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けもの道 05[2018秋]

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狩猟専門誌『けもの道』の2018秋号の有料記事をまとめてお得に読めるマガジンです。特集テーマは「残された日本の島犬」。幻の屋久島犬が躍動する姿、本州でモンキードッグとして活動する…
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記事一覧

幻の屋久島犬が魅せる残すべき姿芸

文|佐藤未歩 写真|いなたまきこ 屋久島のヤクシカ猟朝から雨だ。 猟期終了間際の3月4日、屋久島の南部、世界遺産登録地域を横目に山へ入る。勢子の屋久島犬保存会会長、若松さんが犬を入れ、しばらくすると甲高い声が響く。剣(雄4歳)と妹のビビ、甥っ子のバルが鹿の匂いをとり、追い出した。 犬の声が近づく。待ちの江口さんにとっては狩り慣れた山で、鹿が逃げてくるルートを全て予測していた。 犬の声が止まった。どうやら鹿は畑の網の破れたところから逃げたようだと、江口さんが迎えにきて

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屋久島犬シノ、モンキードッグとして活躍中

文・写真佐茂規彦 篠山にやって来た屋久島犬シノ屋久島犬の「シノ」(約7歳・メス)は、屋久島から遠く離れた兵庫県|篠山市(当時、2019年5月より「丹波篠山市」)でサルを追い払うモンキードッグとして地域に貢献している。飼い主の清野未恵子さんはサルによる獣害対策の第一人者であり、神戸大学で教鞭を執りながら篠山市の獣害対策に携わっている。 屋久島犬との出会いは、島でヤクシマザルの調査研究をしていた学生時代までさかのぼり、現地で出会った屋久島犬の愛好家からシノを譲り受けた。

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ラブラドール・レトリーバーにカモ回収を任せるひと 〜 愛玩犬を狩猟に連れ出す意味とは

ラブラドール・レトリーバー2頭と猟へ行くひと「実猟におけるレトリーバーの主な任務は “retrieve” (=レトリーブ、回収する)だ」と説明したところで、現在、日本におけるレトリーバーは一般の家庭犬であるほか、盲導犬などサービスドッグとしての活躍が中心であり、狩猟犬として紹介することはナンセンスと感じる人が大半だろう。 しかし、それは杞憂に過ぎないと言える。今回ご紹介する大分県大分市在住の広畑美加さんは、愛犬のラブラドール・レトリーバー2頭とともに出猟し、実際に獲物の回

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優れた猟犬の血を次世代につなぐ 猟能研究会の重要性と意義

文網地貫 写真提供|中島猪犬訓練所 日本犬保存会とは平成30年5月27日、三重県にある中島猪犬訓練所にて公益社団法人日本犬保存会(以下、日保)主催の猟能研究会が催された。 日保とは、明治から大正にかけて大量に輸入された洋犬種との交雑によって絶滅の危機に瀕した日本犬の純血を守るべく、昭和3年に発足された日本最古の畜犬団体である。 以降約90年間の地道な努力が実を結び、今では不動の人気を誇る柴犬を始めとして、大型の秋田犬、中型の北海道犬、紀州犬、甲斐犬、四国犬の計6犬種が

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【猪犬閑話】姿芸両全を考える

文・写真八木進 猟師が追求する姿芸両全とは|猪犬を使っての猪猟師にとって「姿芸両全」は魅力ある言葉である。日本犬の愛好家にとっては特に「姿」に固執する猟人が多く、「姿芸両全」は究極の目標とも言える。 日本犬を例にとると「姿」が良い犬とは一般的には日本犬保存会(以下、日保)の日本犬標準が基になっているようである。日本各地の地犬を日本土着の「日本犬」として保存が開始されたころ、当然として体型の基準が必要となり、当時の状況を詳細に調査した理想の体型を標準とし、昔も今も不変とな

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【当世猪犬見聞録】日保登録四国犬で猪を獲る猟人

文・写真八木進 取材日|平成30年7月19日 猪犬がルーツとなった四国犬犬の起源は1.5万年前から3万年前ごろに狼から進化したという説が有力であった。最新の研究では年代は特定されていないが、「かなり以前」に狼から「野生犬」の祖先が発生、その中から人に馴れやすい個体が飼い犬となったという説も注目されている。 狼説も野生犬説も発生地は「東アジア」が定説になっており、ミトコンドリアDNA解析からさらに最新のマイクロサテライト解析でも東アジアの現生犬が犬のルーツに近い種とされ、

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猪猟における止め場の対処 〜 鳴き止め編

はじめに犬を引いて山に入り始めたころ、大雨の直後には普段見ることができない滝や流れが出現することがあるので、犬たちを連れ目的の山々へ分け入ったものです。 あるとき、上流から濁流とともに子猪が流されて来たことがありました。その光景を目の当たりにしたとき、山を根城とし我々人間より山の生活に適応しているはずの猪でさえもこのような目に遭うことがあるのかと、自然に対しあらためて畏怖や畏敬の念を抱いたことは、その光景とともに今でもはっきりと記憶しています。 今年も様々な自然災害が発

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【狩猟DIY】2頭引き編込み万能ロープの作り方

自作ロープは猟師の嗜み狩猟をする上で、ロープはとても重要だ。犬を使った狩猟の場合、参加者全員が犬の回収役になる可能性があるからだ。 そしてロープは犬を引くためだけでなく、獲物の引き出しや万が一のときの滑落防止など、山中では何かと使い道の多い便利なアイテムでもある。 知恵とこだわりが詰まった自作ロープの製作は、猟期前の猟師の嗜みとも言える。 文・写真|佐茂規彦 犬から獲物まで引っ張る「2頭引き編込み万能ロープ」2頭引き編込み万能ロープは、両端を使って輪を作り、犬を引い

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【狩猟DIY】小型鉄板の自作にチャレンジ! 〜 アウトドアでジビエをおいしく焼ける

ライター、アングラーで有名なヨコザワテッペイ氏が発案した「ヨコザワテッパン」が静かなブームです。 特にソロや少人数で活躍するキャンパーやバイクツーリストに受けています。手軽に鉄板焼きが楽しめるのと、鉄板であるが故の遠赤外線の発生により美味しく焼けます。 今回はこの「ヨコザワテッパン」をベースにしたオリジナル小型鉄板の自作とその活用をレポートします。 文・写真|大橋オサム ヨコザワテッパンとは?「ヨコザワテッパン」とは 210×150mm の小型鉄板です。切り出した鉄

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【狩猟DIY】スラッグ手詰め生活のススメ 〜 自分だけのスラッグ弾の作り方

文・写真|小堀ダイスケ コストダウンと命中精度大物猟になくてはならないスラッグ弾。だが、弾頭から鋳造して手詰めをしているというハンターというのは、そう多くないのではないだろうか。 宮野さん(東京都)は、そんな数少ない「スラッグハンドローダー」のひとりだ。ライフルも所持しているが、狩猟をはじめてからずっと、手詰めスラッグの奥深さにハマっている。 ライフル実包は、「薬莢」「雷管」「火薬」「弾頭」という4つからなる集合体だが、スラッグの場合、そこに「ワッズ」や「コロス」とい

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深いブッシュに若犬も恐怖!? 中島猪犬訓練所所長に “初心者限定” 訓練会の狙いを聞いた

文・写真|網地貫 3条件を掲げた訓練会平成30年4月22日、数日前までの涼しさから一転、初夏を思わせる強い日差しが照りつける中、三重県・中島猪犬訓練所で訓練会が催された。 中島猪犬訓練所で公的な競技会や訓練会の開催は多くはない。依頼があれば場所の提供はするが、主催することはない。もちろん方針に口出しすることもなかった。 ところが今回の訓練会は珍しく中島猪犬訓練所代表の中島毅所長の意向で3つの条件がつけられた。 初心者であること 少数制・参加犬数10頭未満 単犬単

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全国から猪犬猟師が集まる「熊野山本猪犬訓練所」の1日に密着してきた|2018年

全国から猪犬猟師たちが集まった平成30年度が始まって間もない4月15日、和歌山県・熊野山本猪犬訓練所には地元関西からだけでなく遠く北関東からも猪犬猟師たちが集まった。 春の恒例、猪犬猟師たちにとってはいわば新年度の風物詩のようなもの。「けもの道」の取材でも毎年のようにお世話になっていて、各地の猟師と顔を合わせるのが楽しみでもあり、1年ぶりに会って元気な姿を見るとこちらが安心する参加者もいる(高齢化が進む猟師の世界では冗談抜きのけっこう真面目な話だったりする)。 この訓練

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【取材レポート】第3回タシギ杯 〜 ハンターのための狩猟用空気銃射撃会

取材協力|ハンティングエアライフルファンクラブ 茨城県狩猟者研修センター射撃場 写真・文|小堀ダイスケ 空気銃ハンター真夏の祭典2018年7月7日、日本列島が猛暑にあえぐ中、茨城県狩猟者研修センター射撃場にて、第3回タシギ杯が開催された。 これは、狩猟用空気銃を所持している者なら誰でも参加できる射撃大会で、主催者は「Hunting Air Rifle Fun Club」、通称HARFC(ハーフシー)だ。 主催者といっても公的な団体ではなく、SNSのコミュニティをルーツ

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疥癬を知る。 〜 野生動物に由来する「疥癬」の対策

著者松山亮太 北海道大学大学院医学研究院獣医師・獣医学博士 はじめに狩猟者の多くは、「|疥癬」に罹患して脱毛している動物を一度は見たことがあるのではないだろうか。 疥癬の流行状況は地域によって違うが、狩猟対象種として重要なイノシシをはじめ、タヌキやキツネといった中型食肉目、ツキノワグマやカモシカといった大型動物などで疥癬の感染が報告されている。 また、これらの野生動物に接触した猟犬が疥癬にかかり、気づけば狩猟者も痒くなっていた、といった事例も耳にしたことがあるかもしれ

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