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アップサイクル&DIYショップのできること①

『ものづくり+まちづくり』を実践する名古屋市中村区・新大門商店街のソイロ松本啓太です。

今日は、私たちソイロの目指す方向を共有したいと思います。ある意味、目標を明確にするために記事を書く側面があります。

ソイロは、名古屋市中村区・新大門商店街にビル1棟があります。現況については、ホームページをご覧ください。このビルを「アップサイクル&DIYショップ」と名付けて活動の拠点にしています。
何がアップサイクルで、何がDIYショップなのか、分かったようで分からないと思います。よく来店者さんからも『何屋さんですか?』と問いかけられます。

「アップサイクル」と呼んでますが、いわゆるアップサイクルとは若干違っていて、3つのことに力を入れていきます。
①素材をそのまま使うリユース(REUSE)
②手入れをして元の状態に戻すリペア(REPAIR)
③そのまま使えないものを作り替えるリメイク(REMAKE)
これら3つの方法で、消費者の生活や店づくりを手助けする場を醸成していくつもりです。

それでは、もう少し詳しく見ていきましょう。

①リユース:素材をそのまま使う。

近隣から引き取ってきたリユース食器

リユースは、日本でもかなり浸透しています。メルカリ、ヤフオク!などのオンラインサービスから、ブックオフ、セカンドストリートなどの実店舗まで、日本全国でリユースは幅広く行われています。昔の「中古」なイメージでなく、リユースは身近な選択肢です。
ソイロも同じく、食器・古書・家具などを引き取り~販売をしますが、それらに加えて、建材も扱っています。解体時に排出される古材、ドア、照明、金具類、自宅や店舗で保管していた未利用の資材などです。厳密に言えば、そのまま使える事は殆どなく、ちょっとした加工をして使います。例えば、手元にある棚を短くカットして、別の場所で使う、などは良くあるご依頼です。

②リペア:修理すれば長く使える。

バラバラになった石臼の台、これも修理可能。

次の段階は、修理のリペアです。今時、耐久消費財と呼べない家具も多く、ファストファッション的に消費されるケースも少なくありません。これを直すかどうか、は判断が分かれるところですが、実際には様々な修理依頼があります。
個人的に好きな修理は、使い込まれた年代ものの家具。値段に関わらず使い込まれた姿から、使ってこられた方達を想像してしまうからです。
そして、そんな家具は作りも美しい場合が多いのです。細部の作りが現代のカンタン家具とは全く違い、手間暇が明らかにかかっています。修理を通じて当時の技術や作り方を学ぶ事も多々。作り手のプライドすら感じる瞬間があります。
そうした家具は「壊れたから捨てて、買い替える」のではなく、次の世代に繋ぐことが大切だと思っています。先日修理した鏡台はご依頼人で3代目の使い手らしく、鏡を外すと戦前と思われる古い新聞紙が厚み調整として使われていました。この時点で70年以上は経っている家具が現代に残っていることに感動します。(日本ではこのレベルで感動できてしまうことも、やや寂しい事ではありますが。)

③リメイク:第3の選択肢、「作り替える」を当たり前に。

古い引き戸と古材を組み合わせた、収納扉を製作。

皆さんは家具や小物、それから建材などをリメイクする、と言う発想はお持ちでしょうか?おそらく現時点ではまだ一般的でないと思います。
リメイクすべき理由はいくつかありますが、例えば「素材と作りの良さ」が挙げられます。木材で言えば、昔の材料の方が密度が高い(時間を掛けて育成した木を使っている。)そして、職人の力量が高かった≒加工機械が充分に発達・流通していなかったから作りが圧倒的に良い訳です。
仮に、今日に同じ材料・同じ作りをしたら同じ金額では収まりません。それだけ貴重なものであると言えます。ところが、そうした材料の多くは見事なまでに廃棄されます。なぜならば、なるべく傷をつけずキレイに取り外したり、作り替える方がかえってコストがかかるからです。
でも、一度考えて欲しいのですが、先ほどお伝えしたように、「良い材料で良い作りだったら、価格が高いのはむしろ当たり前」ではないでしょうか?

更に、こうした活動は2050年に向けた脱炭素社会の実現にも大きく貢献します。日本も欧州諸国に遅れながらも確実にこの道を歩みます。その為に、なんでもかんでも新しいものを作り続けるリニアエコノミーはもう通用しない時代が訪れます。(この辺りのお話はまた別の機会に)

リメイクをすべき別の理由は、見た目の問題があります。古いものの価値が高いからと言って、みんなが「味わい深い、使い込んだ○〇」を好きなハズがありません。要するに、そうした情緒的な部分だけで結論付けない選択肢が必要だと考えています。
具体的に言えば、古いものが好きな方はその風合いを残した仕上がりにすれば良いし、新品に近いクリーンな仕上がりが求められれば可能な限り、そうした仕上がりにする、と言うとてもシンプルな事です。特に、新築信仰が強い日本においては、いわゆる中古イメージを払拭することも大切だったりします。

そんな、リメイクの事例をご紹介。

カンタンなリメイクだと、イス座面をクッションから木製に作り替えたりします。

依頼者の要望に合わせて、全く同じ形状の板座を製作

昭和レトロなキャビネットを欧州風なカップボードにしたり、

ピンクが印象的なリメイクしたキャビネット
リメイク前の昭和レトロなキャビネット

究極形は、アップライトピアノをテレビ台にした事もあります。

ピアノの面影を残したテレビ台にリメイク
リメイク前のアップライトピアノ

イスの座面は、使い勝手を変更した例です。(機能面の更新)
キャビネットの作り替えは、インテリアとしての趣味嗜好に対応。
ピアノは、思い出深いが壊れたピアノをこれからの生活の道具にしたいという感情に寄り添ったリメイクでした。

そんなリユース・リペア・リメイクを現在はサービスとして承っていますが、将来的に、これらを所有者自身で行う事ができる場がDIYショップの「工房」になるわけです。

勿論、そんなに簡単に身に付くものではありません。だからそんなDIYをサポートする仕組みも備えています。サポート、と言うよりもスクールに近い感覚かもしれません。

欧米人が自宅を自分で直す事が当たり前のように、いつの日か、日本でも同様の傾向になっていけば良いなと考えています。そんな日本の生活・文化を支えていくようなアップサイクル&DIYショップを作っていこうと思っています。




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