リクルート

「採用像はリクルートに行くような人」について考えてみる。~採用像を明確にしよう~

▼このnoteの要点
・採用像が明確にできているケースはあまり多くない。
・採用像として「形容詞・副詞」が羅列されていたり、「リクルートに行くような人」といった表現は、要注意。
・採用はより上位の経営計画と結びつけて考えるもの。仮に採用像が明確になっていたとしても、そもそも狙うべき採用像ではない可能性もある。

採用のご支援をしている中で、「もっと採用像を明確にすれば、採用が上手くいくのにな」というケースによく遭遇します。

というのも、私の肌感覚にはなりますが、説明会の内容や採用ツールをどうするかといった「手段」の検討はしっかりしていても、採用像を明確にできているケースは全体でも1~2割程度のように思います。

とはいえ、採用像が明確になっているかどうかは意外と気づきにくいので、以下に採用像が明確になっていない状態について記載していきます。

▼採用像に「形容詞・副詞」が入った"まま"になっていたら要注意。

前提として、中途採用と異なり、新卒採用では「ITベンチャーでの法人営業経験3年以上」といったような、ファクトによる採用要件を作ることがあまりできず、どうしても抽象的でふわっとした表現が多くなりがちです。

そうした中で、特に採用像に「形容詞・副詞」が入った"まま"になっていたら、採用像が明確になっていない可能性があります。

▼採用像に「形容詞・副詞」が入った"まま"の状態の一例。
・地頭が良い
・コミュニケーション力が高い
・圧倒的に何かをやりきった経験がある
・将来やりたいことをしっかりと考えられている
・ベンチャー志向が強い
etc


上記のような状態の採用像はかなり解釈の余地があるため、本来はそれらの「形容詞・副詞」が、具体的に「How:地頭が良いとは、どのような状態のことなのか」「Why:なぜそのような要素が自社で必要なのか?」といった形まで十分に追記する必要があるのですが、「形容詞・副詞」が入った"まま"では止まっていることはよくあります。

それこそ、マーケティング活動に例えるなら、何か商品を売る際に「ターゲットは20代OL!」といった超ざっくりのレベルで、CMなどの販促活動をするようなものなのですが、なぜか採用においてはあまり重要視されていない印象です。

▼「採用像はリクルートに行くような人」という表現も要注意。

「うちの採用像はリクルートに行くような人です!」というお話もよく伺います。一見、採用像が明確になっていそうな気がしますが、こちらも要注意だと思います。

▼「採用像はリクルートに行くような人」という採用像でよくある要注意点
・採用像の詳細を聞いてみると、前述の「形容詞・副詞」が入った"まま"で止まっている
 ⇒「地頭とコミュ力が高く、圧倒的に何かやりきった経験があるような方」といった抽象的なフレーズがそのまま出てくることも多いです。

・能力値は一定検討できているが、志向性までは十分に検討できていない。
 ⇒リクルートのブランドや起業家輩出文化、若手の裁量権など、「どのようなポイント」に「なぜ惹かれているのか」という志向性の部分まで十分に検討しないと、「20代OL!」と一緒で採用像としては機能しにくいです。


その他、そもそもリクルートさん自体が会社として大きく変化し、入社する人も変化しているので、例えば社長と採用担当の間で「リクルートに行くような人」のイメージが、大きくズレている場合もあるので要注意だと思います。

この点に関しては、「リクルートに行くような人のうち、A社やB社からも高評価で、本人も興味を持っている方」といった形で、追加でいくつか別の企業もバイネームでセットにして考えると、明確になりやすいと思います。

▼そもそも、採用はより上位の経営計画と結びつけて考えるもの。

そして、ここが一番重要なのですが、仮に採用像が明確になっていたとしても、そもそもその採用像を狙うべきではない可能性もあります

もちろん、背伸びをした採用をやめましょうということではなく、むしろ、ガンガン背伸びをした採用を目指して行くべきだと思います。ただし、本来であれば「自社に最適&競合が多少少なめ」なベストな採用像があるにもかかわらず、十分に採用像が検討されていないがゆえ、必要以上に競合がひしめくレッドオーシャンな採用像を狙ってしまっている場合も散見されます。
※この点含め、採用戦略の考え方は別途まとめます。

ではどうするべきかというと、結局は以下のように採用をより上位の経営計画と結びつけてちゃんと考えることに尽きるかなと思います。

▼採用をより上位の経営計画と結びつけて考えるフロー例
・今後、例えば◯◯年後に会社をこういう状態にしていきたい
 ↓
・その実現に向けては、現在の会社の状態では◯◯といった課題がある。
 ↓
・その課題をクリアするためには、人の面では◯◯な人が必要。
 ↓
・そのために、採用活動をする時点での採用像は◯◯。

こう書くと非常にシンプルに見えますが、そんなに簡単に決まるものでは当然ないと思います。ただ、だからこそ、やれば採用競合企業に差をつけることができるはずなので、経営層だけでなく採用チーム内でも経営計画の認識をしっかり持てるよう、多少時間をかけてでもすり合わせをしていくと良いと思います。

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