リーダーは大きな目標を実現するために、外部の力も活用すべし
6月11日(火)に『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)を出版いたしますが、出版までに本書で取り上げている歴史上の人物について、なぜ取り上げたのかを簡単にご紹介しています。
第10回目は、島津斉彬(なりあきら、1809年~1858年)です。幕末の薩摩藩主として、産業の振興や、西郷隆盛などの将来性がある人材の登用などを進め、幕末に薩摩藩が活躍するきっかけを作ったと言えます。幕末のなかでも一番の名君との評価も多い人です。
私が本書で島津斉彬を取り上げた理由は、島津斉彬を通して、大きな目標を実現するにあたり、多角的な視点から外部の力を活用することの大事さを伝えたかったからです。
斉彬は、藩主になる前から薩摩藩単独でも工業化を推進すべきだと考えていました。来るべき欧米各国の進出に備え、国を豊かにし、軍備を強化する必要があったからです。
しかし、工業化は大きな資金負担が発生するとして、薩摩藩内では大変な反対にあっていました。そのなかでも、斉彬の実父が猛反対したことにより、斉彬は藩主になかなか就任できませんでした。
このような状況に対して、斉彬は外部の力をうまく使います。それは江戸幕府の力を使うことでした。欧米各国に対して脅威を感じ始めていた幕府としては、斉彬に工業化を進めてほしいと考えていたのです。その結果、実父は引退せざるえなくなり、斉彬は藩主に就任します。
斉彬は藩主就任後、計画通り工業化を進めていきます。これは集成館という場所で進められたため、「集成館事業」と言われています。この事業では、製鉄・造船・紡績のほか、多種多様な工業品がつくられました。ここでの経験が、明治維新後の日本の近代化にも役立っていくのです。
これは斉彬死後の話しとなりますが、集成館にはイギリスやオランダの機械が導入されたり、技術者を招いたりもしました。このような海外からの力を活用したことで、集成館事業は更に推進されました。
現代に生きる私たちも、何か新しいことをする時に、内部志向にとらわれた内部からの反対にあうこともあります。そのような反対に対してリーダーとして丁寧に説明することも大事ですが、時には外部の視点やアドバイスなどを活用することも有効な手段です。それは、官公庁などの公的機関だったり、コンサルタント等だったりすると思います。
また、新しいことを進めるには、内部にある経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)だけだとやり切れないことも少なくありません。そのような時には、外部がもっている経営資源や、外部からの指導・アドバイスを受けることが有効になります。実際、企業の歴史をヒアリングすると、創業期や成長期には外部からの支援を受けていることが多いと感じます。
新しいことを成功させたいのならば、積極的に外部の経営資源を受けたり、指導・アドバイスを受けるべきなのです。
そんなことを伝えたくて、本書では島津斉彬を取り上げてみました。
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