営業会社で社内にシステム導入するまでのプロダクトマネージャーの仕事 ~前編~

こんにちは。桂馬です。

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本日はまだ私が駆け出しのプロダクトマネージャーだったころに任された最初の社内プロダクトが現在の社内全員が利用するまでの経緯を振り返りたいと思う。

担当したときはほとんど使われていないただの負債

私が担当したプロダクトは簡単に言えば社内の営業部隊の数値管理を効率化させる営業支援ツールだ。

前任が企画し、リリースから1年半経っていたがその時点でWAUは10人ほど、、、(営業部門は約120人)インフラコストや人件費なども踏まえると毎月赤字が積みあがっていくまさに負の遺産だった(よく1年半も放置されていたものである)

まずは社内プロモーションから

なぜこのような状況になっているのかを分析したところ、そもそも1年半も経っているのにこのプロダクト自体が社内で知られていないということが判明した。

営業文化の強い弊社では効率化などは脚光を浴びないうえに、開発部門もおとなしい人が多く、積極的に「売り込み」に行く人もいない。

結果的に「リリースして1年半も経ちながら、プロダクトがほとんど社内に知られていない」というスタートラインにも立っていないところからの始まりだった。

そこでまず私が初めに行ったのは徹底的な社内プロモーションである。

まずは、現在の機能で使えそうな機能をもとにしたユーザーストーリーを作成し、それをもとに営業部門に「売り込み」をかけに行った。事例としては下記のようなものがある。

・用事もないのに部会で共有時間をもらう

・強引に特定部門に期限付きでテスト導入させる

・やる気のある若手をおだてて使わせ、口コミで広げる

このように社内プロダクトにもかかわらず、プロダクトマネージャー自ら「売り込み」をかけるという活動にリソースを大きく割くことから始まった。

幸いにもプロダクトの機能自体はよかったため、しっかり説明すれば使ってくれる人もいた。

アーリーアダプターに仕掛ける

プロダクトライフサイクルという言葉はご存知だろうか。

簡単に言えば、プロダクトが生まれてから消えるまでの寿命をフェーズわけをして示したプロセスである

キャズム

この図からもわかるように、市場の大多数を占めるアーリーマジョリティ・レイトマジョリティに採用されるようになればそのプロダクトは成功していると言われるが、多くのプロダクトはその手前のアーリーアダプターまでしか訴求できず失敗していくのである。

このプロダクトもまさにその状態であった。

そこで私が打った次なる一手はアーリーアダプターとなり得る社員の発掘と育成である。

まず初めに新機能リリースの際、その画面にGoogleアナリティクスを埋め込んだ。リリース直後から利用しているユーザー=アーリーアダプターと定義し、選定するためだ(若干、安易な発想な気もするが、、、)

アナリティクスのデータに基づき、「リリース直後から使うなんて君はアーリーアダプターの素質あるね!」という少々強引な理屈でコミュニケーションを取りに行き、その社員をとことんプロダクトを使って業務サポートしていったのである。

プロダクトの全機能を知る私が案件にべた張りしてサポートをしたことで、その社員はプロダクトの価値に気付くようになる。

あとはその社員がインフルエンサーとなり、部門に事例共有をしていく。

これを全部門1人ずつ実践していくことで半年でWAUは80人にまで上昇した。


ここまでを文字にすると簡易的に進めてきたように見えるが、当時はまだまだ駆け出しだったため、実際はかなり泥臭く苦い経験をした。

ベテラン社員からは「こんなプロダクト使わねえよ!」と一蹴されたり、新機能のリリースの説明会ではほとんどの社員が私の話も聞かず他の仕事をしていたり、、苦い経験は挙げるときりがない。

しかし、この経験で身に着けたのは「プロダクトにかけている部分を補うのもプロダクトマネージャーの仕事」であるという感覚である。

このプロダクトにはまず「認知」がかけていたため、社内プロモーションを自ら行った。

「成功事例」が足らないと思えば、自ら案件に張り付いて事例を創出させ、アーリーアダプターとして育成した社員に展開させた。

誰よりもそのプロダクトの成功のためにできることを何でもやるのがプロダクトマネージャーの本質なのではないであろうか。

次回はようやく日の目を浴びたプロダクトをどのように発展させていったのか、またプロダクトを取り巻く状況が変化していく中でプロダクトマネージャーとしてどのようにどのように立ち振る舞うかに触れたいと思う


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