(失礼!)。
しかし、圧倒的な切れ味と説得力、迫力に圧倒された105分でした。
ご著書をたくさん読んでいましたし、これまでも和歌山県主催の講演会でお話をうかがったりYouTubeでご講演を拝見したりしていましたが全く違う内容に感じられるほど、素晴らしい講演でした。
「これだけでも来た価値があるやろ。」
と、お世話になっている顧問の先生もおっしゃるほどの内容でした。
聞けば「オンラインで2回の講演でなければ、伝わらない。」という工藤先生ご自身の希望で今回と次回の2回に渡る講演という形で実現したとのことでした。

ご著書でも述べられているように「何より大切にすべきことは、主体性・当事者意識」であるということが、お話をうかがって一層腹落ちしました。

主体性については、「自主性」と「主体性」の違いを知り、生まれながらに持っている、主体性を失わせない方法について考えさせられました。
個別最適化とは、自分で試行錯誤を通して見つけていくもの。
そして、自律する力を育てる方法として、自己決定と自分をコントロールすることの2点が述べられていました。

当事者意識については、対話で解決する方法を身に付けることについて述べられました。
「心」で解決しようとするのではなくて「理性」で解決する訓練が必要であることにも気付かされました。

あっという間の105分。
このお話が聞けただけでも高知まで足を運んでかいがあると感じられる素晴らしい内容でした。


子どもとの関係性を築くための心の距離感について
小栗 正幸 先生

午後の部の講演は元宮川医療少年院長で、現在三重県教育委員会発達障がい支援員スーパーバイザーの小栗先生。特別支援教育の専門家です。予約の取れない講師として有名で、3年越しのラブコールでようやく今回の講演となったそうです。

ユニバーサルデザインの独創性と原則を踏まえた上で、支援が必要な子どもに対する支援の実際と留意点についてたくさんの学びを得ました。
特に印象的だったのは、簡単な手伝いをさせて褒める機会をつくることの大切さでした。
愛情を求める子に愛情を与えるのは、つきない欲求に導いてしまうので、かえってかわいそうな思いをさせてしまう。応えてやれるのは、承認欲求、というお話は、まさに目からうろこ、でした。
また、褒めることの少ない子に対して、ついやってしまうのが「褒めるハードルを下げる」こと。他の子では褒めないことで褒めてしまう。そうすると子どもによっては「馬鹿にされた」と感じてしまう。だから、簡単なお手伝いをさせて褒める場を作ることが一番よい、とのお話は、初任の先生方にすぐに紹介したいと思いました。

認知行動療法を基盤にした実際の指導例の数々は、学校現場の困りごとの答えとして、とても貴重な示唆をいただきました。



インクルーシブ教育の実現に向けてできること ー多様な子どもがいることが前提の学校づくりー  野口 晃菜 先生

最後の講演は、一般社団法人UNIVA理事の野口先生。
大学や様々な自治体と協働して、インクルージョンに向けた実践・研究に取り組んでいる方です。

子どもたちが多様であることを「前提」として学校を考え直すと、マジョリティの子どもたちだけがいることを「前提」にしているという現状に、はたと気がつきます。
困難さの原因を個人モデルと社会モデルに分けると、自然と社会的障壁が浮かび上がり日本の課題が見えてきました。

後半は学校での多層的な支援、意見表明権に触れながら先進校の取組を紹介いただきました。

大切なこととして挙げられたのは、「今の“ふつう”で困っている人がいることを知ること」「アップデートできる部分とできない部分を、困っている人と困っていない人、そして先生との話し合いで決めること」の2点。
素晴らしい実践の数々と研究の成果に心を打たれました。


最後に

今回も、期待を遥かに上回る素晴らしいセミナーでした。
参加させていただき、本当にありがとうございました。
高知の先生方の、高知の子どもたちの未来を拓こうとするパワーに圧倒されました。
次回は、令和7年の1月11日に開催されます。
工藤先生の講演の後半がありますし、何と、あの森万喜子先生も登壇されるとのこと。
必ず、参加させていただきます。
高知の先生方、引き続き、どうぞよろしくお願いします!

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