利食いを早める短期トレーダーと傍観する機関投資家[マーケット考察]2020.7.8

ダウ工業株30種平均は前日終値比396.85ドル安の2万5890.18ドル、ハイテク株中心のナスダック総合指数は89.76ポイント安の1万0343.89で引けました。

5日時点の入院患者数は南部テキサス州など23州で5%以上増加し、米ジョンズ・ホプキンス大の集計によりますと、全米の累計感染者は293万人超、死者は約13万人に達しました。

主な相場下げ要因は、(1) 米南部や西部を中心に新型コロナの新規感染者が増え続けていることから、経済活動再開の動きが停滞し、景気回復に遅れが出ることへの懸念が広がったこと、(2) 5日間の上昇もありましたし、ダウ工業株30種平均は前日までの2営業日で550ドル余り上昇していたため、利益を確保する売りが出ていたことでした。

テクニカル的には、ダウ工業株30種平均は前日の上げで200日線に面合わせしていましたが、新型コロナ感染者数増加の影響で抵抗線を上放れするエネルギーはありませんでした。

以前から申し上げてますが、米国株式市場は政府および中央銀行の政策による景気回復への期待と新型コロナ感染第2波への懸念の綱引きで日替わり相場になっていますが、前日とは異なり、昨日は楽観的な見方は一服し、売りに押された相場展開でした。

米雇用統計やISM指数など直近発表になっている経済指標は予想を上回る内容が多く、着実に景気回復への道を歩んでいるように見えます。一方で、感染第2波への警戒感が強まりつつある中で、機関投資家を中心に、好調な経済指標が持続できるのかといった疑問が再浮上しています。

いずれにせよ、両者の決定打が無い中、行き場を失った過剰流動性は米国株式市場に流入する状況は継続するものの、新型コロナ感染第二波という爆弾がいつ爆発するのかという恐怖心もあり、短期トレーダー達は利食いを早めているのは否めません。政府要人からも再三ロックダウンは行わない旨の報道が出てますから、米国株式市場はロックダウン 再開の可能性をかなり低く見積もっていることは確実ですから、万が一に備え、機関投資家の中にはまだまだ、傍観している者たちが多々いるのも事実です。

来週から金融機関を皮切りに、第2四半期の企業業績の発表がありますが、市場予想はマイナス44%とハードルはかなり低く、相場押し上げ要因に充分なりえるのではないかとも思えます。


立沢 賢一(たつざわ けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

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