米国株式市場は反発、世界経済を支える新たな前提条件とは[マーケット考察]2020.7.28

米国株式市場は反発。

ダウ工業株30種平均は前週末終値比114.88ドル高の2万6584.77ドルで終了、ナスダック総合指数は173.09ポイント高の1万0536.27で引けました。

今週はアマゾン・ドット・コムなど米IT大手4社の第2四半期決算が30日に発表されます。新型コロナウイルスの感染拡大による消費低迷で多くの企業が打撃を受ける中、巣ごもり需要が大手IT4社の業績を支えるとの期待から、ハイテク株を中心に買いが入りました。

米バイオ医薬品企業モデルナは昨日、開発中のワクチン候補について、最終となる第3段階の臨床試験(治験)を開始したと発表。また、ワクチン開発を支援するために米政府から追加で4.72億ドルを受け取ったとも発表しました。これによりワクチンの実用化によって経済活動が再び活発化することへの期待が高まった模様です。

とは言え、米西部や南部を中心に新型コロナの新規感染者が増え続けていることへの警戒感は根強いままです。米議会の与党共和党は、約1兆ドルの新型コロナ追加対策で焦点となっている失業給付の上乗せ措置について、当面は現行の週600ドルから週200ドルに減らす方針を決めたと報じられたことも景気の先行き懸念につながり、相場の上値を重くしました。

今週はFOMCが予定されていますが、具体的な政策変更はないものと予想されます。

コロナによる混乱は、欧米から次第に新興国にシフトしつつあり、潜在的経済成長の力を保有している新興国経済動向は近未来を占う上で大きな焦点と言えます。そして彼らは構造的に米ドル調達という弱点を持っており、それを押さえ込むには、新興国にとっての自国通貨高と金利安が欠かせません。

つまり、これがポストコロナ期の不安定な世界経済を支える新たな前提条件と考える必要があります。

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立沢 賢一(たつざわ けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

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