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「経営とデザインのかけ算」を読んで、人とデザインを経営の主軸に置く意味を考えてみた

hacomonoの蓮田です。

2020年年末に「経営とデザインのかけ算」という本を読みました。

本の中で、デザイン思考の出発点は「人」にあると書かれていますが、改めて思ったのは
・「人間」を起点としたデザインと、
・「人間」を起点とした経営
がデザイン経営の根本であると言う点でした。

書評を兼ねて、「人」と「デザイン」を経営の主軸に置く意味を整理してみたいと思います。

2020年 hacomono選定理由 No.1は「デザイン性・操作性の良さ」

hacomonoはデザインとエンジニアリングを大切にプロダクトを作ってきましたが、2020年もおかげさまで多くの店舗に新規導入または乗り換えをしていただき、デザイン性や操作性の良さが最も多い選定理由でした。

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機能一覧表やコスト対効果で比べられがちなB2B向けシステムの中では珍しいですが、製品価値や企業カルチャーの軸にデザインを置くことは、この時代理にかなった戦略と考えています。

注意点として、デザイン性を売りにした場合、高い性能は前提条件である点。Appleも性能は謳うまでもない状態だからこそのデザイン力で、それが伴っていないと期待外れで終わります。

SaaSであればチャーンが多い状態になってしまうはずなので、高い機能性を前提としたデザイン性の強化であることは言うまでもありません。

デザイン思考・デザイン経営実践企業は日本ではかなり少ないらしい

本の中にもありましたが、株式会社ビビビットが発表した「デザイン経営」「デザイン思考」に対する企業の意識調査によれば、

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・デザイン経営を導入している企業は、わずか15%未満
・デザイン経営を導入している企業のうち、売上・利益率の増加に効果があったと回答した企業は70%以上

この調査から見ると、採用していない企業がほとんどではあるが、採用している企業の大部分が効果を上げています。

海外では「Apple」「ダイソン」「Slack」が有名ですが、経営者自らが旗振りになっていることが特徴です。

私も日本で尊敬する会社はデザイン経営を取り入れていて、高単価商品かつファンが存在しているメーカー企業で、

デザイン = 見た目と誤解されがちですが、
デザイン = 設計という意味であり、企業カルチャー、製品コンセプトなど全てにおいて「人」や「社会」を軸としたストーリーをつなげた設計作業が根本には必要です。

デザイン思考のスタートラインは「人」を中心にプロダクト設計、組織設計するという考え方

機能や技術起点では「機能的価値」しか生まれず、人起点にすることで「情緒的価値」という独自性が生まれます。

人を中心とした考えで、潜在的な欲求を導き出し、そこに技術を結びつけ人々が求めているプロダクトを作り出すことなので、シンプルに「人」に興味を持とうということが全ての経営活動の原点です。

顧客と対話し、つながれる状態を作ろう

人を起点にするので、メンバーが常に顧客の声を聞くことは大切です。
しかし「顧客の声を聞け」と言って動くのも難しいし、継続することは難しい。

だから入社オンボーディングだったり、顧客インタビューや定期的なコミュニケーションだったり、日頃から顧客の声を聞き、「顧客一人ひとり」に興味・共感を持ちやすい仕事環境やルーチンを作り出すことが大事です。

利用する顧客がプロダクト作りを応援し、巻き込まれたくなっているような状態までできるのが理想的。これは難しい制度設計なので、メンバーに委ねるというよりは、トップダウンで方針定義すべきと個人的に思っています。

hacomonoでは「カスタマーインティマシー」(顧客と親密な関係を築き、長期の安定した良好な関係を築く)を経営方針の1つに掲げて、各チームの戦術に取り入れようとしています。

ただし、プロダクト設計において言われたことをただ作るのはNG。

一歩下がって汎用性や差別化・タイミングなどを考えながら「正しい設計」に導くことが、受託開発とプロダクト開発の大きな違いなので、デザイン思考型のリサーチ・設計を進める際の注意点の1つといえます。

メンバーと対話し、つながれる状態を作ろう

デザイン思考における「人」を起点とした考え方は、プロダクト作りだけでなく、チームビルディングや組織設計においても大切です。

リーダーが「メンバー一人ひとり」に興味・共感を持って、メンバーが成長し、イキイキ働ける職場環境を作ろうということなので、言うのは簡単ですが、こちらも実践するには制度設計があるべきです。

hacomonoでは人事制度・評価制度の運用と、その過程として 1 on 1を定期実施することで、平等性高い評価基準を保ちながらも、メンバーひとり一人がきちんと話せる・伝えられる環境を維持し、

・アラートを検知したり、メンバーが話せる状況を作ったり
・理念・バリューの浸透状況を定期チェックしたり
・目標を見失っていないか、目標に向けて取り組めているか、学習できているか
などを上司・部下そして会社とつながれる制度設計を取り入れています。

変化や不確実性を受け入れよう

多くの人は現状維持を好み、変化を嫌うので、デザイン経営を進める中での難しさはここにあります。

迷うと無難な選択肢を取り、正解が分からないと多数決で決めようとする。しかし、そんな予定調和なチームからイノベーションは生まれません。

時代は変化するし、世の中のテクノロジーもどんどん変化・進化します。

変化 = イノベーションと捉えて、常に新しい発想・新しい技術を採用していかなければ、気づいた頃にはレガシーなプロダクト・企業文化になってしまいます。

・チャレンジする好奇心、常にアンテナを貼る好奇心
・変化や不確実性を受け入れ、学習するマインドセット

この部分は、普段の仕事から意識すべきでしょう。

今日やっている仕事を、来年同じことやっていたら負け

・プロダクトが進化しているか
・チームが進化しているか
・個人が成長し、新しい挑戦ができているか

同じ作業を何度もやるのは機械に任せて、人間は、顧客とのコミュニケーションや、創造的な挑戦をしていきたいもの。
デザイン経営が実践できているか?の指標として「今日やっている仕事を来年同じことやっていないか?」を自分たちのチームに問いていくのが良いと考えています。

デザインの価値を信じよう

モノが溢れている現代では、共感・あり方が問われていて、価格より体験・ストーリーが選ぶ理由になりつつあります。

今まで以上に、心の豊かさが求められる時代だから、心豊かな職場環境をどれだけ作り、情緒的価値を高めた製品・サービスを生み出していくかが競争力の源泉になります。

顧客体験の質を高めるにはデザイン性は欠かせないし、同じストーリーでも製品らしさに溢れたデザインで届けた方が人の心をゆさぶります。

デザインを大切にしておくと、お客様と対峙するメンバーがお客様から褒められるケースも増えるので、シンプルに売りやすい・説明しやすい製品になります。

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hacomonoは2021年も「人」に着目し、クリエイティブ重視の経営を進めてまいります。

・人が好きな人
・クリエイティブが好きな人
・そしてプログラミングのコードもデザインです。ただ動くだけでなく、より良いコード、綺麗なコードを書きたい、技術者として成長したい

そんな方達は、奮ってご応募ください。



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