見出し画像

姫路城VS名古屋城:投資視点で見る城郭の価値評価

不動産投資というと、一般的にはビルやマンション、住宅を思い浮かべるかもしれません。

ただ、今回は少し変わったテーマで考えてみます。

もし、姫路城と名古屋城が売りに出た場合、あなたならどちらを購入するでしょうか?

本記事では、それぞれの城の価値を異なるアプローチの視点から評価してみます。


2つのお城の概要

まずは2つの有名なお城について簡単に概要を説明します。

両方とも、それぞれ独自の歴史と特色を持ち、多くの人々に親しまれている日本の代表的な城郭です。

姫路城

姫路城公式サイトより転載

姫路城は兵庫県姫路市に位置する日本で最も保存状態が良いとされる歴史的な城郭です。

その白い美しい外観から「白鷺城(しらさぎじょう)」とも称され、多くの戦乱を経てもその姿を今に伝えています。

姫路城は1333年に最初の砦として建設され、その後数回にわたる拡張を経て現在の形になりました。

1993年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。

姫路城は年間約290万人の観光客が訪れます。


名古屋城

名古屋城公式ウェブサイトより転載

名古屋城は愛知県名古屋市に位置し、1612年に徳川家康によって築城された歴史ある城です。

特に有名なのは、金の鯱(しゃちほこ)が飾られた天守閣で、名古屋の象徴として広く認識されています。

名古屋城は、第二次世界大戦中の空襲で焼失しましたが、1959年に復元され、現在では多くの観光客に愛される歴史的建造物となっています。

名古屋城には年間約190万人の観光客が訪れます。


評価アプローチについて

次に評価アプローチについて説明します。

今回は、不動産や事業の価値を算定する一般的な方法として、以下の3つのアプローチによる評価を行います。

各アプローチは特定の前提条件を設けるため、理論上、絶対的に「正しい価値」というものは存在しません。

実際には、これらの方法の利点と限界を理解し、それぞれの手法を上手く組み合わせての分析が、より信頼性の高い評価につながります。


1.インカムアプローチ

  • インカムアプローチは、投資対象が将来生み出すであろう収益を現在価値に割り引いて評価します。そのため、収益性が高い物件ほど価値が上がります。

2.コストアプローチ

  • 物件の価値を、同じ機能を持つ新しい物件を建設するのに必要な投資額や維持コストなどで評価します。この方法は、物件が損傷した場合の保険評価などにも使われます。

3.マーケットアプローチ

  • 類似の物件が市場でどのように取引されているかを参照し、その情報をもとに物件の価値を評定します。市場動向や比較物件の価格が重要な判断材料となります。

「ケーススタディ企業価値評価」より転載

インカムアプローチによる評価

姫路城と名古屋城をインカムアプローチで評価する場合、収益性と将来の収益ポテンシャルに注目することになります。

ここでのポイントは、それぞれの城がどのように利用され、どれくらいの収入を生み出すか、またその収入の持続性にあります。


姫路城の評価

  • UNESCOの世界遺産に登録されており、その歴史的価値と美しさで国内外から多くの観光客を引き寄せます。

  • 保存状態が良く、観光地としての魅力が高いため、定期的な収入が期待できます。

  • 姫路市としても主要な観光資源であり、今後も観光促進やイベント開催が積極的に行われる可能性が高いです。

  • 年間観光客数: 約290万人、1人あたりの平均支出: 約3,000円
    年間収入推定: 約290万人 × 約3,000円 = 約9億円


名古屋城の評価

  • 名古屋市の中心部に位置し、アクセスが良好です。

  • 金の鯱鉾が有名で、観光客の目を引く要素になっています。

  • 名古屋城は現在、天守閣の木造復元プロジェクトが進行中で、完成後はさらに多くの観光客を惹きつけることが期待されます。

  • 年間観光客数: 約190万人、1人あたりの平均支出: 3,000円
    年間収入推定: 190万人 × 3,000円 = 約6億円


インカムアプローチに基づく評価

  • 姫路城は世界遺産としてのブランドがあり、長期的に安定した収益が見込めます

  • 一方で、名古屋城は都市部に位置しアクセスの便利さや現在進行中のプロジェクトにより、将来的な収益増加が期待できます。

収益物件として考えるのであれば、私は姫路城を選択します。

理由は、世界遺産としての地位と保存状態の良さから、姫路城の方が長期的な安定収益が見込みやすいと考えるからです。


コストアプローチでの評価

コストアプローチで姫路城と名古屋城を評価する場合、物件の再現コスト、つまり同じ価値を持つ新しい物件を建設するために必要な費用を考慮します。

また、歴史的な建造物の評価においては、復元にかかるコストに加えて維持費も重要な視点でしょう。


姫路城の評価

  • 世界遺産として認定されており、その保存には国や地方自治体からの支援が期待できます。

  • ただし、保存状態を維持するためのコストも高くなることが予想されます。

  • 白い外観と複雑な屋根構造を持つ大規模な城で、復元や維持には高度な技術と多額の資金が必要です。


名古屋城の評価

  • 天守閣の木造復元プロジェクトが進行中であり、このプロジェクトは大きな金額が投じられています。

  • 市の中心部に位置するため、周辺のインフラ整備やアクセス向上に関連するコストも考慮する必要があります。


コストアプローチに基づく評価

  • 姫路城の再現コストは、その規模と複雑性から非常に高くなるでしょう。

  • 一方で、名古屋城も現在の復元作業には相当な投資がかかっています。また都市部に位置し、維持管理に関する追加コストも発生するでしょう。

どちらの城も再現には莫大な金額が必要なのは、間違いありません。

そのため「自宅として購入する」と仮定するならば、より維持が容易な方を選ぶのが合理的でしょう。

ただし、両城ともに維持・管理には国や行政の支援があると考えられます。

よって、純粋に「コストだけで考える」というのは難しい選択かもしれません。


マーケットアプローチでの評価

マーケットアプローチで姫路城と名古屋城を評価する際には、類似の物件の市場価格や取引事例を比較して価値を推定します。

ただし、日本の城の多くは世界遺産および重要文化財であり、実際に売買される事例はないでしょう。

直接的な比較が難しい場合、観光地としての人気度やアクセスの利便性などによる市場での魅力を考慮して評価するのが一般的です。


姫路城

  • 世界遺産としての国際的な認知度が非常に高く、毎年多くの国内外の観光客を惹きつけます。

  • その保存状態の良さと歴史的価値が高く評価され、観光地としてのマーケットバリューが高いです。


名古屋城

  • 名古屋市の中心部に位置し、アクセスが非常に良いことから、市場でのプレゼンスが強いです。

  • 近代的な都市の中心にあり、観光以外のイベントや催事にも利用されることが多く、多目的な活用が可能です。


マーケットアプローチに基づく評価

  • 姫路城は歴史的価値と国際的な認知度により、観光市場において非常に高い価値を持つと考えます。

  • 一方、名古屋城は都市の中心に位置することから、観光客だけでなく地元の市民やビジネスイベントにも利用される機会が多いです。

結局のところ、どちらの城もそれぞれ異なる魅力と市場での価値を持っていると思います。

姫路城は伝統的な観光地としての価値が非常に高く、名古屋城は多目的な活用が可能であり、市場ニーズに応じた様々な収益機会を持っていることが考慮されます。

このため、選択は投資目的や市場ニーズ、将来の活用計画により異なるでしょう。

仮に「転売目的」で購入するのであれば、地価なども考慮すれば大都市圏にある名古屋城のほうが価値が高いかもしれません。


まとめ

ここまで、2つの有名な日本の城についての評価を一般的なアプローチ方法で比較してみました。

結論として、どちらを購入するかは投資の目的によって最適な選択が異なるでしょう。

例えば、収益物件として考えるならば、観光収入の安定性と歴史的価値を重視して、私なら姫路城を選択します。

一方、不動産としての市場価値を考えるのであれば、名古屋城は大都市の中心部に位置しており、多用途な活用の可能性があります。

自宅として購入するのであれば、どちらの城も維持管理費については国や行政の援助が可能かもしれません。

いずれにしても両方の城は、それぞれに魅力的で、投資の視点によって異なる価値を見出せるでしょう。

このように、不動産投資は多様な形があり、歴史的建造物で考えてみると、新たな視点から資産評価を考える機会を得られるのではないでしょうか。

姫路城と名古屋城、あなたならどちらを選びますか?

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
よろしければフォロー頂けると、大変嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?