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日本にも進出した中国の物流会社ララムーブ(货拉拉)について

2023年末に日本進出を開始したララムーブは中国でどんなサービスをやっているのかを紹介します。


コンセプト


ララムーブ(货拉拉)のロゴ

創始者の周胜馥(シャイン・チョウ)は元々広東省出身で、3歳の時に両親とともに香港に移民し、青年時代から香港のエリート試験でも1位になったことがあるほど頭脳優秀で、大学生の時にはアメリカのUCLAの物理学を専攻していた。
卒業後にアメリカのコンサル会社ベインで7年間働き、同時にテキサスのポーカー大会にも参加。働きながらポーカープレイヤーとして活躍した後、投資業務にシフトして2013年に香港で友達の谭稳宝(マシュー) と一緒にララムーブの前身であるEASY VAN(プラットフォーム)を設立し、1年で香港の市場シェア1位を獲得している。
香港で成功後、東南アジアのマーケットに入るにあたりララムーブに改名し、同時に中国国内でもサービスの展開を開始。

ブランドのスローガン

"拉货就找货拉拉"(荷物配達するなら、ララムーブ)

ブランドについて

ブランドの理念は货物出行更轻松(荷物配達をより楽に、より簡単に)
ララムーブはIT技術を使って、荷物を運びたい人と荷物を送りたい人をマッチングさせるプラットフォームを作り、荷物運びをより簡単に、効率的に解決することがミッションです。

サービス内容

中国のララムーブの価格は利用する車の大きさ(掲載量)と走る距離で支払い費用が決まります。
①軽ワゴン 30元(600円)から、走行距離5キロまで。6キロ目から1キロ毎に3元(60円)追加される。
②普通ワゴン車 50元(1000円)から、走行距離5キロまで。6キロ目から1キロ毎に4元(80円)追加される。
③小型トラック 55元(1100円)から、走行距離5キロまで。6キロ目から1キロ毎に4元(80円)追加される。
④普通トラック 100元(2100円)から、走行距離5キロまで。6キロ目から1キロ毎に5元(100円)追加される。
⑤大型トラック 280元(5800円)から、走行距離15キロまで。15キロ目から1キロ毎に6元(120円)追加される。大型トラック以上の車種も選択可能。

日本に比べると価格が安いことが魅力で、そのため引越し会社にお願いせずにララムーブで車を手配して、友達と一緒に荷物を運ぶことは中国ではよく見られる光景だ。
上記は個人向けのサービスだが、BtoBビジネスも展開している。

引越しのイメージ

ララムーブの使い方は簡単。アプリをダウンロードして、携帯番号からアカウントを登録し、荷物内容と重量、荷物のおおよその価値、呼びたい車種、希望配達時間と納品時間、ピックアップ場所と納品場所を入力する。
あとは条件が合う車がマッチングすれば利用開始。支払いは配達完了後でも可能だ。

ララムーブのアプリで車を呼ぶ際に必要な情報を記入すると価格がすぐに出る

利用者の状況

2022年の時点でララムーブの顧客は個人、中小企業、店舗オーナーなどで約90%を占めていて、うち46%は工場から工場の輸送が45%、物流系が12%、小売業が11%、EC店舗などの個人オーナーが13%、その他顧客が20%の構成だ。
アプリの登録ユーザーは3000万人以上で、専用ドライバーは300万人の規模だ。毎月の平均ユーザー数は600万人で、ドライバーは46万人ほどいる。
現在は中国全土360都市に展開しており、アプリさえあれば気軽に利用可能だ。アプリも携帯番号で登録できるためとても手軽。

売上規模

2023年上期でララムーブのオーダー量は2.6億で、全世界で11国家に展開し、合計売上は39億ドル(約5.8兆円)の規模だ。

会社情報

会社名:深圳依时货拉拉科技有限公司
所在地:深圳市福田区梅林街道梅丰社区梅华路105号多丽工业区科技楼3层307
創業年:2013年

成長要因

起業からわずか10年で売上規模5.8兆円に達するのは驚きなことでそれだけ市場ニーズがあるとも言える。
中国の物流市場の規模は2026年で1兆6000億元(約33兆円)に達すると言われており、まだ市場伸び代はありそうだ。
ララムーブがここまで早く成長できたのは中国経済の発展度合いの影響もあるが、ユーザーとドライバーをマッチングさせ、そのデータを上手に経営戦略に活かしたことも大きいと思う。
ララムーブは新しい都市にサービスを展開する際、まずその都市産業構造、GDP、オンラインサービスの許容度などいろんな角度から分析してからプロモーションを展開する。

ララムーブのワゴン


また、少ない経営資源でテストマーケティングしたい場合アプリがあれば、ユーザーの利用頻度、ドライバーの登録度合いでいきなりオフィスを設立しなくてもその都市に投資価値があるかどうかも判断できる。
初期の頃は小規模の荷物配送だけに集中し、利用数が増えればニーズの規模感や要求に合わせて登録車種を増やしていくことも可能で、さらにドライバーの得意エリアや距離などもデータとして蓄積できるためユーザーが必要としているサービスの精度を上げやすい。
何よりも、配達業務は一般的に倉庫、車種、ドライバーなど大規模な先行投資が必要だと思われていたがユーザーとドライバーを繋げるバックエンドシステムがあれば展開可能で、かつスピーディに利用状況を把握できることでサービスの改善もしやすく、経営のPDCAが実現しやすいことが従来の配達会社と異なる点だ。

終わりに

日本でも2024年にララムーブが本格的に展開すると言われており、すでにドライバー登録も可能なようだ。車があれば、ドライバーが隙間時間に短距離配達ができ、ユーザーから評価が高いと仕事が増える仕組みになっている。
ララムーブはマッチングシステムだけではなく、ユーザーとドライバー間の評価システムを構築できている点も見逃せない。

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