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思考パターンの見える化:自分を理解する3つのテクニック

自分の思考パターン、つまり何かあったときにどう解釈して何を感じてどう行動するか、って、意外と分かっていません。
それを俯瞰したり分析する時間も無いくらい、あっという間に使っているからです。
しかし「どうして自分はいつも…」と悩むのは、その思考パターンが定着して変える手がかりがないからと言えます。
自分のストレス対処スキルを上げるために、他者に自分を理解してもらうためにも、思考パターンを知りましょう。


1.自分の思考パターン、知っていますか?

①自己紹介で「私の思考パターン」を言うことはまずない

自己紹介をする場面を想像しましょう。名前や職歴、住んでる地域や趣味や特技などを簡単にまとめて話しますよね。
こうした情報は基本情報ですし、当たり障りが無いので言う側も聞く側もハードルを感じません。端的にまとめられるので楽ですし。
ただ、仕事にしろそれ以外の集まりににしろ、これから長く関わり続けるだろう人たちに知っておいていただきたいのは、本当は趣味や住所ではないですよね。

自分はどんなふうに考える傾向があるか、です。
これを知っていてもらえるとお互いに関わり方が非常に楽になります。
ですが当然初対面でこんな話はしません。初対面に限らず、かなり親しくなっても明確に言葉として伝えることは無いのではないでしょうか。

②×話す必要がない ○分かってないから話せない

自分の思考パターンなんていちいち人に言わなくていいのでは、と思う方もいるかもしれません。それも一つの選択です。
ただ、考えていただきたいのは必要性ではありません。言う必要があるか無いか以前に、自分で自分の思考パターンを分かっていないから話せない、ということはありませんか?

他人に伝えるかどうかより、自分で自分の思考パターンが分かっていないことのほうがずっと問題です。
どう動くか分からないお掃除ロボットに大事な自宅の掃除を任せられますか?
それと同じなのです。

自分がどんな時にどんな風に状況を理解し判断するか、のパターンを知っておくことは、毎日の生活を安心して送るために、ネガティブなストレスからの影響を最小限に抑えるためにも必要なのです。

2.思考パターンの分析ステップ① 自己観察

①ジャーナリング

思考パターンを知るための方法を3つご紹介します。
1つ目は「ジャーナリング」です。
ジャーナリングとは「書く瞑想」とも呼ばれます。頭に思い浮かんだことをそのまま忠実に紙に書き続けます。
やってみると実感するのですが、書き続けることで次々と最初は思ってもいなかったことが出て来ます。そして書き終わると、ずっとモヤモヤしていた自分の思考や感情が文章になって現れているのです。

やり方は簡単です。

  1. ノートとペンを用意し、心が落ち着ける場所に移動する。

  2. ジャーナリングのテーマを決める(例:なぜ今不安感でいっぱいなのか)

  3. ジャーナリングする時間を決める(5分、10分、15分など)

  4. 深呼吸して気分が落ち着いたら書き始める。途中で間違えても直さなくてOK

  5. <3>で決めた時間枠いっぱいまで書き続ける。

  6. 終わった文章を読み返してみる。

ポイントは「書いたものは誰にも見せない」です。誰かに見せることを意識した文章に自分の本音や深層心理は出て来ません。絶対誰にも見せないことを念頭に置いておきましょう。

②身体スキャン

マインドフルネス瞑想の手法の一つです。主に自分の体の反応に注意を向け、傾向を知ることに役立ちます。

  1. 椅子に座るか横になるかなどして、身体をリラックスさせます

  2. 自分がCTスキャンを受けている場面を想像しましょう。頭からスキャンの機械が降りてきます

  3. 頭→首→喉→肩→胸→上腕→腹・胃→手首→下腹部→指先→大腿→膝→足首→つま先、のように、自分の体が今どんな状態か、を観察します

  4. どこに力が入っているか、痛みがあるか、温かく感じる場所などを感じ取ります

  5. 途中でふと何かを考えるかもしれません。明日の予定や今日大変だったことなど。その時どこに力が入りますか?

  6. またどこに違和感があると気持ちが不安定になりますか?

やってみると、自分が常に緊張している部位や、ネガティブな感情とリンクする部位や反応が分かります。

③セルフトーク

セルフトークは、自己理解や感情のコントロールに役立つテクニックです。
普段自分が判断したり発言するときに、どうしてそれを選択したのか、の流れを確認している人はいないでしょう。その自覚がないくらい瞬時に脳が判断して実行しているのです。
その判断や行動がスムーズに物事を進めてくれる時は問題ないのですが、そうではない時もあります。
結果として何かに失敗したり、ミスをしたり、誰かとの関係が悪化するようなことも起こりえます。
そしてそれが何度も繰り返されるようになると、自分への自信を失い、ストレスを抱え込むことになります。

セルフトークはそうした時に自分が何を感じて、考えて、判断して実行しているのか、のプロセスを分析する方法です。

  1. 自分が普段どんなセルフトーク、つまり心の声を持っているかを観察します。特にネガティブな内容に注目しましょう。

  2. 自分に対してしょっちゅう発している言葉は何ですか?(自分は馬鹿だ、どうせできない、またやっちゃった、など)

  3. そのセルフトークを記録します。言葉だけでなくどんな状況で誰と居て何をしていて何がトリガーになっているのか、も書き出しましょう

  4. トリガーがどんなふうにネガティブ感情を引き起こしたか、を分析しましょう

この後、ポジティブなセルフトークに変えて行く、というステップに進みますが、今は思考パターンを知るための方法として使いたいのでここまででOKです。

3.思考パターンの分析ステップ②思考パターンを特定する

①ジャーナリングを読み返し、キーワードをピックアップする

次は自己観察の結果を使って、自分の思考パターンを特定します。

まずはジャーナリングです。
ノートに書いたものを読み返してみると、同じキーワードや似た言葉を何度も繰り返していると思います。
それは形容詞かもしれないし名詞かもしれない、誰かの名前かもしれません。
それを色ペンでマークしましょう。
1つではないかもしれません。
マーカーをつけながら、段々と「自分はいつもこんなことばかり考えている、こんな流れで物事を判断しているんだ」という気付きを得ることが出来ます。

②身体スキャンで感情と身体の反応の組み合わせを知る

身体スキャンを何度か繰り返すうちに、自分の体の反応の意識を向けることが増えていきます。
リラックスした状態で気になる場所が、実は職場では常に違和感があったり力が入っている場所かもしれません。
そしてそこに違和感を感じるとき、自分は何を考えて、感じているでしょうか。
身体の反応を使って自分の感情を突き止めることが出来ます。

例えば上司に声をかけられると、反射的に肩に力が入る、とします。肩に力が入っている時に、心ではずっと不安が渦巻いているかもしれません。
ということは、「不安」がその時の思考を支配している可能性が高いです。不安な時自分はどんなふうに行動するでしょうか。早くこの時間が終わってくれ、とその場しのぎの返事をするか、逆に戦闘態勢に入って上司に反抗するか、人それぞれです。
そのパターンが上司相手に通用する、または自分にストレスが無いならOKです。しかしそうではない時は、そのパターンを変える必要がある、と気づくことが出来るでしょう。

③セルフトークの内容から、思考が行動に及ぼす影響を分析する

3つ目はセルフトークです。
セルフトークは自分の普段の心の声を分析する方法です。
言葉には出さないけれど心の中で繰り返している自分との対話に耳を傾けることで、なぜそうした判断や行動をとったか、の仕組み、つまり思考パターンを知ることが出来ます。

少しストレスを感じるかもしれませんが、ここではあえて自分の失敗パターンを題材にしましょう。

例えば家族に頼みごとをしておいたのに特別な理由もなくそれを忘れられてしまったとき。
自分は「なんでいっつもやってくれないんだろう!私はこの人からの頼み事は常に忘れないのに。もしかしたら私の頼み事なんでどうでもいいことだと思っているのでは、きっと私のこともどうでもいい存在だと思っているんだ」と考えている、とします。

ここでのトリガー「家族が頼みごとを忘れた」ことで、引き出された感情「怒り」と「劣等感」です。
この二つが自分の中で優勢になると何をするでしょう。家族を叱責したり怒りをぶつけてケンカになり関係が悪くなります。1度や2度のケンカなら家族ならよくあることですが、これが毎日繰り返されたら家族と言えど関係は崩壊します。

なぜ「忘れる」ことが自分の怒りや劣等感を刺激するのでしょうか。
この二つの要素の結びつきを分析することで、自分の思考パターンを理解することが出来るでしょう。

4.自分の思考パターンを知ることのメリット 6つ

①何か起きた時に学びに転化できる

自分で自分の思考パターンを知っていると、ミスや失敗をしたときに、そこへ至るまでの筋道が理解できるため「次はAではなくBを選べばいいんだ」と、経験を学びに転化することが出来ます。

②感情のコントロールが出来るようになる

自分の思考パターンが分かっていると、ネガティブな感情が湧き上がった時になぜその感情を抱いているか、の仕組みが理解できます。
それによって感情に支配されたり振り回されることが減り、不必要に自分を責めたり誰かのせいにすることがなくなるので、ストレスを低減することが出来ます。

③行動が改善される

思考パターンを理解していることで、より理論的で合理的な意思決定をすることが出来るようになります。
この場合の合理的とは、自分の意思を反映させた合理性です。自分らしい意思決定、ということです。自分らしさが反映されているので行動の結果を前向きに受け止めやすくなります。

④コミュニケーションの質が上がる

自分の思考パターンを理解していると、コミュニケーションにおいてどんな場面でどんなふうに意思を伝えればいいか、のスキルが上達します。
自分の意思を誤解されないように表現することが出来て、意思をゴリ押しすることもなく不要に引っ込めることもない、アサーティブ(相互尊重)なコミュニケーションに繋がります。

⑤問題解決能力が上がる

自分の思考パターンを知っておくことで、何かトラブルが起きた時に自分らしい視点で状況分析することが出来ます。
自分らしい、とは、自分の土俵で戦うことです。自分の強みを活かして成功率の高い方法で解決を試みることが出来ます。

⑥ストレス対処能力が上がる

自分の思考パターンを知ることは、ネガティブ感情への対処方法を獲得することでもあります。
ネガティブな感情が怖いのは、それに支配されて二次的三次的に新しい問題を引きこしたり心身に大きな負荷がかかることを予想するからです。
思考パターンが分かっていれば、感情に支配されることが減るため、そうした二次被害を避けることが出来ます。

5.まとめ

  1. 自分の思考パタンは意外と理解していない

  2. 思考パターンが分かっていないから、同じミスを繰り返したりストレスが減らない

  3. 思考パターンを自己観察する:ジャーナリング、身体スキャン、セルフトーク

  4. 自己観察結果を元に思考パターンを分析する

  5. 自分の思考パターンを理解することで得られるメリット6つをご紹介

自分の思考パターンを知る方法とそのメリットをご説明しました。
思考パターンとは、過去の経験や周囲の人から言われてきたことなどから構成されていて、普段は自分を自動的に動かすシステムです。
自動的なので変えるのはかなり大変です。しかし変えることは可能です。変えるためにはまず普段自分は何をどんなふうに感じて考えて判断しているか、を知る必要があります。
そのための方法ですので、お時間があるときに試していただけると嬉しいです。


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