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神様に嫁さんを寝取られてシングルファーザーになった話 その8

こんちわ。
東京で映像クリエイターをしているKENと申します。
先にお断りしておきますが、このnoteは自分自身のメンタル上のリハビリを目的としています。
認知行動療法とかいうやつじゃないかと思います。

何度も話し合っても絶対に離婚も出家もすると譲らない妻。
正直あまり関わりたくなかった彼女のグルに相談することにした。
これは彼女を思いとどまらせる最後の砦だったと思う。

「グル」とは師匠の事。今回この単語が何度も出てくるので。
「グル」と呼ばれたりもする。これは敬称かな。


先に確認しておきたかったこと

まず、彼女は出家を自ら望んでいたことなのか確認した。
これはグルからの命令として出家をしないといけない状況だと話が変わってくるからだ。
一種の洗脳状態ともいえる彼女をグルがコントロールしている場合は、弁護士などしかるべき組織に相談しなければならない。

ところが、これは違うようだ。
彼女はグルから出家の指示がされているわけではなく、あくまでも彼女自身の「決意」により突き動かされているわけだ。

次に彼女に聞いたのは
「グルの命令なら何でも聞くのか?」
ということだ。
これは彼女がどこまでグルに心酔しているのかを確認することと、

グルが出家を拒否した場合に彼女は出家を諦める事につながるためだった。

彼女の答えは「グルの言葉に従う」だった。
まあこれは予想通りだと思った。

彼女は僕の言葉は聞いてくれない。
だが、グルの言葉なら必ず従う。

となれば、僕はグルに直接コンタクトをとり、彼女に出家をやめさせるようにお願いするしかない。

これは彼女を引き止める最後の手段だと思い、
かなり慎重に事を運ぶことにした。

グルとは面識がある

じつは僕はこのグルとは面識がある。
それは何度目かのリトリートのあと、グルが帰る時のお見送りだった。
僕は妻と娘の三人で空港までクルマで向かい、お見送りをした。

当時はコロナ真っ最中で、空港にはほとんど人がいなかった。
空港ロビーは静かでいつもより薄暗い印象だった。
ロビーに到着すると、他の信者?というか参加者達がすでに待機しており、みんなでグルの空港到着を待った。

ちなみに彼は日本人だ。イメージが掴めないと指摘があったので。一応。

しばらくするとグルが現れ、参加者たちは嬉々として彼を囲んだ。
彼は法衣などを着ているわけではなく、普通にジーンズにジャンパーというラフな格好をしていた。少々気難しそうにも見えるが、お調子者のような屈託の無さも感じる。なんとも掴み所がない容姿だ。
年齢はもうすぐ70代のはずだが10歳くらい若くみえる。
染めているのかわからないが、白髪もない。
勝手な想像だが鼻息が熱く湿ってそうな印象がある(完全に偏見です)

彼らは各々にグルと話をし、ハグをしていた。

僕と娘は部外者なので退屈そうにしている娘を連れて付近を歩いて回っていた。
そろそろ終わる頃かと思って彼らの集まりの所に向かったあと、妻が僕と娘を紹介した。

僕が挨拶し握手しようとすると、グルは突然僕に抱きついてきた。
僕は一瞬面食らってしまった。老齢の人に抱きつかれるなんて経験はなかったからだ。
ぶにょっとした贅肉が僕のお腹に当たった。彼は戸惑っている僕の背中をポンポンと軽く叩きハグを終えた。

申し訳ないが正直気持ち悪かった。
ハグ自体を否定はしないけど、単純に生理的な気持ち悪さだ。
外国で違う文化圏の人に肩をハグされた経験はあるけれど、そういうのとはなにか違う。

娘は無邪気にグルの名前を連呼していてグルは嬉しそうだった。

僕一人だけがなにか違う空気のなかにいるようで居心地が悪かった。

彼らにはこのようなハグがたまらなく有難い事なんだろうなぁ、と僕は生暖かい目で眺めていた。

メッセージでグルに直談判する

電話番号などは知らないが、Facebookのアカウントはわかるのでそこからメッセージを送った。

メッセージの内容についてはそのままは書けないが、
内容を箇条書きにすると以下となる。

  1. 彼女に出家をするような指示を出したのか?

  2. 急な話で困惑している

  3. 出家をすることで近親者の生活に影響があるのは承知しているのか?

  4. 彼女は周りが見えていないほどに暴走している

  5. 冷静ではない彼女は周りを巻き込み、それを意に介さないところがある

  6. なので一度冷静になって考え直すように諌めてほしい

  7. あなたの団体では俗世の近親者に対して犠牲を強いても出家すべしと考えているのか?

  8. どのような影響があるかは無視しても良いのか?

  9. 出家や信仰自体は否定していない。日本ではそのような自由が認められている。

  10. しかし、社会を破壊する権利は誰にも認めらていない。そして「家庭」は社会の最小単位である。

  11. その家庭という名の社会を破壊することを推奨しているならばヨガ活動は社会に対する挑戦であると捉える。

  12. 出家するなら周りの理解と納得を得た上で、時期を見計らってから行動を起こすべき

  13. これまで妻と二人三脚で娘を育ててきた。だがまだ小学校にも上がっていない娘を捨てて出家することに納得できない

  14. 自分と価値観が違うのは仕方がないが、多様性を認め、これまでも時間や経済的にも協力してきた。それでも離婚を望むならそれは仕方がないこと。

  15. しかし自分はともかく娘にはあまりに酷だ

  16. 家事育児仕事をすべて一人で両立するのは難しい。ましてや母親もいない状態で適切な教育ができるのか自信がない

  17. こちらはなんの不貞も行っていないので親権は渡せない。また、仮に彼女が親権を得ても、ヨガに集中するなら家事育児仕事をしながらのヨガ活動は不可能である

  18. せめて娘が小学校を卒業するくらいまでは父と母の間で育ってもらいたい

  19. それすらも待てないのであれば、せめてこちらが仕事と育児の体制を整えてからにしてもらいたい

このメッセージに対してその日の内にグルから返事が来た。
要約すると以下の通り。

  1. 引っ越し直前で多忙である。本来は半身不随の身体である

  2. PCのタイピングも難しいはずだが、それでも歩けていきていられるのは自分のグルとアヴァター(至高の存在の化身)のおかげである

  3. 彼女に限らず誰かに出家を勧めたことはない。出家は彼女の強い願いである

  4. 自発的、内発的に出家を求める人に対して援助はしても止めることは聖職者のするべきことではない

  5. あらゆる宗教において出家は奨励されており、多くの人に支持されている

  6. 出家とは親族含む世間の柵をすべて捨てて仏・神の道を歩むこと

  7. この道はアジア全般、日本含む東アジアでも広く認められており、出家者はリスペクトされている。また、多くの国においても出家を奨励されている

  8. ただ、一部の人間には理解し難いところもある。出家の反対の字が家出と言う言葉になった

  9. 自分は元々無神論者だったが、数多くの神秘体験を経て出家した。これは大きな力によるもので覚醒への道を歩まされた事に感謝している

  10. 気持ちはわかるが根本的に考え方が違う。自分の親戚縁者も大学教員の道を捨てヒマラヤに向かったことを理解されなかったが、時々弟と会っており、肉親の情は持っている

  11. あなたもそのようにしてあげてください。彼女の決意は本物である。

  12. その決意を止める覚者や聖者は存在しない

  13. どう言おうと彼女の決意は変わらないのだから時間をかけて彼女を理解できるように変容するしかない

  14. 前世からの縁でそうなる人々の決意は固いので、周りがどんな理由で反対しても本人の決意は変わらない

  15. 離婚を認めていると聞いている。彼女の思いを尊重してあげてください

  16. 一休禅師の幼い頃出家した時の逸話、母恋しさに寺を抜け出して家に帰ると逆に母親に「出家したのだから悟りを得るまで帰ってはいけない」と諌めた

  17. それこそが本当の愛と覚悟を持った母親だからこそ、一休さんは歴史に残る覚者=仏陀となった

  18. あなたも彼女の覚醒を願ってあげれば素晴らしいことである

折しも引っ越しがあるせいなのか、冒頭にトゲがある・・・
こちらとしてはどうでもいい情報だ。
いかにもめんどくさい返事をわざわざしてますーってアピールをされてもね。
ついでにご加護(=奇跡)アピールまでぬかりない。

このお返事を読んで思ったのは
質問に答えておらず話が噛み合っていない
ということ。
こちらの家庭がどうなるか、などという事には一切触れていない
要するに出家してやってくる信者の事だけしか考えていない。
それ以外はすべて雑事ということだろうか?
まあ「この世はすべてマヤ(偽り)」という考えらしいので実際そのように考えているのかもしれない。
また、彼には他人の家の事など実際関係ないのだからどうなろうと知ったこっちゃないのかもしれない。
あと、「自分は指示を出していない、彼女の自発的な行動だ」という考え方も引っかかった。
一見、正論を言っているようにも見えるが、都合の良いところだけ責任を放棄しているようにも感じた。
実際、妻はアラフォーの立派な大人なので一義的に責任は彼女にあるわけだから、このグルに責任を問うのは筋が違うとは思う。
ただ、それにしたって弟子の身辺整理は確認したほうが良いとは思う。

妻の離婚・出家の阻止は不可避となった

ある程度予想はついていたけど、一応自称科学主義で現実的な問題もわかっている、「常識」もある人だと期待してはいたんだけど、ダメだった。

妻だけが舞い上がっちゃってイカれてしまっただけだと思ったけど、残念ながらそうではなかったようだ。

これで離婚に続き出家も不可避ということになった。
妻を縄で縛って監禁することなどできないのだから。

ここで僕は考えた。
敵対心をむき出しにして相手を批判したところでなんのメリットもない。むしろやっきになって彼女をヨガのドツボに落とし込んでいくだろうと予想した。
それならばせめて彼女に残る(と思いたい)わずかながらの母親としての情にかけることにした。

そしてグルの返事に対して僕からは以下のように返した。

  1. お考えはよくわかりました

  2. かくなる上は彼女を正しくお導きください

  3. 彼女の極端な真面目さや潔癖さが周囲の誤解を招きがちなので、必要があれば時には諭していただいて、周りのスタッフの皆さんにも理解をいただけるようサポートをお願いします

  4. 一休さんの逸話をいただきましたが、同じように一切の接触を断つべきでしょうか?

僕としては敵対したいわけではないので、彼女の今後を託した。
そして同時にグルの考え方が彼女の行動につながるので、今後の立ち回り方を聞いてみた。
ただし、先にグルが提示した一休さんの逸話を引き合いにして。

というか、一休さんが母親に会いに行くって話はアニメの創作なんじゃないの?(誰か知ってる人いたら教えて下さい)

グルからの返答

僕からの平身低頭な態度に気を良くしたのか、グルは僕からのメッセージに「誠実なエナジーを如実に感じた」そうで。

へー そうなんだ〜

グルは自身の使命に至る経緯(そんなことは聞いていない)を説明し、彼女を全力で応援する(指導ではない?)と返事した。
そして、やはりというか妻と娘の今後の関わり方に関しては
「みんなで考えていきましょう」
とした。
いや、これなあなあに丸め込もうとしてるよね?
さっきと言ってることが違くない?

結局の所、こちらの質問には明確に答えず有耶無耶に、そして責任を取らない形で話は終わった。

まあ、こういう人達ってみんなそうだよね。
思わせぶりな、衒学的な言い回しで、聞いてもいない情報を出して立場を主張し、のらりくらりと責任を回避する形で明言を避ける。

ま、そもそもグル自身には他人の人生に責任を持つ必要はないのだけれど。
ええ。グルだけど!

とはいえ、妻は子供のようにグルを慕って身を寄せ、グルは彼女の都合の良い部分だけを子供のように可愛がる。しかし一方でグル自身は彼女のやることに親のようには責任は取らず、周りの人間には彼女は自立した大人としての対応を求める。

そのように僕には見えた。

「ミノタウロスの皿」|藤子・F・不二雄作(小学館『ビッグコミック』(1969)掲載)




余談1:結果としてグルはすべてを見通しているわけでなかった

そりゃそうだよね。
という感じだが、一縷の望みをかけて、万が一「悟りを得ている」者であればこのような裏の事情なども理解しているはずだが、そのような気配は感じなかった。

いつか詳しく書くかもしれないけど、「悟った人」とは、
時間と空間の思考枠を無限に広げ、世界のあらゆる事象に対して
感知し、理解できる、人間の限界を超えた洞察力を持つ者

と、僕は思っている。
現状、一個人では到底不可能なので人間は補うように集合知というものを持っている。社会や情報、文化・学問・会話・対話・空気を読むというのもその一部だ。
もちろんその集合知も全然不完全なのだけど、テクノロジーの力で遠く離れた場所のことも一瞬で知ることもできるようになってきた。
時間と空間は少しずつ克服してきているわけだ。
いずれは過去・現在・未来と揺れ動く時間の克服や、物理的空間(距離)や精神的空間(無意識領域)、シンクロニシティ(縁)も解明し、克服することができる時代が来るだろう。
1万年くらいかかるかもしれないけど。

いろいろ刻が見えている人の例
「機動戦士ガンダム」より



悟りについて、言葉遊びで「覚者」は違うとかいわれても僕はハナクソほじりながら「そうですか」としか言えないなー

結局、この人は、もし仮に宇宙を構成する広大な真理を知っていたとしても、それらにつながるミクロの視点は持ち合わせてはいない。
ゴールだけが見えていて、そこまでに存在している見えない「縁」を理解していないと思った。わかりやすく言うと、洞察力が無い。
きっと、隣の家の明日の晩ごはんも答えられないと思う。

悟ってへんやんけ

余談2:出家するなら何でもアリなのか?

そもそも出家ってなんなんだ?
出家と聞くと日本人としてはお坊さんになるってイメージだ。
仏教においてはお釈迦様が、つまりシッダールタが奥さんと子供を置いて出家してる。
それならお釈迦様を崇める仏教はお釈迦様がやった出家というものを善行として認識しているのだろうか?

グルからの最初の返事、この記事では7番に挙げた
「この道はアジア全般、日本含む東アジアでも広く認められており、出家者はリスペクトされている。また、多くの国においても出家を奨励されている」
と言っていた。

それって本当?

ということで、先日、天台宗・浄土真宗と日蓮宗のお坊さんお三方にお話を伺ってみた。

それぞれのお話を総合すると、

  • かつては口減らしや駆け込み寺的な側面のあった出家だが現在ではそのような形の出家は認めておらず、基本的に在家での出家となる(宗派によっては得度とも言うらしい)

  • 現在でも出家というものはあるが、必ず師匠となる人が出家しても大丈夫なのか確認を取り、その上で推薦して審議にかける。

  • お釈迦様は真理を得るために奥さんと子供を捨てて出家したが、それは結果として意味がないということがわかったのだから、悟りを開く前のお釈迦様をわざわざ真似る必要はない

  • そもそも現在は末法の時代なので真に悟りを得る人物は存在しない。存在しているのであればすでに世界は救われていることになる。

良かった。自分の認識は正しかった。
やはり間違っているのは彼女だよな。
これで宗教家の方から「家族を犠牲にしてでも出家は尊い行為だ」とか言われていたら、僕は世の仏教も憎むことになっていただろう。

余談3:出家についての質問

このことについてQ&AサイトのQuoraでも質問してみた。

我ながら無様な質問だ・・・
穴があったら入りたい…!

いろんな回答をいただきましたが、ほぼ妻の出家に関しては否定的だった。

他に、彼女の行為に対する僕に湧き出る怒りについての質問。
こちらでもとても良い回答をもらった。

愛する人たち。

自分で復讐してはいけません。

神の怒りに任せなさい。

それは、こう書いてあるからです。

「復讐はわたしのすることである。わたしが報いをする、と主は言われる。」

もしあなたの敵が飢えたなら、彼に食べさせなさい。

渇いたなら、飲ませなさい。

そうすることによって、あなたは彼の頭に燃える炭火を積むことになるからです。

ローマ人への手紙 12:19~20
Shinohara Hirofumiさんの回答

聖書からの引用。
要するに天罰は下るから、あなたは復讐などに構うな。ということか。
そして補足として事情を書いた所、

だから、祭壇の上に供え物をささげようとしているとき、もし兄弟に恨まれていることをそこで思い出したなら、供え物はそこに、祭壇の前に置いたままにして、出て行って、まずあなたの兄弟と仲直りをしなさい。

それから、来て、その供え物をささげなさい。

マタイの福音書 5:23~24
Shinohara Hirofumiさんの回答

と、返答もいただきました。ありがとうございます。
こちらも聖書からの引用。
要するに神に祈る前に人としてやるべきことをやっとけって事だと思います。
そこの家族を捨てて出家した人、君のことだぞ。

聖書なりお釈迦様の言葉なり、どういうわけか謎の説得力があるよなぁ


出家を思いとどまらせる最後の砦、グルに直談判も失敗に終わった。
となればいよいよ協議離婚の交渉となる。
親権の確定、養育費の問題や財産の分割など。
問題は何一つ解決していないのだ。


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