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#050 日本の国力は何故低下しているのか。問題は何か。税金が起因しているのか。

ここしばらく、日本は停滞しているだの後退しているだの韓国に成長を抜かれてしまっただのと色々と言われていますが、私たちは何をどう捉えるべきなのか。今回は経営や経理面から脱線すると思われるかもしれません。最近はペースが遅くようやくブログ50回目です。そこでちょっと趣向が変わり経済路線に寄ってると思われるかもしれません。ですが私たちの身近に起きている問題であり経営や生活と繋がっていると捉えてもらえると良いかと思っています(経済って大体そういうスタンスですが(汗))。

勝手に50回記念、好き放題言いたい放題(ただのダラダラ長文覚悟して)の回、です(笑)。今回は私見が強いかもしれません。軽く流して読んでもらえるとありがたいです(その割にいつもより相当長いですが)。


日本は平成時代は成長が止まっていた、という話を聞いたりします。また、令和時代においては、経済成長率が先進国の中で最低だとか不発な話ばかりが表立っています。

実際、日本はそんなに悪い国になってしまったのでしょうか。


経済が悪いと人は大体国や政府が悪いと言いがちです。政策の打ち方が悪いという所は実際にあるのかもしれませんが、国会議員は私たちが選んだ代表者です。その人たちに国の政策を依頼している訳ですから私たちにも何かしら責任があるように思います。そうでなければ、自分で出ればいいじゃん、と言われてしまう様なところもあるかもしれません。

あ、本題はそういうことを言いたい訳ではありません。


また、財務省のせいにするのも簡単ですが、私たちはきちんと財務省のどこが悪いか説明できるのでしょうか。私自身不勉強なもので大それた事を言える様な人間ではありません。

しかし、それぞれの良い面悪い面の分別をきちんと見分けた上で批判するところはする、という事をしないといけない気がします。当然この辺になるとその人その人の解釈によって判断が全く変わると思いますが、それは国民意識としてきちんと向き合っている事が大切なのでそれで良いと思います。

批判をするだけでなく、何をする事が良いのかを考えられること。これが一番大切な事の様な気がします。


前置きが長くなってしまいましたが、本当に問題なのは、時代が21世紀型の環境にシフトされている事に気づかず、まだ20世紀型雇用や20世紀型経営に固執し、それを後押ししている国家・政府の対策にある様な気がします。

他国は過去の経営体系を守る事を主眼に置かず、栄枯盛衰を厭わない経営シフト(業種的に)を行っています。新興国が新しい業種や経営スタイルに着手している事が目立つため先進国が目立ちませんが、先進国でも大体の国は失業率や業態変換を証拠にどんどんシフトしていっています。当然日本もできていない訳ではありませんが、他国に比べて大きく遅れを取っているということは誰もが感じている事でしょう。

しかし、それがもし我が身に起きるとしたら。あなたはそれを良しとするでしょうか。おそらく自分の生活が万が一奪われるとしたら、それは一旦ストップ、となるのではないでしょうか。

日本の遅れている原因はそこに眠っているのだと思います。私はまず財務省に問うよりむしろ国民意識を啓発できない国の対策、そして国民の危機感不足にも問題がある様に思います(決して危機を煽る事が良い訳ではありませんが)。
私は勝手に2030年までに経営スタイルや他の全てのものが21世紀型スタイルに着地する、と思っています。だとすれば、もう10年ありません。その中で日本がどう変わっていくか。もっと言えば私たち自身がどう変わらなければならないか。そこを問われているのが、現在の国家成長率に現れているのだ、と思います。


一応、このブログは経理ブログですので税制面にも触れておきましょう。
21世紀に入り小泉政権下で行われた構造改革として雇用形態(非正規雇用)の問題がある、といった批判が今さら出たりしています。恐らくその頃は雇用社員であること、派遣である事等の境界線が当時は法改正まであまり重要視していなかったのかもしれません。

しかし、派遣業法(労働者派遣法)の整備は度々行われています。国力低下の問題はこの部分にあるのでしょうか?

ここに着目している専門家の方もいらっしゃいますが、私はあくまでこれは一部に過ぎないと思っています。
識者によっては、消費税アップと法人税減税が諸悪の根源と言われる方もいらっしゃいます。私も10%に上がってすぐに減税すると言うのは当事者の人たちは言いづらいでしょうが、現在の経済状態においては消費税減税対策を打つ事に賛成派ではあります。それは国内の状況に応じて変化させられるという布石を打てるからです。財務省を始めとした政治家・政府は一度下げたら上げられないとビビって臨機応変な対策を打てないのではないでしょうか。

また、識者のお話の反論になるかもしれませんが、消費税増税の内容に諸悪の根源がある、と言われると何とも言えないところです。ここに当たる焦点は、先の話の雇用である人件費。人件費はほとんどの会社で結構なウェートを占めると思います。消費税を考える上で雇用社員であれば消費税は高くなります。派遣採用にした際は同じ人件費なのに消費税は安く済みます。何故なら会社にとって派遣採用は外注費だからです。消費税支払をするため、いわゆる仕入税額に該当します。雇用社員なら該当しません。しかも、社会保険料も派遣会社持ちですからその分の会社負担分はコストダウンできます。これが、所得が上がらない要因だと言われます。確かにこれは頷ける要因です。実際カラクリとしてそういう所はあるのですから。

しかし、派遣業法としては、一人の人を継続雇用する事に対して制限を設けています。1年、継続できて3年が限度です(一応、専門26業種はすでに廃止されています)。本来、長く勤めてもらえるスキルのある人なら会社としても単年度や3年といった最大年数でなくても良いはずです。正社員登用していけば良いのですから。


私はワークスタイルとして、今後これをヒントとして雇用契約がどんどん変わっていくような気がしています。つまり、これまでの雇用契約からいわゆる請負契約に近い形態の雇用契約が増え(内容が同じにはならないでしょうが)、消費税法にうまく乗っかっていこうとする方法を導き出す会社が現れると思います。

これは、今の仕事の取り組み方が大きく変わり(取り組んでいるところはすでに切り替わっていると思いますが。それを私は21世紀型と呼んでいます)、ライフワークバランスをうまく取っている人も徐々に増えてきている事がこれを証明しているのではないでしょうか。


消費税対策としては、こういったところに対策を打っていき、従業員との連携というよりは零細企業またはフリーランスとの連携、雇用に縛られない業務運営方法の構築をしていく様に思います。

また、法人税の減税化(昔が高かった事との比較として)に焦点を充て問題化されている識者の方もいらっしゃいますが、この点については個人的には訴えが弱く感じています。

それは、これだけ国力が弱くなった日本において内需拡大を狙うには、現実的でない事が挙げられます。それは、人口減少時代に突入して20年近く経っているにも関わらず当時の対策から何ら変わっていない問題。人口の自然増対策を打つ事もできず、移民対策も満足に打てず、現状では人口をキープする事は全く現実的ではありません。人口減少国家のパイオニアとしての国家政策を打ち出さねばならないはずなのに、それも打ち出していません(むしろそこには触れた事がないと思います)。

話を法人税に戻しましょう。何故法人税が低くなったのは他国に合わせ、他国の法人からも徴収しやすくする、という判断があるためでしょう。これ自体は何ら悪いことではないと私は思います。むしろ高い税率にすることで海外へ国内法人が移転される話を聞く事の方が一大事だと思います。この点を無視する事はできないと思います。

おそらく税収計画の中で直間比率(直接税※1と間接税※2のバランス)の見直しを国家政策としてスタートした消費税は、これが当時の政府が成功していると捉えているのかどうかは私には想像がつきません。ただ、消費税導入によって法人税減税をしても税収をキープする事ができている、ということについてはタイミング的にうまくハマったのかもしれません。

タイトルに合わせて税金に触れたりしていますが、今回の私の中での焦点は日本凋落についての危機感です。国力の減退として表現していますが、単純に人口減少だけで捉えるのは問題です。

他国の一人当たりGDPと日本の一人当たりGDPを比較するとかなりの年数苦戦してるように見えます。これは、一朝一夕で差が開いた訳ではありません。経済学者でもある野口悠紀雄氏は国家間での一人当たりGDPの伸び率を単純に当てはめるのは的外れと仰っており、それは確かに腑に落ちるとは思いましたが、それにしても日本の政策に何かしらの問題がある事を懸念せざるのは仕方がないような気がします。


ちなみに、一人当たり名目GDPを見てみましょう。

(※グローバルノート - 国際統計・国別統計専門サイトより)

1990年 → 2000年 → 2010年 → 2020年の推移 IMF統計(US$換算)
注)*はIMF推定値

日本 25896 → 39173 → 45136 → 40089*

スウェーデン 30254 → 29589 → 52659 → 52129

ノルウェー 28187 → 38048 → 87356 → 67326

フィンランド 28490 → 24380 → 46647 → 48786

デンマーク 26921 → 30799 → 58177 → 61154*

シンガポール 12763 → 23853 → 58177 → 59795

アメリカ 23848 → 36313 → 48586 → 63358

イギリス 20855 → 28213 → 39580 → 40394*

フランス 22432 → 23149 → 42100 → 40299

(ここまで何年も追いかけるデータはあまり他の方はしていないのではないでしょうか。それは、伝えたいことに矛盾が出がちだからです。実際私も当初2000年と2020年だけにしようと思っていましたが、自分都合のデータ操作はあまりよろしくないと思い少し掘り下げてみました。その分意図するものとは変わってしまいましたが(笑))

各国様々ではありますが、日本の2000年以降の低成長ぶりは結構厳しいですね(但し、この推移を見ると平成の30年間が停滞していたとは言えなさそうですね)。

韓国が元々外需産業で国家を支え(とはいえ数十年単位で苦戦していますが)、エンタメ等が外需戦略に成功している面を鑑みると日本も参考にすべき点はある様な気がします。

日本は輸出入が多い印象を国やマスコミは伝えているように思いますが、それは世界的に輸出入額が多いところを指しているのだと思います。実際には内需国家であり、貿易依存度としては24.75%(2020年度)207ヶ国中184位に位置しています。外需に対しての取り扱いが低いという事は国内の経済状況が良くなければ日本自体が良くなる見込みは期待できないという事です。外需依存が高ければ、海外の状況に振り回されるというデメリットがあるため、安定的な推移を見込める内需の方が良いという見方もありますが、経済を動かせない限りは成長の鈍化は免れないでしょう。



結びとして、国内経済の大きな話ばかりしていましたが、ここから個人レベルにまで落として考えてみると社長には経営体質の古さや指摘をしていましたが、同様に労働の考え方が旧態依然として労働基準法に守られる事を当たり前としている時代はこれからは一線引かなければ、社員としての労働をする事すらできない時代が来る。もっと言えば大げさですが、一億総経営者時代とでも言えるような自分で自分のノウハウを提案、提供する時代に突入してきていると考えても良いのかもしれません。

全ての人に当てはまる訳ではありませんが、間違いなく今後10年以内の間に多くの人たちが自分を売り込めることができないといけない時がやってきたのだと思います。

来たる未来に自分は何ができ、何をプレゼンスできるのか今から身につけておく事が重要だと思います。

それでは。




※1:直接税は、所得税や法人税などの直接納税者が支払うものを言います。

※2:間接税は、消費税やたばこ税、印紙税、登録免許税、入湯税といった売価に上乗せして徴収する税金を言います。

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