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急成長スタートアップにおける最適な人事制度の作り方~3ヶ月で人事制度を完成させる方法~

弊社はこれまでに、100社以上の人事評価制度に関するコンサルティングを行ってきました。

その中で、多くの企業では、いざ人事制度設計に取り組もうと思っても、人事制度は機密性が高い情報を取り扱うことから、各社の情報はあまり公開されていないため、何をすれば良いか分からない状態になっています。

そこで今回は、スタートアップ企業など、まだ従業員数の多くない企業様に向けて、実際に運用可能な一般的な人事制度(等級制度・評価制度・報酬制度)を、スピーディ(3ヶ月程度)に完成させる方法を解説させていただきます。


この度は、2023年4月に開催させていただいた「オンラインセミナー」を元にレポート形式でお届けします。

皆様、こんにちは。本日はご参加いただきありがとうございます。
ハイマネージャー株式会社で代表をしている森と申します。

私は前職でPwCというコンサルティング会社で人事コンサルティング領域に従事していました。

本日は人事制度作成の3つのポイントについてお話をさせていただきます。

人事制度作成の流れ

人事制度を作成する流れは大きく以下の3つにまとめられます。

1つ目が、人事制度設計する上で何を決めて全体として何を設計するのかをまず押さえていくことです。このポイントが一番重要です。

2つ目が、人事制度ポリシーを作成し、3つの基本パターンからどれが近いのかを参考にしながら、概要を設計していくことです。

そして3つ目は、概要設計が完了したら、最後に詳細化を行い、運用していきながらアップデートするということです。

これら3つのことが人事制度を作っていく上での大きなポイントになります。

それではそれぞれのポイントについて詳細をご説明します。

人事制度設計に必要な論点を抑え、全体像を把握する


まず一つ目の人事制度に必要となる論点を抑え、全体像を把握するというポイントですが、人事制度を作っていく上で、他社がどのように人事制度設計を行うことが多いかというと、上記の図のように、会社の目指す姿、事業計画、企業文化、求める人材像そして人事制度ポリシーがあり、それが等級制度、評価制度、報酬制度という形に落とし込まれていくような流れになっております。

細かい論点は色々ありますが、まずはSTEP1の現状分析で、現行の人事制度があれば、現状の人事制度の課題把握や経営層のインタビューを行い、人事制度ポリシー作って、概要設計して詳細設計して導入準備というような形で進めていきます。

論点につきましては、上記の人事制度の論点一覧にて約40個記載されており、各論点に対するオプションや推奨案というものも記載されております。

こちらの資料を活用いただいて、全体で何を決めるのか、全量がどうなってるのかをまずは把握されることが重要になります。

よくある失敗例として、上記の流れ通りに設計をしないと、各STEPを行ったり来たりします。

例えば、人事制度ポリシーがないまま等級制度を作り、評価制度の細かい評価項目や報酬制度を作って昇格降格のルールはどうするべきかということで、また等級制度に戻ったり、ストックオプションをどうすべきかで報酬制度に戻り、今度はバリュー評価はどういった形を行うのかというような形で評価制度に戻るというようなことが起こってきます。

そして、だんだん等級制度、評価制度、報酬制度の方針の整合性がとれなくなったり、何を決めなければいけないのかが分からなくなり、途中でやる気がなくなり、時間もなくなってしまうということが他社さんでも多く起こっています。

やはり人事制度ポリシーをまず最初に作って、概要設計して、そっから詳細を設計するという流れで進めていくことがとても大事になるかと思います。

具体的に言いますと3ヶ月で人事制度を設計していく場合には、下記の図のイメージのようになります。

例えば年末までに人事制度を作成して9月から設計をスタートする場合であれば、9月の前半に、現状分析を行い、後半から概要設計を行います。

こちらは3ヶ月+1ヶ月がバッファになっていますが、前半の1ヶ月でほぼ概要設計を作り、後半の2ヶ月で詳細化をして、最後のバッファの1ヶ月のところは準備期間をする形で設計することが多くなっております。

人事制度ポリシーの作り方

まず初めの人事制度ポリシーの作成ですが、会社の掲げる人事制度のサマリーをまとめていくというような形になってます。

例えば、一つ目にキャリアパスを明確にして、しっかりとキャリアを描けるようにしていく、成果とバリューの両方を評価する、リアルタイムフィードバックを取り入れる、成果を掲げてる社員に還元する等の内容になります。

例えば以下のソフトバンクさんの人事制度のポリシーですと、勝ち続ける組織の実現、挑戦する人にチャンスを、成果に正しく報いるというような形で、その会社の掲げている人事制度ポリシーの根幹を作っていくというところが最初になります。

そして、基本的に会社の目指す姿や事業計画と連動して作られていくような形になります。

ソフトバンクさんの例ですと、IT産業で特に商材とか商品にはこだわらず、常に自由の最先端のサービスを提供してナンバーワンであり続けるというところが事業戦略としてもあると思いますので、そういったものがうまく体現された形で勝ち続ける、挑戦する人にチャンスを与える、成果に報いるということでソフトバンクさんの事業戦略や、カルチャーと連動した人事制度ポリシーになっています。

では、人事制度ポリシーを作っていく上でどういった観点で考えばいいのかを弊社がヒアリングで活用しているフォーマットを基にご説明します。

まずその会社のミッション、どういうビジネスを行っているのか、事業計画や今後どういう課題に取り組んでいくのかなどを考えてます。

他には、どういう人を採用したいのか、逆にこういう人は退社して欲しいとか、自社の強み弱み、どういう人材像が必要なのかということを書き出して、最終的にどういう人を評価していきたいのかを人事制度のポリシーとして落とし込んでいくとスムーズに設計をすることができます。

ここまでがSTEP1の人事制度ポリシー策定フェーズでした。

人事制度ポリシーを策定し、人事制度の基本となる3パターンを参考に概要設計を行う


そして人事制度ポリシーが完成したら、人事制度の基本となる3パターンをもとに、概要設計を行い、等級制度、評価制度、報酬制度に落とし込んでいきます。

ここでは、大まかにどういう方針で等級、評価、報酬を作っていくかというSTEPになるので、あまり細かいことは決めずに進めていきます。

弊社がこれまで100社以上ご支援させていただいた中で大体この3パターンで分類できるんというものをまとめております。

大きく分けて以下のスタンダード型、バリュー重視型、ジョブ型というものがわかれるような形になっています。

それぞれのパターンで、等級制度、評価制度、報酬制度がどうなっているかをご紹介します。

スタンダード型は、等級制度は役割等級というもので、役割に応じた等級を設計し、評価に関しては成果と行動の両方を見ていく、報酬に関しては、その総合評価で報酬が決定し、基本給が上下するといったのがよくあるパターンになります。

バリュー重視型は、等級定義の中にバリューの要素も含めて、別途行動評価という行動評価表を作らず、バリュー評価で、そのまま等級定義の中のバリュー定義を使って評価するというような形になっています。

最後にジョブ型は、いわゆる職務評価や、また役割評価というもので、その人がどういう役割職務を担っているのかをベースに評価して、プラスアルファ賞与を出している場合は成果で、還元していく形になっています。

これだけだと分かりずらい部分あるかと思いますので、実際に他社さんの事例もまとめております。

まずスタンダード型は具体的にはこのようなイメージです。

等級定義が役割に基づいて設定されており、この定義の充足度合いによって昇格や降格をしていきます。

そして昇給は何で決まるかというと、いわゆる目標の達成度と行動発揮度で、これが成果評価と行動評価があって総合評価が決まって、レンジ内で上下するというような形になっています。

具体的な事例ですと例えばスタートアップであるラクスルさんはスタンダード型になっています。

こちらは公開されてる資料ですが、上記の図のように、等級定義が決まっていて、等級グレードが7個あり、その中に要素が課題解決、専門性、組織貢献といったものなど、それぞれに役割や能力が記載されています。
このようなものが等級定義となっており、そこで昇格が決まります。

給与に関しては、プラスアルファで成果と能力になっており、基本的にはバリュー評価の行動と成果で、総合評価を出して、レンジ内の昇降級をするというような形になっています。

こちらが一番多い形で、50%50%のウエイトをつけて評価するというイメージになっております。

出典:ラクスル株式会社紹介資料/RAKUSUL Introduction

その他の事例ですと、10Xさんです。
こちらも公開されてる資料になりますが、等級定義がそれぞれあって、リーダーシップの発揮度、求められる成果、能力の発揮と、こういった3要素で等級が決まっていて、これで昇格降格が決まっていくような形になっています。

出典:株式会社10X - Culture Deck

評価に関しては、先ほどのところで、期待する成果が目標設定の評価になっており、期待する行動がバリュー評価になり、成果評価と行動評価で総合評価出す形になっております。

出典:株式会社10X - Culture Deck

つまり、等級があり、成果と行動があって、等級は昇降格にして成果と行動で基本給が決まるというような形になっております。

出典:SmartHR会社紹介資料 / We are hiring

SmartHRさんも同じような設計になっておりますが、かなり細かく職種別に様々なタイプがある形になっています。

こういったタイプ別に、等級の定義があって、等級が決まると評価によって昇降級が何で決まるかというと、ミッション達成度、目標達成度になります。

あとは価値観マッチ、つまりバリュー評価で、行動はバリュー評価で見て、プラスアルファ基礎スキルも見てますが、基本的な成果と行動で見ていくようなそんな形が、スタンダード型になってます。

出典:SmartHR会社紹介資料 / We are hiring

大部分の会社はこのスタンダード型というところが一番ベースになりますので、これが一番フィットすると思います。

二つ目のバリュー重視型ですが、先ほどのスタンダード型場合では、等級定義の中に基本的にはバリューの要素っていうのは含まれない形になっています。
ただ、そもそもバリューの中身自体を等級定義に使うというのがバリュー重視型というものになります。

具体的にはメルカリさんの公開されている資料を基にご説明します。

等級定義の中にこのバリュー発揮コードっていうものを組み込んでいまして、等級定義表とバリュー評価表が別ではなくそれが一体形になってるような形です。

その場合は、基本的に等級定義の中に全て求める成果や、バリューが記載してあるため別のバリュー評価表というものは作りません。

つまり、等級定義表に基づいて、成果は目標達成度で見て、バリューは行動評価で見てそれで総合評価が出て昇降級するというような形になっています。

先ほどのスタンダード型と何が違うかといいますと、バリュー評価表は別途作成しないので、等級定義に含まれています。

これによってバリューの発揮度っていうのも昇降格に影響するような形になってますので先ほどの違いでは昇降格に厳密にはバリューは影響しないんですが、バリュー重視型だと、昇降格にもバリューが影響するので、よりバリューが評価のウエートを占めるような形になっております。

最後はジョブ型です。
スタートアップでは採用するケースは少ないです。

等級定義の役割に基づいて、基本給の昇格降格、昇降級も決まり、目標達成度でプラス賞与を出します。
基本的などれぐらいの役割を担っているかで基本給が決まると形になっております。
具体的なイメージで言うとその等級定義に基づいてその人の役割をスコアリングするようなイメージになってます。

例えば、要素として専門性、コミュニケーション、問題解決、成果という4要素があったときに、このそれぞれの中で二つわかれているとして、点数付けをして例えば21点であれば、サイズ3というような形で決まります。

これに近いイメージがユーザーベースさんです。

出典:(JP)Uzabase HR Handbook

ユーザーベースさんはコンピテンシークライテリアというふうに呼んでますが、同じ等級の中でもサイズが1~3個あって、どれぐらいクライテリアを満たしてるかによって変わるというような形になっています。
このようなイメージがジョブ型になってます。
基本的なサイズ3等級3-3であれば、年収例えば600万円、2であれば550万円、1であれば500万円といった形で決まる場合が多く、細かく評価結果によって上がったり下がったりするというよりは、役割によってサイズが決まって、重さが決まるというような形で、どういうぐらいの役割を担っており、どのような役割の重さなのかで基本給が決定するというような形になっております。

出典:(JP)Uzabase HR Handbook

ユーザーベースさんの場合は、コンピテンシーは3つの項目で定義しており、Execution、Value、Edgeという形で、バリューも役割の中の一つに入っているんですけども、こういった項目をもとに点数を出して、その点数に応じてサイズが決まって、金額が決まるというイメージになっております。

こういった3つの型が大きくはベースになっており、弊社では100社以上ご支援させてますが、基本的には7、8割以上はスタンダード型で、等級定義や役割等級で、評価は成果と行動で見て総合評価で基本給が決まるというようなところが一番ベーシックなものになっております。

ただバリューがかなり評価の中でも重要でそこを特に重視していきたいという場合は、バリュー重視型も考えられますし、海外の人の採用が多かったりとか、本当に役割によって、一気に金額を変えていきたいというような場合はジョブ型を取るようなケースもあります。

そのあたりは、人事制度ポリシーを基に、どういうパターンが適切なのかっていうのを判断していくような形になっております。

詳細設計を行い、運用しながらアップデートする

最後に詳細設計についてご説明します。

等級の種類については3つあります。

職能等級というものは基本的能力が上がれば上がっていくようなものになっています。
職務等級は、個別にジョブディスクリプションを作っていきます。
役割等級はそのポジションに応じて決まるというような形になっております。

職能等級に関しては、能力をベースに上がっていくような形になっており、自分がリーダーであろうとマネージャーであろうと、そこはもう関係なく、能力が高ければ高くなるほど上がっていくというような形です。

そして、ポジションが変わっても能力が下がらない限り等級は変わらないというのは職能等級になります。

職務等級は、個別にジョブディスクリプションを作って、そこがどれぐらいの重さなのかを元に評価するような形になっています。

役割等級はポジションによって変わるような形になってますので、メンバーなのかリーダーなのか、事業部長なのか部長なのかといったポジションが変われば等級が変わるというな形になっております。

大企業で多いのは職能等級です。
ローテーションがあって、長い間をかけて育っていくような組織に関しては能力が上がっていけば、ちゃんとその分報いられるような職能等級が多くなっていています。

外資系の会社は職務等級で、ジョブディスクリプションが決まっていてそれに基づいて評価されることが多いです。

スタートアップに関しては、役割等級が多く、ポジションごとに決まるというイメージになります。

次に等級の段階についてご説明します。

多ければ多いほど昇格実感はありますが、その差がわかりにくくなったり、少なければ少ないと昇格の実感が見にくくなるというようなところに課題があります。
ただ、基本的には人数によって規定されることが多くなっています。

おおよそ20人以下であれば4段階ぐらい、50人以下であれば、5段階ぐらい、100人で6段階ぐらい、300人~400人になって7段階、8段階ぐらいといったイメージで、等級の数に関して従業員数によって決まるような形になっています。

次は等級定義の要素になります。

等級の段階数が決まったあとはコースを分けていきます。
例えば多いのはマネジメントとエキスパートコースで分けたり、さらにマネジメントの中をビジネスとエンジニアで分けたりなど、こういったコースがあり、各等級段階があってさらに中身を等級の要素を決めていく流れになっています。

コースに関してなんですが、分ければ分けるほど、複雑になりメンテナンスコストが高くなりますが、利点としては、役割を各コース別に規定することでより具体化できるということがあります。あとは基本給が全く違ったりするので同じコースだと、その運用が難しいというところがあります。

他社さんで一番多いのは、上記図のパターン2のマネジメントコースをビジネスとテックサイドで分けて、テックサイドの方が大体ビジネスサイドより1.3倍ぐらい報酬の金額高かったりしますので、そこの差をつけて分けていくというような運用が多くなっております。

あとは従業員が30人を超えてきたらエキスパートコースを作ってマネジメントで上がっていくのかエキスパートに上がっていくということを選べるような運用にすることが多くなっています。

そして先ほどの、専門性、コミュニケーション、問題解決、責任・影響度といった要素を参考に等級定義を作っていくというような形になっております。

例えば、ディレクタークラスであれば、国内外にも影響を与える専門性を持っているとか、複数の組織、複数のプロジェクトマネジメントするというコミュニケーションの範囲があったりとか、マネジメントの責任がどうなってるのかといったことを決めていく流れになっています。

実際の内容としては、各要素別に文言を作り、規定するようなケースが多く、先ほどのこの等級定義の要素を参考に、専門性、コミュニケーション、問題解決、責任影響度というこの四つの軸で細かい中身はくくって、作成するというなケースが多くなっております。

あと昇降格に関しましては卒業要件と入学要件というような考えがあります。

昇降格に関しましては、卒業要件と入学要件というような考えがあり、今いる等級で基準が全部できていれば次の等級なれる可能性があるというものが卒業要件になっています。
逆に、上の等級になるときに半分ぐらいを満たしていないといけないものが入学要件になっております。

出典:株式会社10X - Culture Deck

先程の10Xさんを例にした場合、卒業要件は、リーダーシップの発揮、求められる成果、能力の発揮というこの3つがあったときに、この全部ができていれば3等級になれる可能性があるということです。

逆に入学要件に関しては、3等級に上がるときには、この3つのうちの大体半分ぐらいはできてなきゃいけないっていうような考えが入学要件になっています。

運用に関しては、いくつか考えがあって、ハイブリッドにするというケースもあります。

スタッフ層に関しては、卒業要件で結構上がっていけるようにして、マネージャーに関しては、しっかりと上がったときに、その半分ぐらいできていなければいけないということで入学要件にしていくというような考え方もあります。多いのはこのハイブリッド型です。

先ほどの昇格のところは、昇格の対象者を決めて、昇格者を検討して昇格者決定するというところで評価調整会議を行うようなイメージなります。

続けて評価ですが、ここに関しては先ほどの3パターンがどのパターンなのかということはありますが、基本的には成果と行動で総合評価を出していくというパターンになります。

具体的には成果評価と行動評価があり、総合評価が出るというような形になっています。
成果評価、行動評価でウエイトがあり、それぞれ点数が出て合計点を計算して、この合計点で総合評価を出すが一番多いです。

ウエイトに関してもいくつかパターンがあります。
先ほどラクスルさんのように成果と行動も50%、50%という形で、基本的には均等で両方を見ていくパターンです。
多いのは、等級が高くが高くなるほど、成果をより重要視するというパターンになります。
逆に、等級が高くなるほどより中長期的な行動を見ていきたいということで行動を実施する会社さんもあります。

それぞれメリットデメリットがあります。

等級が高まれば高まるほど、基本的には成果を見ていくために、上位等級がより成果を期待されるというような形になりますが、懸念点としてはバリューが、上位等級に関して重要性が低くなってしまうように見えてしまうので、バリューをしっかりと重要視したいという会社さんは上記図のパターン3の均等にするという形が一番よろしいかと思います。

そして総合評価がレーティングによって決まります。

では、各成果評価、行動評価をどうやって出していくのかについてご説明します。
成果評価に関しては、MBO、OKR、KPIなどいくつかパターンがあります。

最近はリモートワークで、OKRという目標設定の手法が使われることが多くなっています。
OKRとはGoogleやメルカリさんで使われてるような手法になっていて、目標を公開したりするような手法になっています。
OKRに関しては6、7割ぐらいでチャレンジングな目標立ていくのが教科書的な運用になっていますが、ただ実際はこの6、7割にすると結構評価の面で運用が大変になるために、MBOと同じように100%達成をベースにして、ただ公開したりとか、密にコミュニケーションして、軌道修正していくというところが、最初にスタートする場合は一番やりやすいかなというふうには思っています。

その場合には、MBOと同じような形で、各目標がいくつかあったらそれぞれのウエイトが設定されていて、達成率があって、達成率ごとに点数が出て、それを元に計算するイメージで評価する形になってます。

バリューに関しては、各等級別にバリュー定義があり、各等級別の基準がどれだけできてるか基準通りであればBですし、上に近ければA、というような形で評価します。

バリューも同じように基本的にこのウエイトは均等が多いですが、このウエイトを元に評価結果が出て点数が出るというような形になっております。
それが最後またこの成果評価と行動評価の点数に戻ってきてウエイトが掛け合わされて総合評価が出るという形が多くなっております。

またバリュー評価の参考に360度評価を行うというケースも結構多くあります。
バリュー評価の設問と同じで、上司が承認した関係者の人が評価をしてそれを上司評価に参考にするというケースも結構あります。

評価の流れとしては自己評価して一次評価二次評価して、評価調整会議して結果面談で伝えてというような形で進んでいくようなケースが多いと思います。

報酬に関しては、基本給手当、一時金、インセンティブ、賞与、SOなどがあると思いますが、こういったものを設計していくような形になっております。

基本給に関しては、内部公平性とか外部競争性というものを見て、外部の市場水準にちゃんと合わせてくっていうところと、エンジニアだけものすごく高くなるとか、例えば特定の職種が高くなるとなると、なんでその差が出るのかということもあったりするのでこの辺りバランスとりながら設計していくというな形になります。

レンジに関してこのような形ですねコース別に設計するというような形になっています。こちらも公開されてる情報ベースですが、いくつか会社さんがSpeakerDeckなどで公開してたりするので、そのあたりはご参考にいただければと思います。

レンジとしては重複型、接合型、階差型があり、基本的にはこの重複型が多くなっており、採用の柔軟性担保するために一定ちょっと重なりをつけるという形になります。

一般的には積み上げ式に多くなっており、評価によって上がったり下がったりするというような形になっております。

その評価の報酬の反映の仕方ですが、細かくラダーを作っていくってのもあるんですが、従業員50人ぐらいまでであれば、裁量に任せて個別に調整する方が、例えば辞めてしまいそうな人を一気に上げたりですとか、調整とかできたりするのでちょそれが公開されてないと従業員の方からしたらわかりづらいってのはありますが、最初は柔軟にコントロールが利くこの左側を参考にレンジ内で調整というところでも良いと思います。

50人とか100人ぐらいなってきたら右側のレンジ組んで、評価結果で動かしていくというケースもあるかと思います。

手当に関しては、これもいくつかの会社さんのものをまとめたものなんですが、いろんな手当があって働きやすさとかスキルアップなどがあります。
このあたりの内容を参考にですね自社に合ったものを選んで頂ければと思います。
絶対に入れなきゃいけないものではなかったりとか、このポリシーがかかってくる部分で、割と成果を重要視してきますみたいなポリシーだった場合に、そこに関連するなものを入れたり、もっといろんなダイバーシティってことで多様な働き方を実現できるような制度にしていきますみたいことであれば、例えばシッター代補助とか育児環境補助とかそういったものも考えられると思うので、このあたりは会社のポリシーによって決まるかと思います。

SOについては、基本的には入社時の考慮にするというところで、入社のときに支給して、その分基本給調整するというような形が多いです。

プラスアルファ信託型SOのような形は、評価結果のときにあげたり、多いのは、最初の入社時の考慮と信託型になります。

これまでは人事制度設計に関するお話をさせて頂きましたが、実は人事制度を作る事自体は全体の3割に過ぎず、本当に大切なのは運用です。

運用してさらにブラッシュアップしていくこと、そしてマネジメントの部分も大切です。

先ほどからお話しているパフォーマンス・マネジメントという考えが、今一番主流の考え方になってきています。

1年に1回目標立てて、中間評価して期末評価するというところだとやはり時代の変化やエンゲージメント高めていくところにはなかなか追いつかないことになってきています。

この目標を立てて、間で1on1をして、細かくフィードバック・称賛して評価するというような、そんなパフォーマンス・マネジメントが大切になってきます。

弊社では、そのようなパフォーマンス・マネジメントを実現するための人事制度設計やSaaSによる運用のご支援、研修等を行っておりますので、何かございましたら、お気軽に御相談頂けますと幸いです。

改めて、本日は人事設計の設計のポイントを3つご紹介をさせていただきました。

1つ目は、人事制度設計に必要な論点を押さえ、全体像を把握すること。
2つ目は、人事制度ポリシーを作って、先ほどの3パターンを参考に、概要を設計していくこと。
3つ目は、詳細設計では、上記でお伝えした細かい論点が色々ありますので、どれが良いのかを選んで決めていき、かつ運用しながらアップデートしていくこと。
この3つがとても大切なポイントになります。

本日はありがとうございました。