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想いに寄り添う

以前、ある女の子の学習をサポートしているときのことです。

高校物理の問題を考えていてどうしてもわからないというので説明をしていたのです。いくら説明してもわからないと言い張り、とうとう「あ~あ、もう嫌や。」とかなりイライラした様子になってきたのです。

実際に説明していることは小学生にもわかるであろうと思うくらいに、文字ではなく数字をあてはめて具体的に違う点を比べやすいようにしていました。

教えるということについても長い間の経験上、これではこの子に失礼なのではと思うくらいに簡単にして説明していたのですが、それでも「わからない」とだめでした。

正直、このレベルの問題を解くことはまだ難しいのが現状であり、少しの時間どうしたらよいものかと考えてしまいました。

しかし、意を決して幼稚園の子どもやもっと小さい子どもにもわかるように説明するためにはどうしたらいいかを考え、そこまでこちらが譲歩して、わかりやすい食べ物の例えを使い説明したところ、「それならわかるわ。あ~あ、そういうことなの!」とようやく理解してくれました。


この女の子とこんなやり取りをしながら、ずいぶんと学ばせていただいたと思います。

こちらは問題の難易度からすると「ここまでやさしくすればわかる」と思っていたことが、実は全く通じないのです。

「ここまでやさしくすればわかる」というのはこちらの枠組みです。それも、こちらの勝手な無意識の思い込みによるものです。それに当てはめようとすると「わからなかった」のです。


そこでこの枠組みをちょっと横へ置いておくことにして、「もっともっと小さい子どもにわかるように話すとしたら?」と考えて話してみたところ、うまくいったのです。

要するに自分の枠組みにとらわれず、この女の子の枠組みに寄り添うことでようやく理解をしてもらえたのです。


このことがあって、前へ進むにしても、自分の思いや考えに引っ張り込まないように気をつけなければと思っている矢先、別の女の子の面談がありました。

以前の経験が生かせ、話の中で「この子が問題に思っていることはこのことなんだろう」ということがわかったのですが、あえてその方向に引っ張るのではなく、話題を変えてみたり、違う角度から考えさせてみたりしてみると、自らの力で自分が抱えている問題に気がついてくれたのです。

本人はすごくショックだったようですが、自分の力で気がつくことで自分の考えも整理でき、その問題に逃げずにしっかり向き合うこともできるのだと思います。

もし、他人に言われたのでは、そこまではできなかったと思うのです。


自分の枠組みに引き寄せるというのは、結局のところ、相手の想いには寄り添えていないことなのです。

子ども達やクライアントの方の想いに寄り添わずに、無意識に自分の考えや思い込みに引き寄せてしまうんです。無意識に自然とやってしまうことほど危険なことはありません。

本当によくよく自分を戒めないといけません。まだまだ未熟です。

この2人の子ども達と話している中で、本当に大切なことを学ばせていただきました。

想いに寄り添うことは本当に難しいものだと痛感した、出来事でした。

よろしければ、ぜひサポートをお願いしたいと思います。