#22 頸椎の解剖学

皆さんこんにちは、パーソナルトレーナーの古寺健吾です。

北海道札幌市で
フィットネスで人生を豊かに」をモットーに、多くの方の健康に寄り添うお仕事をさせて頂いております。

このnoteマガジンでは、主に「健康」や「身体」に関する内容の記事を毎週アップしていきます。

第22回目となる今回のテーマは

頸椎の解剖学

について。


▼頸椎概論

頸椎とは、首の部分を指している単語です。

後頭関節(頭蓋骨・頭蓋骨と頸椎の繋がりが大きい部分)が最も可動域が高く、第1頸椎と第2頸椎は歯突起と呼ばれ、第2頸椎から突出している骨に対し、第1頸椎が被さるように乗っている(環軸関節)点が、頸椎の特筆すべき特徴です。

大前提として、頸椎という部位は肩や首の凝りなどで悩みを抱えているクライアントが多い部位ですが、基本的に強い力を与えない事が重要です。

骨や筋などの組織的な問題が凝りの原因に繋がっている場合は、強い力によるアプローチは効果的ですが、そうでない場合も存在するため、安易に判断し突出的な治療を行うのは望ましくありません。

筋肉の凝りがひどい場合でも、本人がそれを感じていないという場合も多く存在し、身体のトラブルの「感じ方」は万人に共通ではない為、傷やけがなどの急性的な問題でない限り、組織的な問題=身体のトラブルというわけではないのです。

力任せのアプローチは、むしろ神経系に新たなトラブルを起こしかねない行為となります。

▼頚部の姿勢不良

頚部の姿勢不良=ストレートネックが非常に多く見受けられます。

ストレートネックを骨格筋レベルで解説すると、頸椎の前弯が失われてしまっている状態と言えます。

ストレートネックは胸鎖乳突筋の影響が大きく、胸鎖乳突筋の両側が同時に張った状態になると、上部頸椎が伸展・下部頸椎が屈曲しストレートネックが生まれてしまいます。

人類とその他の四足歩行の動物を比較すると、人類が脳を発達させる(頭部を肥大化させる)過程において、首が前に出た状態だと頭部を肥大化させた際に首が頭部を支えきれずに落ちてしまう為、スムーズに二足歩行が出来るように進化し、その結果、胸部の上に頭部が乗っている形へと進化しました。

ストレートネックの捉え方は、胸鎖乳突筋が働く事により頭部が前方へ突出していると考えるより、何かしらの姿勢不良が起き、身体のバランスを保つために結果的に頭部が前方に突出し、頭部の落下を防ぐため胸鎖乳突筋が働いていると考えた方が良いでしょう。

この前提を理解しているか否かで対応が変化します。

胸鎖乳突筋の凝り=ストレートネックという知識のみであった場合、単純に胸鎖乳突筋をリリースし、その結果胸鎖乳突筋は筋長を保てなくなり(頭部を支えきれなくなり)他の筋肉が働く事となります。

胸鎖乳突筋の凝りが取れる=根本的なストレートネックの改善とはならないのです。

胸鎖乳突筋に捉われず、他の筋群や骨盤などにも目を向け、本質的なストレートネックへのアプローチを考える必要があります。
※安易な胸鎖乳突筋へのリリースを行わない事が重要

胸鎖乳突筋は頸椎の伸展、屈曲のどちらの動作にも作用します。

体内には頸椎が屈曲、伸展するのか判断する「軸」が存在しており、それに対し胸鎖乳突筋が前と後ろのどちらに働くかによって伸展か屈曲が決まります。

頸椎の後弯を作るように顎を引くと、胸鎖乳突筋は頸椎より前を通る状態となる為、屈曲方向に働きます。
逆に前弯が強まった状態になると、頸椎より後ろを通る状態となる為、伸展方向に働きます。

胸鎖乳突筋はどちらにも作用する為、上部頸椎の伸展、下部頸椎の屈曲という状態が出来上がった際にストレートネックが生まれます。

ストレートネックのクライアントに対し、椎前筋のトレーニングを行ったとしても、瞬間的な解決にしかならず、最悪の場合、状況の悪化も考えられます。

骨盤、脊柱などの問題に目を向け
「なぜ頭部が前方に出ているのだろう?」
という点を解明し、それに向けてのアプローチを行う事が重要となります。

▼頚部不安定症

頚部不安定症(画像初見上では判別できないが、明らかな頸椎の違和感を感じている場合)は、特に第2頸椎に多く、原因としてはストレートネックや胸椎の可動域不足が挙げられます。

不安定症の評価テストは主観に頼るものが多く、ポピュラーなものだと、
仰臥位になっている検者の頸椎を上方向に押し上げ、可動域や不快感の確認を行う
・首を回旋させ、第2頸椎が連動して動いているかを確認する
・分離運動を意図的に起こし痛みや不快感を訴えるかを確認する
等が存在します。

一般的に、可動域が過可動になっている状態を不安定症と定義する為、頸椎の可動域以上やクライアントの不快感で陽性判断を行う。

▼カップリングモーション

頸椎のカップリングモーションを脊柱にフォーカスして捉えると、例えば、頸椎を右に回旋する際、上部頸椎は反対側屈をし下部頸椎は同側側屈をするとされています。

寝違えを起こし、右に回旋する際に痛みを訴えている場合、具体的に頸椎のどの部分に問題があるのかを図る為に、右斜め上、または右斜め下を向いたときに痛みが起こるかを確認する。

痛みを感じるのが右斜め上の場合→上部頸椎上で問題が起きている可能性あり
右斜め下の場合→下部頸椎上の問題である可能性あり

頸椎の可動域の確認として、頸椎の回旋を行う場合、一般的には正面を向いた状態で頸椎を右、または左に回旋させ、鎖骨の中間ラインを超えるか否かで評価を行います。

トータル的には、左回旋より右回旋の方が回りにくいが、右左斜め上方向の回旋であれば回りやすいという場合
⇒下部頸椎の同側側屈が不足しているために起きている症状である
⇒下部頸椎や上部胸椎を中心にアプローチをかける事が望ましい

症状によってアプローチの方法も工夫も様々ですが、何がどのように作用して身体に問題が起きているのかを理解する事で、カップリングモーションも疼痛や可動域の評価に活かすことが出来ます。

▼頸椎の可動域評価

《テスト手順》

◎頸椎の屈曲可動域の評価:胸骨柄に顎が付くかを確認する
 顔を正面に向けた状態から顎を胸骨柄に付けるように動かす。
 その際、背中が丸まり過ぎないように行う。

◎頸椎伸展可動域の評価:頭部を伸展した際に床と平行になるかを確認する
 顔を正面に向けた状態から顔を天井に向けるように上げる。
 その際に、疼痛やつまり感があってはいけない。

◎頸椎回旋可動域の評価:肩峰の位置から鎖骨の胸骨頭の中間の位置をとり、顔を左右に向け、そのラインを顔の正中線が越えるかを確認する
 この基準は厳しいものである為、超えられる確率は高くないが、仰臥位で行う場合正中線を超えやすいとされている。
 身体を起こして行う場合、首を安定させるために抗重力筋がすでに働いている状態となる為、ほとんどのケースではこの基準をクリアできない。
 ・仰臥位では判断基準をクリア、起きている状態ではクリアできない場合(仰臥位で行う方が可動域が改善される場合)
  →身体の構造的な問題でクリアできないわけではない(筋肉の問題である)
 ・どちらの体勢でも可動域の変化が見られない場合
  →構造的な問題であると言える

※頸椎の回旋筋は主に反対側の胸鎖乳突筋です。
 右回旋が行われている際には左の胸鎖乳突筋や僧帽筋、同側の肩甲挙筋や斜角筋も働いています。
 首の構造上、胸鎖乳突筋の直下に斜角筋が存在している為、胸鎖乳突筋をリリースすると
 同時に同側の斜角筋もリリースされます。

▼頸椎の回旋可動域改善方法と頚部後突姿勢の作り方

【可動域改善】

例えば、首が右に回旋しづらかった場合
⇨軽く上方に牽引をかけた上で右に回旋を促す(サポートする)
 軽く抵抗を感じたら、その時点でストップし深呼吸をさせ、もう一度行う。
 この方法で可動域が改善される場合もあります。

【後突姿勢】

◎後突姿勢時の間違い
トレーニング(プッシュアップ、ベンチプレス、四つん這いなど)時に後突姿勢を取る際に置きがちな間違い
 ・頚部が落ちてしまう
 ・真正面を向いてしまう
トレーニングをする際の正しいフォームとしては、胸椎は伸展、腰椎は反らせない(安定させる)
 →自然と顎を引き、頸椎を固定した状態で行うのがベターです
四つん這いで行うトレーニングにおいては後突姿勢を再現するハードルが上がります。
 →クライアントの首を持ち、正しい後突姿勢へサポートする必要があります。

◎間違った後突姿勢の要因
ストレートネックになっているケースが多く見受けられます。
近年、スマホの普及がストレートネックが急増している原因になっている可能性が考えられます。
ストレートネックの場合、正しい後突姿勢を保っているだけでも筋力トレーニングになり得るほどの強度があります。
(頭部から背中にかけて一直線になっている姿勢を保つ事の重要性)



最後までお読みいただきありがとうございました。

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