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パフォーマンスマネジメントツールを導入する5つの決め手

昨今、旧来のマネジメント手法に代わり、「パフォーマンスマネジメント(Performance Management)」が台頭しています。

今回は、パフォーマンスマネジメントと、パフォーマンスマネジメントをより効果的に行うためのツールを導入するタイミングに悩まれている方向けのポイントをご紹介します。

1. パフォーマンスマネジメントとは

「パフォーマンスマネジメント」とは、従業員のモチベーションを引き出しながら、パフォーマンスを高める手法です。

具体的には、密なコミュニケーションをベースに目標設定や1on1、継続的なフィードバックを通じて、パフォーマンスを高めていくためのもので、単に従業員の業績を記録するだけの手法ではありません。

従業員が個人レベルで優れた業績を上げるだけでなく、キャリアを伸ばし、会社の目標に向かって努力していることを確認するために、重要なツールとなります。

経営者にとっても、優れたツールを使用すれば、ボーナスや昇給の設定、高業績者の抽出、従業員エンゲージメントの向上、優秀な人材の確保といった基盤を確立できるなど、非常に多くのメリットがあります。

その中でも、コロナ禍を経て、離職率がかつてないほどの勢いで増加している背景もあり、特に従業員エンゲージメントの向上がこれまで以上に重要になっています。

ところが、現状は表計算ソフトを使用し、業績管理をする程度に留まることがほとんどであり、最適なパフォーマンスマネジメントツールを導入・活用できている企業はそう多くありません。

2. パフォーマンスマネジメントツールとは

パフォーマンスマネジメントツールとは、その名のとおり、パフォーマンスマネジメントをより効率的、より効果的に行うためのツールを指します。

具体的には、リアルタイムなフィードバックや、1on1、目標設定の管理などを一括で行え、そのデータを蓄積するといった機能が一般的です。

ツールの詳細な機能や比較をより深く知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

しかし、そもそも自社にパフォーマンスマネジメントツールが必要かどうかを判断するには、どうすればよいのでしょうか。

以降で、パフォーマンスマネジメントツールに投資するべきタイミングを判断するための、5つの決め手を紹介していきます。

3. パフォーマンスマネジメントツールを導入する5つの決め手

■従業員数が30人以上である

いわゆる、「30人の壁」という言葉をご存知でしょうか?
これは、社員数が30名を超え、「集団」から「組織」へと変貌を遂げるタイミングで発生し始める諸問題のことを指します。

具体的には、階層化・チーム化に伴い、経営層と社員の距離が離れることにより、
・コミュニケーションの減少
・価値観のズレ
・個々人のモチベーションの上下などに気付きづらい

といった問題が発生することが多いです。

このような問題に対処するには、組織が拡大するより前に、パフォーマンスマネジメントツールを導入するなど、価値観のすり合わせや納得感のある評価を行なっていくことが重要です。

実際に、サムライト株式会社 経営管理Div.PSチームの松本奈菜様はこう語っています。

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社内でモチベーションに関するアンケートを定期的に実施している中で、組織風土への満足度(給与や評価への妥当性)についての項目が低いという結果が続いていました。

要因としては、社員規模が30-40名程度の時は、代表が全員に評価のフィードバックを行っておりましたが、人数が拡大していく中でマネージャーに権限を委譲していくことになった中で納得感にばらつきが発生したためでした。

このような状況を改善していく上でも、目標達成の状況や進捗確認・その他目標達成に向けたコミュニケーションや評価のフィードバックを体系的に整え、制度として運用していきたいと考えツールの導入を検討していました。

参考:HiManagerを通じて1on1の浸透と若手マネージャーの成長を実現【サムライト株式会社様】

このように、どのような組織であっても拡大に伴う問題は発生しうるものです。
自社の成長に伴う適切な痛みだと捉え、先手を打っていくことが非常に重要だと言えるでしょう。

早期に問題を発見するためにも、従業員数が30人を超える前に目を光らせるといいかもしれません。

■ 会社や部署の目標達成が困難である

みなさんにもこんな経験はありませんか?
・「明らかに目標が高すぎる」
・「どんな理由で目標が決まったのか納得感がない」
・「自身の目標が、会社の目標にどうリンクしているか分かっていない」

このような経験を持つメンバーが一人でもいる場合には、組織の業績管理がうまく機能していないかもしれません。

特に採用には成功していて、優秀だと思えるメンバーを採用しているのに目標達成ができないという場合には、自社の体制やツールを見直すべきタイミングだと言えるでしょう。

例えば、株式会社MUGENUP ・執行役員 小澤 哲也様は目標達成に課題を感じ、パフォーマンスマネジメントツールの導入を決定したと言います。

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なかなか目標を達成出来ていない状態が続いていたことが(導入の)きっかけです。

未達の要因は複数あるのですが、特に問題視したことはメンバー一人ひとりの努力が目標達成に結び付いていないことでした。

決してメンバーが頑張っていなかったわけではなく、努力をする方向性や評価基準がバラバラで、会社全体で一つにまとまっていませんでした。

まず、会社としてのミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を見直し、改めて私たちはなぜ・誰のために存在し、将来どのような状態・姿になっていたいのか、を定義しました。

しかし、MVVは抽象的であったり、将来の姿であったりするため、メンバーの足元の行動でそれを常に意識することは難しい。

メンバー一人ひとりの行動を束ね、企業として一つの方向に向けるためには、より解像度の高いゴールを設定する必要があると感じました。

そこでMVVとメンバーの行動をつなぐ役割として、OKRという目標設定の手段を導入することにしました。

MVVが全社OKRと紐づき、全社OKRから個人OKRに落とし込まれていきます。

また、OKRを形骸化させず、実行を支援・促進するために、何かしらのプロセスや仕組みを設ける必要があるとも感じました。

参考:HiManagerを活用し、OKR・1on1・称賛文化の浸透を実現。【株式会社MUGENUP様】

パフォーマンスマネジメントツールを導入することで、目標の可視化や目標達成までのコミュニケーションは容易になります。

ツールの導入を足掛かりに、メンバーとのコミュニケーションを進めていくと良いでしょう。

■従業員の離職が問題となっており、補充に追われてしまっている

米・ギャラップ社の調査では、「上司が目標設定に自分たちを関与させてくれている」と答えたメンバーは、熱心に仕事をする確率が3.6倍になるという結果が示されました。

現代の労働者、特にミレニアル世代にとって、キャリア形成と昇進は重要です。
同じくギャラップ社の調査によると、ミレニアル世代の87%が仕事において自身の成長と発展を重要視していると回答しています。

つまり、組織の中で成長の方向性を描ければより熱心な仕事に繋がり、描けなければ既存メンバーの退職だけでなく、採用にも大きな悪影響がある、とも言い換えられます。

そして退職者が発生する→補充を試みる→採用がうまくいかない→さらに退職者が発生するといったサイクルにはまってしまうと抜け出すのは容易ではありません。

そのような状況において、メンバーとマネージャーが目標、目的、キャリアアップについて円滑にコミュニケーションをとるのに役立つ、パフォーマンスマネジメントツールの導入は最適な打ち手の一つと言えるでしょう。

■人事考課が事実に基づいていない

通常、年1回の人事考課では、経営層・メンバーを問わず、ほとんどの人が1年間の重要な成果を振り返るために多くの時間を割いています。

しかし成功・失敗に関わらず、1年間の成果を簡単に記録できるシステムがない場合、事実に基づいた情報を引き出すことは非常に難しくなります

そして結果的に、事実だけでなく、印象や雰囲気といった要素が評価に組み込まれてしまう、という経験をされている方は多いのではないでしょうか?

逆に、優れたパフォーマンスマネジメントツールがあれば、重要な指標を記録し、組織全体からフィードバックを得られるようなデータを取得することが可能です。

パフォーマンスマネジメントツールを活用している株式会社Waris 代表取締役・河 京子様は、ツールを導入した成果を次のように実感しているそうです。

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毎週のアップデートや1on1のデータ蓄積を通じて、マネージャー層がメンバーの状況をリアルに把握できる状況が進み、マネジメントがしやすくなったと感じています。

例えば、リモートワークの場合、どうしても本人の不満や業務負担など、負の感情の察知が遅れてしまう場合もありますが、メンバーにはアップデートで率直に自身の思いを書いてもらっており、リアルタイムに状況を理解できるようになりました。
必要であれば人事からスムーズにフォローアップするなど、セーフティネットが機能しやすくなっていると思います。

さらに、称賛を全社でオープンで共有し、称賛し合えるようになったことで、メンバーの投稿を読んで「いいね」を押すなどのリアクションを通して、バリューの浸透や称賛文化の醸成に繋がっていると思います。

参考:HiManagerを活用し、リモートワーク環境でのチーム連携強化・称賛文化の醸成を実現。【株式会社Waris様】

このように、パフォーマンスマネジメントツールを適切に導入することは、人事考課だけでなく、文化の情勢やメンバーのエンゲージメントにも直結します。

自社の評価に納得感が持てていない(=エンゲージメントの低い)メンバーがいる場合、それはパフォーマンスマネジメントツールを導入するタイミングだと言えるでしょう。

■業務管理の方法が組織ごとに異なり、煩雑化している

企業の規模が大きくなるにつれ、業績評価、継続的なフィードバック、人材管理などに必要な作業はより複雑になっていきます。

また、特に業績管理をスプレッドシートやその他の手作業で行っている場合、各部門がそれぞれ異なる基準や方法でメンバーを評価している可能性があります

そのタイミングでパフォーマンスマネジメントツールを導入することで、会社全体の業績評価に一貫性が生まれます。
また、役割や部署に関係なく、それぞれのメンバーが適切な方法や頻度で評価され、組織全体でプロセスが統一化されるのです。

実際にアジャイルメディア・ネットワーク株式会社 管理部 リーダー 寺本 直樹 様は、パフォーマンスマネジメントツールを導入した背景をこう語っています。

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以前、上場を目指すタイミングで、組織としての体制を整備する必要があり、人事制度など一定の設計は行っていました。

しかし、実際会社の内側では未整備になっている部分も多く存在しており、制度の運用やマネジメントなどは部長・マネージャー陣に依存して実施されている状況となっていました。

加えて、弊社の社員は大多数が中途社員であり、マネジメントについては社内で体系化されたものというよりは、各自の前職までの経験や知識に従って行っていたため、社内でも複数のやり方が存在しており、アジャイルメディア・ネットワークとして何を大事にするのかという柱が、きちんと定まっていない状態でした。

そのような状況の中でも、半期に1回の人事評価や年1回の360度評価を実施しておりましたが、Excelなどのツールを使用したアナログ管理になっていたり、部署ごとに基準が異なっていたため、評価を一本化していくためにも評価ツールを導入しようと決心しました。

参考:HiManagerにより、組織状況の可視化・評価の効率化を実現!更なるマネジメントの転換へ【アジャイルメディア・ネットワーク株式会社様】

優れたパフォーマンスマネジメントツールの導入は、組織が成長するための明確なビジョンを示してくれ、個々人の適切な目標設定、能力開発やキャリアについてなど、マネージャーとメンバー間の生産的な会話に繋がります。

そして最終的には、メンバーが自分のキャリアと企業の成功を重ね合わせ、迷わず前進していける土台となるのです。

4. まとめ

いかがでしたでしょうか。

それぞれの組織には、それぞれ違うカルチャーや制度があり、それが魅力や強みに繋がっているはずですが、今回の記事で見てきたように、多少の違いはあれど、組織が抱える課題には共通項があるのも事実です。

あくまでツールはツールであり、魔法ではありませんが、パフォーマンスマネジメントツールとその導入事例は、種々の課題を解決するうえで非常に効果的なものと言えるでしょう。

ぜひ各社の事例や考え方を参考に、自社にとって最適な方法を考えてもらうきっかけになれば幸いです。

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