見出し画像

そのM&A、企業戦略を実現するものですか?

経営者の後継者不足などもあり、中堅・中小企業でもM&Aが活発になっています。
経営者の方であれば、M&A仲介会社、銀行、公的機関などから買収候補先の情報を日々あふれるほど受け取っているのではないでしょうか。
 
そのような企業情報を取得した時、経営者はどのような視点でM&Aの要否を判断するのでしょうか。
「候補先の収益性も踏まえて買収金額が妥当なのか?割高なのか割安なのか。」
「候補先企業がもっている有形・無形の資産が魅力的であるか?」
「その事業そのものに成長性などの魅力があるか?」
 
このようなことも判断軸の一つとなると思います。これらのことが高評価であれば、経営者としては当然興味をもつころでしょう。
 
しかし、私はこれ以上に大事な判断軸があると思います。
それは、そのM&Aにより自社の企業戦略を実現するものであるかどうか、ということです。
また、この判断をするためには、M&Aの前に企業戦略を決めておく必要があります。
 
企業戦略として、現在の商品・サービスを新規の市場に拡大していく「市場拡大戦略」や、既存の市場や新規の市場に向けて新しい商品・サービスを開発していく「新商品開発戦略」や「多角化戦略」などがあります。
どの戦略を取るかは、経営理念や環境などを踏まえて企業それぞれで決定するものですが、決定した後はその実現に向けて集中すべきです。
 
市場を拡大するにしても、新製品・サービスを開発するにしても、自社で実現するには時間がかかります。環境の変化も激しいなかで、時間をかけていたらチャンスを逃すかもしれません。この時間を短縮するために、M&Aを活用するのです。買収先企業が持っている市場開拓力や商品開発力を活用し、自社の企業戦略を実現していきます。
 
この流れを実現するためには、繰り返しですが、M&Aの前に企業戦略を決めておくことが必要なのです。そして、企業戦略が決まっていれば、「どのような企業を買収候補先としたいのか」を各機関に提示することもできます。
 
実際、私がご支援しているなかでも、M&A実施後に順調に成長している企業は、企業戦略にもとづいて買収候補先企業を明確にしています。そうすると、不思議とそれに当てはまる企業が現れるのです。
  
企業戦略が明確でなく、ただ現状の収益力などに目が奪われて買収してしまうと、買収後に自社の力が分散し、買収先企業のマネジメントがうまくいきません。そのようなM&Aでは、もともと期待していた買収先企業の収益力も低下し、何のために資金を使ったのか分からなくなります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?