【Book Review】あおさの健康成分の研究成果が書籍に!

あおさに含まれている「ラムナン硫酸」の研究成果がまとめられ、ウイルスや生活習慣病に打ち勝つための提言が綴られた書籍『海藻(ラムナン)で健康寿命を延ばす!』が出版されているのを見つけました。

Amazonで購入して、読んでみましたのでBook Reviewをさせていただきます。

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内容
1.著者紹介
2.あらためてわかった海藻の力
3.ウイズコロナ時代に役立つ知見

1.著者紹介
この本は、ラムナン硫酸の研究をされている「鈴鹿医療科学大学理事副学長 鈴木 宏治先生」の著作です。長年の研究成果をまとめられた1冊になっています。
鈴木先生は血栓制御の研究論文で、その年の最も優れた医学論⽂に贈られる「ベルツ賞」を2008年度に受賞されています。

2.あらためてわかった海藻の力
本書の前半部では、日本人は海藻を分解できる酵素を遺伝的に持っており、昔から健康維持や、感染症への対抗に役立っていたこと、この酵素を作る遺伝子は日本人が特異的に持っており、欧米人にはないことが説明されています。
日本特有の「海藻を食べる食文化」が、世界から長寿の要因として注目されており、海藻の中でもアオサ(ヒトエグサ)に含まれる食物繊維・硫酸基を持つ多糖である「ラムナン硫酸」の生理活性の研究・検証が進められ、機能性が明らかになってきていると紹介されています。

3.ウイズコロナ時代に役立つ知見
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と重症化につながる慢性炎症(生活習慣病が原因)の関係を例に、これまでの人類の感染症と生活習慣病との戦いが紹介されています。新たな感染症に対抗するには、体内の炎症レベルを下げることが、感染症の重症化や生活習慣病を遠ざけて、健康寿命を延ばすと強調されています。

これらをふまえ、ラムナン硫酸の抗ウイルス作用や、抗肥満や抗血栓の研究・検証結果を活用する意義が語られています。つづいては簡単に内容に触れていきたいと思います。

まず、マウスを使ったインフルエンザウイルスに対するラムナン硫酸の抗ウイルス作用のメカニズムがわかりやすく書かれています。ワクチンの持続性の懸念から、異なる戦略としてラムナン硫酸の活用を示唆されています。

注目は、人類の歴史でも最近問題になってきた生活習慣病を甘く見ていると、感染症に対して大きな命のリスクを背負ってしまうことが説明されています。長年、人類は命を脅かす感染症との戦いを克服してきましたが、最近は生活習慣病が命を脅かしています。ウイズコロナでは、この両方と戦わなければならないと警鐘を鳴らされています。

ラムナン硫酸は、生活習慣病のもとになる肥満や血管ダメージのケアにも優れた作用を発揮するようです。その中でも、血管内で血が固まるのを防ぐことが、健康寿命を延ばす大切なカギであるとして、ラムナン硫酸により血液凝固を抑制する研究が紹介されています。血栓予防・治療の医薬品「ヘパリン」と類似の構造をしているラムナン硫酸は、機能性食品として食べることで、血栓症の予防につながると期待されています。

最後に、ラムナン硫酸を食べることで、感染症や生活習慣病による血管内炎症が抑えられ、血栓ができるのを防げるかもしれないと、締めくくられています。

さらにあとがきでは、医療機関の方々に向けて、国際血栓止血学会の提言を基にした日本血栓止血学会からの「新型コロナウイルス感染による血栓症発症リスクの増大の警鐘」についての提言が紹介されています。


この書籍には、ここでは紹介しきれないウイルスなどの感染症と、体内に炎症を起こす生活習慣病と戦うための示唆が詰まっていると思います。コラムの中の1つでは、「COVID-19の重症化と血液型の関係」という、ちょっと気になる最新の知見も紹介されています。自身の対策を考える上で、知っておいたほうがよいのではないでしょうか。

コロナとインフルエンザがダブルで襲ってくるのに備え、読んでおきたい本だと思います。

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