米国株マーケット考察 2020.12.22

マーケットサマリー

米国株式相場はまちまち。ダウ平均はダウ平均は一時423ドル安まで下落する場面がみられましたが、37.40ドル高の30216.45ドル、ナスダックは13.12ポイント安の12742.52ポイントで取引を終了しました。

週末の米国経済支援策合意の報道を受けたアジア株は、典型的なbuy the rumor, sell the fact (噂で買って事実で売れ)的な値動きを呈してました。

また、英国で拡大している新型コロナウイルス変異種の感染性が高いことが明らかになったことやジョンソン英首相がロンドンを含むイングランド南東部に事実上の都市封鎖を再導入すると発表したこと、更には、変異種は感染力が従来のものより最大で7割高いと報道されたことを受け、米国株式市場は寄り付き後下落幅を広げました。

しかし、(1) 米食品医薬品局(FDA)の承認を受けたモデルナのワクチン接種が開始されたことや、(2) 合意された9000億ドル規模の経済支援策は、市場的には過去のものとなった雰囲気でしたが、同案には国民の大半を対象にした1人当たり600ドルの直接給付や来年3月までの週300ドルの失業保険上乗せ給付が盛り込まれていることから、来年1-3月期の景気動向に日が差すのではという期待感に、押し目買いが見られました。

更に、先週末の引け後にFRBが大手銀による自社株取得の再開を承認したことに好感。

FRBは6月に主要行による増配や自社株買い再開を禁止していましたが、10-12月期の利益がアナリスト予想の水準を達成した場合、主要6行で来年1-3月期に最大110億ドルの自社株買いが可能とのなり、実施されれば株主への分配は約3倍に膨らむ試算も出ています。

テスラは昨日からS&P500の算出銘柄に組み入れられました。同社株は今年に入ってすでに8倍、パンデミックの影響を受けた3月安値からでは9.5倍上昇しており、ある種の材料尽くし感にポジション調整の売りに押されました。

結局今年に入ってから、S&Pは+14.4%、ダウは+5.9%、ナスダックは+42%とかなりの上昇となったので、多少の調整は入るかもしれないですが、ワクチン接種が来年4-6月期までに完了すれば、中期的には強気に見ている投資家がかなりいるのも事実です。

立沢 賢一(たつざわ けんいち)とは

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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