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Mountain: 帰国後の英語力の差、ESLとEnglish

留学から帰ってきた生徒で、たまに英語を見てほしいと言われることがある。もちろん留学前よりは話せるようにはなっている(なっていないケースもある)のだが、文章を書けない生徒が多い。留学中、どの英語のクラスで学んだかによって、英文構成、文章力が異なってくる。留学後の将来設計も含め、短大留学や大学から1年間の協定校留学を考えている人たちへ、EnglishESLのクラスをご紹介。


つい先日、私の元生徒でアメリカの短大を卒業した生徒がいる。ほぼAの優秀な成績を修めて帰ってきた。ただ、やっぱり文章が下手くそだった。お世辞にも上手いとは言えなかったので、どの英語のクラスを取っていたのか聞いてみた。

その生徒は短大を卒業できるESLの最終クラスまで受講し、そのクラスではエッセイを書いたことがあるけど、編入希望の学生が受講する大学レベルのEnglishのクラスは取っていなかった。

まず、アメリカの短大に通う現地の学生は、それぞれのバックグラウンドを持ち、目的や年齢も様々。
- 高校ドロップアウト経験者、学業のやり直し
- 新しい専門的な知識を学ぶ(ディプロマ)
- 四年生大学への編入
- 留学生
など。

ESLとは”English as a Second Language”の略で、主に留学生を中心とした英語を母国語としない生徒用の英語のクラス。すべての学生が大学に入学する際にプレースメントテストがあり、それによってレベルが決まる。

ESLのレベルは学校によって異なるが、すべてのレベルをクリアすると、現地の学生と同じ大学レベルのEnglishのクラスを受けることができる。

英語が第一言語の生徒でも、入学時にプレースメントテストで英語が大学レベルに満たない生徒は、ESLではなくネイティブスピーカー用のlower levelのEnglishクラスがある。

ちなみに、数学も同じくプレースメントがあり、大学レベルだと日本と同じく高校生レベルをクリアしなければならない。

では、ESLと大学レベルのEnglishは何が違うのか。

学校によって異なるが、短大の場合、ESLの最終クラスでは、5パラグラフのエッセイの仕上げ、最初のレベルのEnglishでは、まず10枚程度のリサーチの書き方を学ぶ。専門知識だけを学ぶディプロマコースや短大を卒業する目的であれば、私の生徒のように現地学生と一緒の大学レベルのEnglishのコースは履修しなくても良い短大もある。

四年生大学だと、最初のEnglishのクラスで書き方の説明はなく、1学期中に2から3つの基本のリサーチをさせられる。

必須のEnglishのクラスは、リサーチだけではない。critical thinkingやanalyzingと言われる論述やディスカッションのクラスもある。

文系理系に関わらず、四年生大学を卒業するためには、lower division(一般教養を学ぶ最初の2年間、編入するのであれば短大での2年間)で少なくとも3種類のEnglishのクラスを履修しなければならない。

短大卒業目的の生徒は、主に専攻科目メインで履修するため、ハードルの高いEnglishのクラスは受講せずに他の文系科目でカバーができる。

ではなぜ、受講した学生としていない学生に差が出るのか。

「英語力」があるからと言っても、それは文章が書けるわけではない。日本語で作文を書くのと同じように、内容も含め、構成や表現など様々な点から優劣がある。

まず、Englishのクラスでは本を何冊も読まされる。それによって知識を増やし、視野を広げることができる。教授によっては、課題で次週までに3冊ほど読まされることもある。読む力をつけることにより、新しいアイデアだけではなく作者の表現力やスタイルを学ぶ。

さらにアメリカ(英語圏の国)は、多くの移民を受け入れており、それらに基く文化や宗教が存在する。彼らと一緒にディスカッションやグループリサーチなどすることにより、お互いを尊重し合えるのもこの授業ならでは。Englishのクラスでは、様々な角度からの意見や考え方を学び、いろんな方法で自分の考えをまとめながら、伝える方法を学んでいく。

Englishのクラスで学ぶものは、単なる「英語」ではない。「英語」を使いリサーチスキルや批判的思考能力を学び、グローバル人材には欠かせない分析力、プレゼンテーション力、交渉能力に繋がっている。

留学中何を専攻するかはともかく、語学学校ではなく、短大留学や日本の大学から1年間の留学を考えているのであれば、帰国後に問われる英語力を考え、必ず大学レベルのEnglishのクラスを取って欲しい。タフなクラスではあるが、帰国後の選択肢が広がる。

「留学」は明るく楽しく聞こえるけれど、外国で生活しながら勉強をするって、本当に大変。アスリートで言うならば、アウェイで向かい風、さらにサポーターなしの状況で試合するようなもの。だからこそ、そんな環境に身を置いて新しい自身をちゃんと見つけることができる良い機会です。

大丈夫、頑張って。
志を忘れずに。

Love,
Kelly

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