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全国から猪犬猟師が集まる「熊野山本猪犬訓練所」の1日に密着してきた|2018年
本稿は『けもの道 2018秋号』(2018年9月刊)に掲載されたものを note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。
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取材した施設|熊野山本猪犬訓練所(和歌山県)
・動物取扱責任者:山本弘之
・所在地:和歌山県西牟婁郡上富田町岩田1231-4
・動物取扱業登録:(販売)和保 24-6092、(保管)和保 24-6093、(訓練)和保 24-6094
全国から猪犬猟師たちが集まった
平成30年度が始まって間もない4月15日、和歌山県・熊野山本猪犬訓練所には地元関西からだけでなく遠く北関東からも猪犬猟師たちが集まった。
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春の恒例、猪犬猟師たちにとってはいわば新年度の風物詩のようなもの。「けもの道」の取材でも毎年のようにお世話になっていて、各地の猟師と顔を合わせるのが楽しみでもあり、1年ぶりに会って元気な姿を見るとこちらが安心する参加者もいる(高齢化が進む猟師の世界では冗談抜きのけっこう真面目な話だったりする)。
この訓練会では、出場犬について特に犬種や犬齢にこだわらず、また猪にどのように犬を掛けるかも出犬者の自由にさせてくれる。
「みんな好みが違うんだから、好きにやればいい」というのが所長の山本さんの方針であり、その人柄もあって今回も幅広い世代、地域から参加者が集まった。
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幼犬・若犬訓練は単犬掛けか? 多頭掛けか?
犬を訓練で猪に当てる場合、基本的には単犬(犬1頭だけ)で当てるべきとされる。これは複数頭の犬を同時に入れると、それぞれの犬の本当の反応というものがよく分からない、というのが理由だ。
単犬では猪に恐れをなして反応しない犬でも、複数頭であれば勢い優って猪を追うことがある。この場合、最初から複数頭を入れただけだと、「一緒になって猪を追う」という反応しか分からず、例えば実猟において犬がバラけてしまった場合に、単犬での犬の仕事を予測できないのだ。
逆に、そういった犬がバラけてしまったときは犬は1頭で猪を相手にしなければならず、訓練において1頭で猪に対峙するという経験をさせることは犬にとっても貴重な機会になる。
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一方で、意図して複数頭を同時に猪に当てる場合もある。幼犬や若犬に猟欲を出させるためであったり、そもそもパックで使うことを想定している犬群であったりする場合だ。
幼犬や若犬は猪犬としては発展途上であり、どのような猟芸を発揮するかは、系統による性質や性格に加えて、経験や環境にも大きく左右される。
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訓練で猪に当てる場合は、単犬掛けか多頭掛けかどちらが正しいのかという単純な判断ではなく、何のためにその数で猪に当てるのか、という目的をはっきりさせた上でハンドラーが自分の犬をしっかり観察しなければ訓練の成果を得られない。
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なお、上の写真は2頭の若犬で大猪に挑ませたときのものだ。
単犬では到底敵わない相手だが、2頭の連携プレーでコーナーに大猪を追い詰めた。実猟においては、2頭掛けをすると猪に的を絞らせず、かつ猪を止める確率も高くなるため、犬の受傷率を下げ、捕獲率を上げることが出来ると説く猪猟師もいる。
一方で、複数頭の犬を同時に入れると勢いがつき過ぎてしまい、不用意に猪に飛び掛かって行く犬も現れるため、受傷率が上がるという考えもある。
いずれにしても、訓練を通して一頭の場合、複数頭の場合とパターン分けして、個々の犬の猪に対する反応は確認しておきたい。
にらみ合う猪犬と猪
深いブッシュのある第一訓練場の中には、猪と単犬でにらみ合う犬がいた。
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