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感染症対策と経済活動の両立のための「見通し」を提供する【仲田泰祐・藤井大輔氏=インタビュー動画公開】

2021年6月、経済セミナー増刊『新型コロナ危機に経済学で挑む』が発売になりました。

本増刊号は、2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大と、それに対する政策対応が、私たちの社会・経済に及ぼしたさまざまな影響を分析して現状を捉えるとともに、今後の展望について経済学の理論・データに基づいた分析をふまえて、多岐にわたるテーマについて解説した一冊です。

たとえば、以下のようなさまざまなトピックに関連する記事19本で、包括的に収録しています。

・経済学と公衆衛生学の役割、両者の協働可能性
・感染症対策と経済活動の両立のために経済学にできること
・行動経済学、ナッジが果たす役割とは?
・消費、雇用、教育、企業活動、医療提供体制、国際貿易など経済への影響をデータと理論に基づいた分析
・財政政策、労働や企業への支援策、特別定額給付金の効果などといった政・策対応の分析と政策評価

その中でもこのnoteでは、東京大学の仲田泰祐藤井大輔先生が取り組んでいる、「感染症対策と経済活動の両立のための見通し」を提供するプロジェクトを紹介した「政策と経済学をつなぎ、コロナ危機に挑む」の概要および関連情報をざっとご紹介します!

■感染症対策と経済の両立を「見通す」ための道標を発信

仲田先生と藤井先生は、2020年12月から急ピッチで準備を進め、2021年1月にはご自身たちで運営するホームページを開設し、モデル分析の結果と今後の見通しに関する発信をスタートさせました。

その後は、感染状況と経済活動(人の動き)のトレードオフの関係に対する予測結果について、データや状況をアップデートして毎週更新し、幅広い発信を継続しています。

プロジェクトが進む中で、多方面からの分析以来に対応しながら次々と新しい課題にチャレンジしていくとともに、プロジェクトチームの構成もどんどん増強されています。2021年6月現在では、お二人とリサーチアシスタントも含めて20名を超えるチームで、日々分析に取り組んでいます。

お二人は、ホームページ「日本でのCovid-19と経済活動」にて、毎週予測等の分析結果に関する情報を毎週更新しつつ、Zoomを利用した説明会も頻繁に開催し、政策現場、メディア、そしてより幅広い一般の人々に向けて、建設的な議論のための材料となりうる、できる限り正確な、感染状況と経済活動の両立に向けた見通しを提供すべく活動しています。分析結果に加えて、経済モデルや予測に関する解説資料、緊急事態宣言解除分析や五輪分析など個別トピック関する解説資料なども「参考資料」のコーナーに公開されています。

このプロジェクトは開始以来、さまざまなメディアで取り上げられるようになって久しいですが、2021年2月3日に公開された下記のBuzzFeed Newsの記事では、分析の意図や背景のエッセンスについて詳細にお話されています。

■【インタビュー動画】の一部を紹介!

さて、本増刊号でもお二人がプロジェクトをスタートさせたきっかけからお話を伺い、「プロジェクトの目的」「モデル分析で何が提供できるか?」「なぜ毎週情報を更新し続けなければならないのか?」「経済学者として、建設的な議論をするために、どのような形で貢献したいと考えているか?」「各方面とのコミュニケーションを通じて何ができるか?」などなど、プロジェクトの背景まで詳細にまとめていただきました。

ここでは、そのインタビュー時の動画を、ごく一部ですがご紹介します!(約10分の動画です)

■プロジェクトに対する想い

インタビューの最後に、仲田先生がご自身たちのプロジェクトに対するの想いを語られた部分がとても印象的でした。その内容は、本誌Chapter 2に詳しく書かれていますが、以下ではその一部を紹介します。

 最後に一言。私たちは経済学者として、こういう形で多くの人々に注目される発信を続けることで貢献できることがあると思っています。毎週のように新しい分析がテレビ・新聞で紹介されることで、これまでまったく経済学に興味がなかった人々にとっても経済学が身近なものとなり、また「経済学者は価値のあるものを提供できるのかもしれない」と少しでも思ってもらえるのかな、と考えています。たとえインパクトのある政策提言でも、1回出すだけではすぐに忘れ去られてしまうかもしれません。
 しかし、発信し続けていくことで、コロナ危機が終息した後に振り返ったときにも、「そういえばあのとき、藤井・仲田という経済学者がこんなことやっていたよね」と、いろいろな人の記憶の中に少しは残るかもしれません。それを積み重ねていけば、次に何か危機が起きたときにも経済学者が貢献する部分が増やせるのではないかと思っているんです。
 私たちのプロジェクトが出すアウトプットが、実際にどれくらい現実に役に立つ知見を提供できているかはわからないし、もしかしたら今後は今までほど役に立てないかもしれません。ただ、最善を尽くして社会のためにできることをやり続けるというスタンスを私たちが貫くことで、そこから新しい経済学の未来が拓けて、経済学者が活躍できる場が広がっていけばいいなと願っています。

■おわりに

新型コロナ危機に経済学で挑む』では、仲田泰祐先生、藤井大輔先生へのインタビューを通じて、お二人がこの挑戦を始めたきっかけから、プロジェクトの中身、この活動への想いなどを詳細に記載しています(Chapter 2「政策と経済学をつなぎ、コロナ危機に挑む」)。

仲田・藤井先生の記事以外にも、経済学者たちによる現状把握や今後の展望を描くうえで参考になる分析・議論が一冊に詰まっています。ぜひ本増刊号にご注目下さい!

増刊号:目次

以下のnoteで本誌全体の情報を提供しています!

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