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「大学・公共図書館の方へ」ページの歩き方

日々、新刊や近刊、書店フェアなどの情報を発信している慶應義塾大学出版会のホームぺージ。

「できたての本」や「これから出る本」などのページのほか、実は図書館司書や書店員の方を対象とした「大学・公共図書館の方へ」というページがあることをご存じでしょうか?

トップページにて。右上「大学・公共図書館の方へ」ボタンをクリックすると、↓
「大学・公共図書館の方へ」ページにアクセスできます。

大学・公共図書館の方へ向けてWEB上で情報発信をするために設けられたのがこの図書館ページです。

今回は、主に図書館への営業を行っている担当者に当ページの狙いや使い方などについてインタビューを行いました。図書館司書・書店員の方はぜひご覧ください!

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Q1, 「大学・公共図書館の方へ」という図書館ページを設けていますが、その狙いを教えてください。

去年(2021年10月下旬)に図書館ページを立ち上げました。コロナの影響でオンライン書店の売り上げが好調であった一方で、リアル書店の実売が厳しく、図書館においては軒並み閉館となってしまい、新刊を出してもなかなか図書館へは情報がいきわたらないという状況にありました。そこで情報をオンラインで素早く拡散し、いつでも利活用できるようにしたかったというのが本ページ立ち上げの狙いです。

Q2, このサイトはどのような方に、どのように利用いただきたいでしょうか?

現在のところ、大学図書館と公共図書館を主なターゲットとしています。通常、各図書館とは販売会社や書店外商担当、電子書籍担当を通じたいわゆる、BtoBによる取組みに留まっていました。そもそも、コロナ以前から、出版社からの情報が心太式に流れてはいないか、伝えきれていないのでは、と危惧していました。本ページの企画段階で、誰がどのように蔵書のための選書をしているのかをアンケートをとったのですが、選書のための委員会・会議の存在や司書の方々の関わりが重要で、エンドユーザーである図書館利用者のニーズを繋ぐためのリソースをいかに提供すべきかを強く感じました。

サイト開設後に耳にした、司書の方々のお声としては、エクセルベースのリストによる検索(NDC・件名・著者略歴・おすすめ度など)を行い、選書採否の材料として活用しているというものがありました。それから、機関向けの電子書籍の搭載予定を把握、確認されているケースも少なくないようです。

定期的な情報更新をしている人文・社会科学系各「蔵書ランキング」については、大学・公共図書館の並びの違いや配架されるまでの速度測定、電子書籍としての購入判断材料にされているようです。

(参考)「蔵書ランキング」の例

また、「テーマ別選書」では、時期的な要素(「5月病」や「ジェンダー」、「教科書情報」など)を取り上げた15~20点ほどを紹介しているリストに特に関心をいただいているようで、1点1点見せるだけでなくテーマ別に見せているという点が好評でした。

「テーマ別選書」の例

「書評掲載」リストでは、資料・著者・媒体別に抽出、保存し選書利用をしている方もおり、ページ立上げ企画時の狙いが通じていると感じています。

Q3, 図書館営業においても図書館ページを利用されているようですね。

図書館営業としては、TRC(図書館流通センター)、販売会社、書店には、新刊が出る前にご紹介をしていますが、TRCではその後、週刊新刊案内として1週間内に配本された新刊のラインナップがカタログになっています。従来は、見計らいを通じ現物を見て選書をしていただいていました。現在は、さまざまな事情からカタログによる販売となっていますが、それでは、本を見過ごされてしまうケースがあるので、新刊を刊行してから2・3ヶ月経ったものや書評掲載、話題の書をお薦めしたり、再案内をしていますが、常時提供を行っているツールとしてご利用いただけるよう、図書館ページをご紹介しています。

現在は、主に公共図書館を訪ね、その際に図書館ページの案内や更新内容について話をさせていだいています。また、地方の公共図書館に向けては、メールやFAXでご案内をしています。新刊が出てから数か月たったものについてはチラシや欠本調査(星取表)なども配布しています。その効果も徐々にではありますが、蔵書が増えてきているので、さらにそのフィールドを拡げられたらと、自身のモチベーションにもしています。

Q4, 図書館員さんから「こういう情報が欲しい」というリクエストが有ればご対応いただけるのでしょうか?

現在、利用されている方からの要望として「本の中身が見たい」という声を多くいただいております。この本を買うか買わないかの最後の判断としてはやはりこの本がどういう本かということになるようでして、こちらにつきましては現在弊社のECサイトは将来的にサイトリニューアルを検討しております。その際にはサイト内の本の詳細ページにおいて本の目次や中身の一部をPDF等で見ることのような機能についても想定していきたいと考えています。

また、「こういう情報が欲しい」というリクエストにつきましても前向きに検討いたしますので、お気軽にリクエストいただければと思います。

最後に、出版不況、そしコロナ禍にあって、書店の数がますます減少している一方で、図書館の館数は図書購入の予算減少にありながらも増加しています。両者の数は近づきつつあります。プライベートでは、公共図書館のヘビーユーザーでもあるのですが、これからの図書館の在り方を見据えて、その存在・利用価値(とりわけリカレント教育における役立ち)を充分に伝えきれていないジレンマを払拭できるよう、出版業界に携わる一人として、尽力したいと思っております。

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ぜひ、「大学・公共図書館の方へ」ページを図書館での選書業務やテーマ展示の企画にお役立てください!

#慶應義塾大学出版会 #読書 #書籍 #図書館 #選書 #司書

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