第5話:マーケティング研究思考に必要な5つの学問
前回のおさらい
早いものでvol.5で、今日から2章です。
きっとvol.1からvol.4まで何がマーケティングだっていう話が多かったと思います。マーケティング論の前段の部分を話しただけですからね…。
今日から3日間は学問とはなにかということをつらつらと書くだけなので、1章より明日使えないマーケティングの話です。
さて、前回までの振り返りをすると、マーケティング論というものの考え方の歴史を経済学から見ていったわけですね。経済学→経営学→マーケティング論と親子関係であるということはご説明したとおり。
それぞれの時代の変化に合わせて学問で研究する分野や切り口が変わってきたということでした。また、マーケティング自身も生まれたばかりで、時代の流れで定義が変わってきたということをAMAの定義から見ていきました。
マーケティング研究に必要な5つの学問
最後のところで、マーケティング論をこれから学ぶにおいては、マーケティング論の研究書だけを読めばいいものではないです。他の学問でもあるあるの話なのですが、自分が研究したいと思った興味のある分野って誰かがすでに研究していて(先行研究)、そこを、更に深堀りしていくのか、もしくは、批判していくことで発展させるのかのどちらかなんですね。
いずれにしても、学問を発展させるためには正攻法でいっても認められない部分が多いので、他の学問の考え方を使いながら研究していくことが多いです。
マーケティング論で必要なこと、同じくビジネスで使う“マーケティング”でも、僕としては、5つの学問は必ず学んでおくべきと思っています。
親族である経済学、経営学はもちろん、社会学、心理学、哲学は必ず抑えておく必要があります。
ビジネス上のマーケティングでも、心理学的な知識を使っている人も少なくないと思います。例えば、「単純接触効果」や「バンドワゴン効果」などなど。社会学も、今現在の社会状況や消費者の行動がわからないと売りたいもの売れないですよね。ペルソナ作るときも大変だですし。
その他も、法律(法学)を使ったり、物理学、数学、統計学を実務では使うと思いますが、ここではマーケティングを使った思考をするためにはということに限定してということをここで断っておきます。
5つの学問と社会科学
さて、今回紹介する5つの学問は2分類できるのはお気づきでしょうか。
マーケティングや、その親族である経済学や経営学、それに加えて社会学は、学問の分野(科学)で分類すると「社会科学」という分野に当てはまります。
社会科学とは、「自然」と対比された「社会」についての科学的な認識活動およびその活動によって生み出された知識の体系のことを言って、人間の社会の様々な面を科学的に探求する学術分野の総体のことを指しています。
「科学」自身定義づけがめちゃくちゃ難しいんですが、一般的に、お茶の水博士みたいなおじいさんが試験管をイジっていることだけが科学ではなくて、こうした経済学も含めて科学と言われています。科学の定義を1つ取って研究されている、科学哲学という分野があるぐらいめちゃくちゃ奥深いのが科学なんです。
社会科学を簡単にまとめると、
文字通り社会を見ていく科学のことです。
・経済学
・経営学
・社会学
・法学
・政治学 などなど
社会科学を英語でいうと”social science”。人と人との関係を科学的に探求する学問の分野のことを言います。
すなわち、2人以上いればそれはもう社会なんですね。人間生活送っている以上、自分以外の人とかかわらずに生きていくことは不可能なので、実際のところ人間が関わること全てが大体社会ということになるのです。
「社会の最小単位」は家族だと言われていますが、社会の縮図的な意味で家族という表現を使っているだけなので、厳密的に言えば2人以上人がいれば社会になると思ったほうが良いです。
ちなみに、日本では社会という言葉は明治にようやく生まれた言葉です。socialという言葉の翻訳語として社会という言葉が当てはめられました。それまでは社会を表す言葉として浮世とか、世間とか言う言葉でが使われていましたが、ちょっと違いますよね。
社会と同じく、「個人」という言葉も同じタイミングで”indivisual”翻訳された言葉らしいです。英語の言葉の通り、in(否定)division(分割)という語源から分かる通り、社会に対してこれ以上分割できないものを個人としています。
この発想が、150年前の日本人にとってはなかったんですよね。そして、今現在も日本は、社会という言葉でまとめることが難しく、日本で社会のことを考える時は、世間と言う独特の世界があることを忘れないようにしてください。
5つの学問と人文科学
さて、次に人文科学。
人文科学ってイメージとしてはThe文系の文学的なやつかな?と思いますよね。
雑に説明すると、文字通り「人」を見ていく科学のことです。
・哲学
・論理学
・歴史学
・考古学
・文化人類学
・文学
・心理学 その他多数
人文科学とは英語でhumanitiesと言います。人間についてのなんでもを探求する分野です。人間の本質を問うことが多くなります。
ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどを始めとする、紀元前の学者がよく考えてきたことを始めとする哲学や論理学、認識論。これもめちゃくちゃ重要で、これがなかったら人類はここまで発展していなかったんじゃないか!!と思えるぐらい重要な学問です。重要だけど勉強してる人が多くなくて、可愛そうな学問です。
人間がどういう営みをしていたのかを研究する分野の歴史学や考古学です。この分野は全然わからないですが、ただ僕の経済学の考え方のベースになっている社会経済学(いわゆるマルクス経済学)のマルクスさんは史的唯物論という歴史からパターンを見つけて経済学を分析したということもあって歴史学はとても大切だと思っています。
人類がどういう文化を営んでいるのかをフィールドワークによって観察しまとめる学問の文化人類学。これも、経済学を学ぶにはとっても大切な学問です。文化人類学で有名な、マリノフスキーが研究したクラ交換や、マルセル・モースが研究した贈与論なんかは、未開の地の交換すなわち経済を分析したとても貴重な研究なので必ず見ておく必要があります。
あと、文化人類学の研究方法として有名な、エスノグラフィーは、文化を知るために、その人と一緒に生活をしてその文化を研究する手法です。マーケティングでも使われていて、例えば女子高生向けの商品開発をするために女子高生と一緒に生活をして商品開発するなんて言うこともありますが、それはこの文化人類学の手法を元にして作られています。
最後に、人間がどういう心理的変化や反応を示すのかを研究するのが心理学です。心理学は言わずもがな有名な学問ですよね。人をコントロールするようなイメージを持たれがちですがそう思ってほしくないなーと思っています。そのへんの話は次回お話しようと思います。
まとめ
さあ、今日は、マーケティング論を研究するために必要な基礎的な学問は5つあるというお話をしてきました。その中でも社会科学と人文科学はどのようなものなのかをお伝えしました。要するに学問て面白いね〜ということと、学問は役に立たないと思われがちだけど結構役に立ってるんだよということが分かれば十分かなと思います。
次回は、5つの学問をさらっとどんな学問なのかということをお伝えしたいと思います。
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