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ひとり親パパと娘のふたりきりな日常の話 その12

こんちわ。
東京で映像クリエイターをしている
1児のシングルファーザーのKENと申します。

シングルファーザーになるまでのお話はこちらから

2022年の初夏、僕は息も絶え絶えに何かしら心の拠り所が欲しくなり、映像サークルのECHOに参加した。
サークル内のイベントや映像大会にも出品し、わずかながらも僕の精神状態は少しずつ安定し始めていた。

そして2023年。

娘の卒園と小学校の入学、それに引っ越しなどを経て、僕は現在でも映像サークルECHOに在籍している。

今回は2023年のECHO映像大会について。


ECHO映像大会とは

この年もECHOでは映像大会が開催された。
ECHO映像大会は映像サークルECHOが主催するコンテスト形式の映像大会であり、クリエイター同士の交流を目的としており、2023年度の開催で7回目となる。(映像大会DAY1での概要説明より引用)
じつはECHOメンバーだけの大会ではなく、一般からでも作品の応募が可能。
この年では二日間の開催となっており、1日目をYouTubeでのライブ配信、2日目をECHOメンバー限定の映画館での上映の後、結果発表と表彰が行われる。結果発表はYouTubeでもプレミア公開された。

映像大会では3つの部門に別れている。
自由に映像を作る一般部門
映像編集歴1年以内の方によるビギナー部門
そして仲間と一緒に一つの作品を作り上げるコラボ部門

4人の審査員それぞれが選ぶ審査員賞と、視聴者による投票で選ばれる各部門賞が用意されている。
この他にも、シークレットでサプライズ賞も用意されている。

コラボ部門

僕はコラボ部門と一般部門でそれぞれに作品を制作し応募した。

コラボ部門では前からやってみたかった物理演算を用いたアニメーション作品を制作することにした。
僕の他にECHOのメンバー三人で力を合わせて制作する。
SlackやECHOの専用discord チャンネルで打ち合わせをしながら構成やデザイン、音楽などを練り上げる。

僕は最終的なデザインをまとめて物理演算の処理を担当した。
タイトルは「SUPER CREATOR SANZE」

自由形部門

基本的に個人で出品する自由形部門は何を作るか考えた結果、僕はエコツム(少人数で目標を設定後、短期集中で色々なことにチャレンジする企画)で参加していたDaVinci Resolveという映像編集ソフトの練習作品をブラッシュアップして提出することにした。

前回にも書いたけど、僕は娘が幼稚園に通っている間毎日お弁当を作り、それをECHOのSlack内で公開していた。
毎朝「おはようございます」とメッセージと共にお弁当の写真をアップし、ECHOのメンバーがそれを見る。
僕にとってはこれが毎日のお弁当作りに手を抜かないモチベーションの維持に繋がっていたし、自分の努力を振り返ることができていたのだ。

塵も積もればなんとやらで、結構な枚数になったお弁当写真を使って自分自身を褒める映像を作ろうと思った。
それがエコツムでの練習素材になったし、今回の映像大会にも出せると思ったのだ。


昇華する自意識

ところが。
僕自身のお弁当を作っている様子を撮影し、これまで撮影してきたお弁当写真を並べ編集しているうちに僕の中でテーマの変化があった。

これまでの理不尽な出来事、どうにもならない苦しい現状。怒りで我を失う荒れた精神状態。
そんな自分自身の努力を証明し、なんとか褒めて鼓舞するために作っていたはずの作品が、いつしかもっと大切なこと…娘との関係性について語っていることに気づいた。

娘のために毎朝作る朝食とお弁当。
水筒を用意し、娘の体温を測り、上着を着せ、リュックを背負わせ、髪も結ってあげる。
これが毎日「続いている」日常。

僕はいつの間にかお弁当を作る様子だけでなく、そんな娘との日々の映像を作品に加えていった。

公園に遊びに行って滑り台ではしゃぐ。
水族館で目を丸くしながら展示を見ている。
寄せてくる海の波に興奮する。
お散歩で見かけた野良猫を優しく撫でる。
僕を引っ張って無邪気に駆け出す。
そして手を繋いで幼稚園に向かう朝。

お弁当もお散歩も公園もお買い物も動物園も
すべて娘と一緒の生活に連なっている。
そしてそんな娘と手を繋ぎながら幼稚園に送り出す。

娘が手を離し一人幼稚園まで駆け出した瞬間、僕は思った。

この連続した日々、連なる日々。
それもいつか必ず終わりが来る。
成長し、いつかは巣立っていく娘との、

ふたりきりが、おわるまで。

お弁当映像を作っていたはずの僕は作品の最後にそのメッセージを入れた。

sequential

タイトルは「sequential」と名付けた。
sequentialとは「連なった・連続している様子」という意味だ。
映像編集ではシーケンス(sequence)と呼ぶお馴染みの用語があるのでそこも気に入っている。

上の映像は映像大会の要件に合わせた60秒のバージョンだ。
本来は音楽の尺に合わせたフルバージョンがある。
それがこちら↓

僕としては4分を超えるフルバージョンから大会用の60秒に短縮するのは本当にキツかった。
仕事ではいつでも容赦なくカットできるというのに、自分の作品となると全然カットできない。
お弁当作りの様子だって、娘との色々な思い出だって全部大切なショットなのだ。
とはいえ、規約に反するわけには行かないので悩みながら泣く泣くカットして大会用の60秒バージョンを仕上げた。

後日作品のレビューによると、事情を知らない第三者からするとフルバージョンは冗長に感じるらしく、大会用の60秒バージョンの方が見やすいという意見を頂いた。

たしかに60秒バージョンではお弁当がらみのシーンを大幅にカットしたので最終的な作品の趣旨としては正しい意見なのかも。と僕は納得した。

結果発表

こうして僕は
コラボ部門に「SUPER CREATOR SANZE」を、
自由形部門に「sequential」を出品した。

結果は、
大変ありがたいことに「sequential」が自由形部門で第一位を獲得した。
なんと今回は得票数同率で一位が二作品だったとのこと。
もう一つの作品「流星フルスイング」(脱兎さん作)は超クオリティなイラストアニメーションで、僕には到底真似できない凄い作品だった。

二つとも結果発表で見れるので是非。

また、コラボ部門で出品した「SUPER CREATOR SANZE」もサプライズで「エンターテインメント賞」として受賞できました。

いやーありがたい。

投票していただいたみなさん、本当にありがとうございました。
コラボ部門で共に作った仲間たち、カメラを向ける僕に無垢な笑顔を見せてくれた我が娘。
そして大変貴重な機会をいただいたECHOと大会運営スタッフの皆様にも重ねてお礼申し上げます。

ありがとうございました。

映画館でのDAY2とアフターパーティ

今回も娘と参加しており、あいかわらず娘はアイドルみたいにECHOのみんなに可愛がられていた。
考えてみたら娘こそ主演女優賞だよな。とも思った。
表彰された時には娘にも壇上に上がってもらった。

娘にとってこれが良い経験になればいいな。

DAY2の劇場での上映が終わり、表彰を終え、楽しい打ち上げにも参加した。

コラボ部門でのメンバーとは実は顔を見るのが初めてでなんだか不思議な感覚だった。

打ち上げではYouTubeプレミア公開での結果発表動画も流れて大いに盛り上がった。
いろんな人とお話しできて楽しかった。あっという間に打ち上げも終わりの時間になり、僕は慌てて主催のサンゼさんにお礼を伝えた。

映像大会を終えて

もとは自分自身の荒れた精神状態を整えるために再び映像を作る趣味を再開し、その流れで映像サークルECHOに参加した。
それからECHOでの「エコツム」イベントで練習を兼ねて自分の努力を映像化しようとした。
さらに映像大会という機会を得て作る作品は僕の心のわだかまりを昇華させるきっかけとなっていった。
ついには部門一位という身に余る結果にも結びつき、2023年が終わろうとしている。

ECHOに参加して本当に良かった。
映像大会に向けて作品を作って本当に良かった。

2021年の事件以来、ずっとずっと影が落ちていた心に少し光が差し込んだ気がする。

結局、自分を救えるのは行動に起こした自分しかいなかった。
神様だとかグルだとか。そんなものに救いはない。
あったとしても誰かを犠牲にしていいものではない。

こうして僕はなんとか僕自身を取り戻したけれど、じつのところ現実的な問題は特別何も解決していない。
仕事のこと、家庭のこと、娘のこと。そして将来のこと。

それでも僕はこの機会があって改めて歩き出すことができるようになったと思う。


今回は時間をすっとばして今年(2023年)のECHO映像大会での出来事を書きました。
話の流れ的にECHOに参加したことと、今回の映像大会が僕にとってもターニングポイントになったと思うから、書かざるを得ないと思いました。

また次回からは卒園だとか引っ越しだとか入学のことなどを書くかもしれません。

なぜなら、まだまだ「ふたりきり」は続くのです。


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