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素敵なクリエーターさん達の作品をお勧めしたいマガジン

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私の心が素直に動いた、他の方の素敵なお勧めしたい作品の掲載。 最近は、作者の方にきちんと許可を得て掲載してます。
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#私の作品紹介

【詩】旅に出る

鳴く鳥の 声に誘われ開けた窓 日陰の風がひんやりと 半袖をすり抜ける ありふれた毎日に 心が小さくなっていく 見慣れた景色しか 見えない心になっていく 暖かさの余白さえ いつの間にか気付けずに やさしさの延長さえ いつの間にか気付かずに 大切なものを失くす前に もっと私を広げたい 今日をただ待つのではなく 今日を感じる旅に出る

【詩】ほんの一歩

ほんの一歩が大きくて 飲み込んでしまう言葉の行方 交われない気持ちには 寂しさが纏わりつく 思ったままに笑えなくて いつしか静かな笑顔に慣れて 気付けば隣人がとても遠い 人の中に沈むほどに 一人になって 守る心も孤独では 何を守ると言うのだろう ほんの一歩が遠すぎて 一人歩きばかりが上手くなる

【詩】どうしようもなく螺旋の渦

これは静止した世界で起こる 何時でも側にいてくれる人なんていない あなたがどうなんて言葉は出てこない 孤独で 孤独で 孤独で でも孤独で死んでしまう事もない 只生きてるだけの屍になる 空中に浮かぶ霧のようになり 誰かの息になるなんてことはない それが世界中でいちばんの孤独だなんて いったい誰がわかるだろう すぐに見渡してみて 周りにある堤防が決壊しそうで 怖くなる 唇から出る黒いものは何? それは澱のようなもの 孤独という名の澱のようなもの

【詩】嫌い

嫌い という二文字は たったのこれぽっちで 人を 泣かせることが できる なんと 豪華な捨て台詞であることか なんと 痛々しい響きであることか それだけで 血にまみれる廃人が うようよしていることを あろうことか 当に放し飼いしている君は 知らぬまま 嫌い という二文字は たったのこれぽっちで 人を 死に追いやることが できる なんと 効果的な技であることか なんと 原始的な武器であることか それだけで 人生をさまよう人が 数多となくいることを まさかまさか

【詩】自分知らず

強がりの 後ろに隠れる臆病が 見つけて欲しいと 寂しがる 心が寒いと 涙を流す そんな私を 知りたくないと 知らないふりをすることは 強がりなのか臆病なのか そんなことも分からない 私は私を何も知らない

【詩】涙の音

思いもよらない香りを纏って 届いた言葉 柔らかい棘の刺さった よそよそしさ 私が 思いもよらなかったから あなたに 言わせてしまった最後の言葉 一瞬で 氷が張り詰めたあの部屋で 私が最後に聞いたのは あなたの涙の落ちた音

【詩】堤防にて

防波堤の突端で猫と一緒に 波の浮き沈みを くつろぎながら 眺めている 隣で魚を釣っているおじさん 小魚を釣ると 猫の前に置いて 美味しそうに 猫は魚を食べる 釣り人がくれる魚を のどかな空気の中で 猫は毛づくろいをして 昼寝をして 気長に待つ サンダルを持って ゆっくりと歩いていると 猫もまた 後ろを追いかけるように ゆっくりと歩く 都会の喧騒はそこにはない 汚れたとは言わない ズルくなったとも言わない ただ都会の生き方に 慣れてきただけ 無邪気だったあの頃 都会

【詩】星空

夕暮れに 浮かび始める街並みは 化粧をしたように華やかで 眩しさを少しずつ 受け取りながら すり抜けるような 帰り道 陽が落ちたら 夜空の時間 集めた光を心に灯し ここに居るよと上を向く 目が合う星を探してみる 私らしく瞬けば 誰かがきっと気付いてくれる 私が私を信じれば 誰かがきっと見つけてくれる 空は広く 星は数多に

【詩】銀河系

止めてしまえば楽なことを 僕はなぜ続けているんだろう 追い立てるのは 人ではない 時間でもなければ 考えてみれば 僕は追い立てられていない 誰からも 自分からも 追い立てられなければいけない世界 追い込まれる世界 追い込む世界 追いつめる世界 人工的に出来た円の中で 喜び悲しみ つついて笑い泣かせても 見てるだけ 僕はそれを黙って見ている 円の中を 重みを得た球は円の外に はじき出される 球の重さなんて人それぞれで きっとかまわない 円の外に出そうな男の子を

【詩】こころの音

落ちる髪には音もなく 私だったものが 消えていく 離れる心にも音はなく 二人だったものが 消えていく 響かなくなったことに 気付けないから 気付かない 二人が遠くなった夜 心をもっと 澄ましていたなら あなたから 私が落ちていく

【詩】確かめる

どうぞ一人にして どうぞ一人にしないで ありがとう ケーキに恋と飾って 雨のように降る好きの数 嬉しいのに時々空虚になる 本当に欲しいものは違うけど 似ている そう 似ている 好きの押し売りは 嫌いじゃないけど 自分の本当の気持ちが わからなくなる そうしてるのか そうされてるのか 自分の気持ちさえ曖昧 そうかもしれないと 圧力でもない 強力な思いが迷わせる たくさんの好きが 愛と結びつかない 欠損した何かの 代わりのモノ 欲し

【詩】二人

寄りかかって来る やわらかい暖かさに 安らぎを 寄りかかりながらも 失くさない気遣いに 真心を そんなものを 与えてくれる存在に 頼っているのは 私のほう きっとあなたも同じかな そういうのが一番良い

【詩】言い訳

止んだ雨の静けさに 鳥の声が明るく響く 街の動き出す気配が 私を取り残していく 時間を 持て余している時は 心を 持て余している時 それでも 少し重い気持ちも 少し疲れた心も 全て私のものだから 置いていはけないものだから 雨の言い訳ももう終わり

【詩】ため息

進まぬ歩の戸惑いに こぼれそうなため息を 慌てて飲み込み上を向く 浮かぶ白い雲さえも 見上げるほどの高い空 真っ新の青色が 秋の朝を照らし出す ため息は 心の色を消していく つくたびに 私の色が消えていく 私を失くしてしまわぬように あの青さを吸い込んで せめて今日一日が色付くように