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京都カルチャーとポスト資本主義

雑誌『Standart Japan』の最新号(Issue 10)にエッセイを寄稿しました。

タイトルは『京都が未来である理由ーポスト資本主義への道標』

このエッセイを書いたきっかけについて、少しだけ書いておこうと思います。

京都には独特なカルチャーがあります。

たとえば、「一見さんお断り」はその象徴でしょう。
常連のお客さんなどからの紹介がない人は入店をお断りするというものです。

イメージするほどそんなに「一見さんお断り」の店が存在するかは疑問ですが、京都に暮らしているとそういった空気はいたるところで感じることができます。「誰にでも来て欲しいわけではありません」という雰囲気。

もちろん、東京やその他の町にだって会員制のバーやクラブはあるし、隠れ家的飲み屋なんかもあるわけで、京都だけに存在している特別な商売方法というわけではありません。ただ、京都の町のこのカルチャーは商売の「ウリ」にするために作られたものではないと感じます。自分たちの生み出すものや、そこに来るお客さんを守るために、自然と定着しているのです。

資本主義に根ざした価値観には「より大きく、よりたくさん」というスローガンが存在しています。事業を成長させることを当然の目標とする価値観です。京都の人たちはそのスローガンから距離を置いています。そして、そのことが京都に独特の雰囲気を生み出していると僕は感じるのです。

もうひとつ例をあげると、「目垢(めあか)がつく」という最近知った言葉があります。京都で使われる言葉だそうで、「良いものも人の目に晒されていると次第に良さが損なわれていく」といった意味とのこと。実際、目垢がつくのを避けるために、特定の商品をあまり店頭に置かないこともあるのだそうです。なんとも京都らしい。

多くの企業や広告代理店が、商品をどうやってたくさんの人の目に触れさせるか、どうやって目立たせるかを必死に考えているというのに。

僕は、「資本主義とは何か」「ポスト資本主義社会とはどんな社会か」についていつも考えを巡らせています。

そんな中で、京都のこの独特のカルチャーや価値観が「非」資本主義的であることが不思議に思えました。なぜ京都では資本主義の非常識が通用しているのだろうか?

そのことについて考えていくと、リーマンショックや東日本大震災以降、同様の価値観は日本社会全体に広まりつつあり、これはポスト資本主義の萌芽となっているのではないかと思い至りました。

この「京都カルチャーとポスト資本主義」についての思索をまとめたのが今回のエッセイ『京都が未来である理由ーポスト資本主義への道標』です。

このエッセイでは、資本主義の蔓延する現代社会の空気や資本主義の本質を確認したうえで、どういった点で京都が非資本主義的なのかを述べ、その思想を「京都型非資本主義思想」と呼んで特徴を整理しました。そして、その思想と親和性を持った現代社会の人々が、テクノロジーの力を借りてポスト資本主義社会へと向かいつつあることを示しています。

興味を持ってくださった方は、ぜひ『Standart Japan』第10号を購入してエッセイを読んでみてください。

※下のサイトから定期購入できるほか、サイトに記載されている全国のコーヒーショップや書店でも購入可能です。もちろん、大山崎 COFFEE ROASTERSでも販売しています。(郵送をご希望の方は直接ご連絡ください)

さらに興味を持ってくださった方は、関連するこちらのマガジンの記事も読んでみてください。

そして、今回の記事についてのトークイベントを東京と京都で開催予定なので、ぜひお越しいただいて、議論に参加していただけたら嬉しいです。
(東京開催では、今回のエッセイと前号掲載のエッセイ『人工知能の時代にコーヒー焙煎家は必要か?』の2つをトピックとします)

『Standart Japan』編集長の室本寿和さんとゲストによるオープンディスカッションは、必ずや未来を感じるワクワクした時間になります。

[東京開催]
<会場>代官山蔦屋書店 
<日時>2019年11月4日(月・祝)19:30~21:15(15分前に開場)
<登壇者>
・室本寿和(『Standart Japan』編集長)
・岡橋惇(BCG Digital Ventures | Senior Strategic Designer、Lobsterr | 共同創始者・編集者)
・中村佳太(大山崎 COFFEE ROASTERS)
<詳細・申込み>
代官山蔦屋書店 イベントページ『コーヒーから僕たちはどんな世界を見るのか』

[京都開催]
※予定情報です。変更の可能性があります。
<会場>京都岡崎 蔦屋書店 
<日時>2019年12月5日(木)19:30~21:00(開場19:00)
<登壇者>
・室本寿和(『Standart Japan』編集長)
・小嶌久美子(フリーランス | リサーチ・企画・プロマネ)
・中村佳太(大山崎 COFFEE ROASTERS)
<詳細・申込み>
※確定次第、京都岡崎 蔦屋書店 イベントページに掲載されます。

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中村 佳太|エッセイスト,コーヒー焙煎家
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