お金を手放し、テクノロジーまで手放したアイルランド人の本 マーク・ボイル『ぼくはお金を使わずに生きることにした』他
本書はとあるアイルランドの男性の本だ。
著者のマーク・ボイルは、大学で経済学を学んだ後に、オーガニック商品を扱う会社に勤める。現代の経済社会のあり方(大量生産・消費社会)に対して疑問を持っていたために、社会をよくしようと思いオーガニック商品を扱う会社に勤め精力的に働いたが、結局のところ、人にとって良い商品を扱おうが、この経済の流れにのってしまうことは社会を悪い方向へと導いているのではないか、と自問し、ついにはお金を手放す生活を始めることとなった。
『ぼくはお金を使わずに生きることにした』では、お金を受け取らない使わないという生活をすることになる。金なし生活というと世捨て人のような感じになるかと思いきや、むしろ人との関わりや助け合いが不可欠で、「シェア」の心を大事にして毎日を生き延びていく。
『ぼくはテクノロジーを使わずに生きることにした』では、金なし生活を経た後、今度はテクノロジーさえも禁止する生活をし始める。電気水道ガスのライフラインはもちろんのこと、火をおこすためのマッチすらも禁止。機械類や車も使わずに山の中に家を建て、完全な自給自足の生活のなかに身を投じていく。
この2冊は、現代の大量生産・消費社会に一石を投じる本で、多くの人に読んでもらいたいものだが、結局著者の言ったところで一番大切なのは、
「人と人が助け合うほど一人一人の生活は楽になり、戦ったり競い合ったりするほど一人一人の生活は苦しくなる」というところだ。
この「戦う競い合う」の最も悪い例が、戦争だと言える。
戦争がなければ、そもそも軍も軍事費も必要ない。そのために使われている膨大な労力や税金がまともなことのために使われれば、一人一人の生活ははるかに楽になる。
戦争という大きな例を出したが、身近なところでも、家庭のなかでも助け合えば一人一人が楽になり、助け合わなければ一人一人が大変になるのは容易に想像できるかと思う。
「人と人が助け合えば合うほど一人一人が生きるのは楽になる」のだから、まずは一人一人が自分の身近にいる誰かを助けることから始め、いつしかこの精神が広がって「戦争」というものが消えて無くなるのだと僕は思っている。