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レビュー「好きなドラマ、小説、漫画等10作品」  第六回 イニシエーション・ラブ

「イニシエーション・ラブ」

読み終えた時の驚き、でも、全てを理解できずに部屋の中を右往左往、それが、数分、十数分、ようやく、理解ができた時の再度の驚き、興奮はこれまでになかった体験でした。「イニシエーション・ラブ」は80年代の恋愛の物語ですが、ミステリーも兼ねた付加価値のある物語です。明石家さんまと大竹しのぶが共演の「男女七人夏物語」と「男女七人秋物語」、これらのドラマも好きで、毎週、楽しみに見ていました。カセット・テープもマスト・アイテムだったので先のドラマも含めて懐かしい気分を後押ししました。恋愛が始まる楽しさや醒める寂しさも味わい深かったです。ところが、どんでん返しがあって、確かにA面が再生されていれば、B面もということになりますが見事に騙されました。映画化は不可能と思っていましたが、こちらも見事に映像化されました。小説をそっくり再現することはできませんでしたが映画も面白かったです。ラブ・ストーリーとミステリーの融合というよりもラブ・ストーリーに見せかけて実はミステリー、つまり、二重構造の物語なのかもしれません。極めて個人的な見解になりますが、夏目漱石の「こころ」は実はボーイズ・ラブの物語、そんな意見に賛同する立場からすると「イニシエーション・ラブ」は二重構造であることをダイレクトに示した物語と思っています。海水浴場の場面があることが共通項として挙げられますが、もしかしたらの影響の可能性を想像もさせてワクワクさせる「イニシエーション・ラブ」です。


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