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会社の上司や役員をリーダーシップとマネジメントの違いを思い出しながら改めて観察してみる

会社組織にいれば誰もがピラミッド型のヒエラルキーかタテヨコのクロスセルの組織の中で働くことになる。最近流行りのティール組織は古典的なザ・日本企業では遠い未来に感じる。

経営トップの方を除きぼくらには上司がいる(経営トップも厳密にいえば株主が上司になるが)。普段ぼくらが接する幹部や役員には実にいろんなタイプがいるはずだ。ぼくたちもそのヒエラルキーの中で誰かしらの上司だったり、先輩だったり、後輩だったりする。

そんなぼくらが改めてリーダシップとマネジメントの違いがあるということを意識すると結構視野が広がって自分の働き方だけでなく、組織としても今より良くなるかも、という話です。

 
役員の行動は思っている以上に社員にバレている

「うちの会社マネジメントがイケてないよね」、「もっとあの人リーダーシップを発揮してほしいよな」、「あのA役員、仕事は現場にまる投げするばっかのくせに社長のYesマンで毎回出張同行してゴルフしているらしい」 

役員の皆さんには残念なお知らせですが、みなさんが思っている以上にあなたの社員(部下に限らず)たちは情報ネットワークをもっているので日々の皆さんの行動や言動はかなりシェアされていると思った方がいい。

「誰と会ってどこに行って何をしているか、社長と誰が昨日飲んでいてどんなメンバーだったか、社長に怒られて凹んでいるらしい、毎回社長にワイン送っているらしい、社長の家で役員と家族読んで花火大会みたらしい、X市に女を住まわせているらしい、社長から嫌われそうになって泣いて許しをもらおうとしたらしい、C国に出張に行くとき必要のない寄り道をいつもしているのは女がいるから、Z役員がクラブのママにご注進で本気で口説いて断られたらしい、D役員がE役員にこんなメールしている(メール添付付き)、部長Aが部下Fにこんなことを言ったらしい」

—— 〻 ——

まあだいたい上記のようなことはみんな知っている。これは特別なことではなくてその人が嫌われているわけではないし、陥れるために誰かが噂を流しているわけでもなく、あくまで普通の会話として上記のような話は回ってくるもの。ある意味そういったことを気にしない人が偉くなっている気がする。

そういった前提に立つと、自分がどういったマネージャー、組織を率いるリーダーや取締役なのか、あなたがどういったタイプか、という点についても実に多くの情報が社員の間で取り交わされているので、取り繕うことは不可能ということを示している。部下たちには見えていないところの行いや、発言もしっかりとみられていることを意識する必要がある。

リーダーシップとマネジメントの違いを振り返ってみる

久しぶりにさっき「コッターのリーダーシップ論」を読んでいた。コッターはハーバードの名誉教授(John Paul Kotter)で、著書に「リーダーシップ論」「企業変革論(Leading Change)」「実行する組織」「Accelerate」「カモメになったペンギン」「幸之助論(松下幸之助について書いた本)」など。その内容からリーダーシップとマネジメントの違いを抜粋して改めて振り返ってみたい。

我々社員は普段から上司や経営者、取締役の能力や性格をひとまとめにして、A役員はこうだとか、B役員は頭がいいとか、C役員はゴマすり野郎だとか、D役員は飲み要員だとか言っている。

嫌いな役員はいるが、憎いかというとそこまでのことはなく、人間的な人格は尊重しなるべく良いところは見るようにしている。誰もが親がいて家族がいて幸せになりたいと願っているのだから生まれながらの悪い人はいないだろうし、本人のパフォーマンスや問題は環境や相性や状況によって変わるという性善説にたってぼくは生きているので本当にいやな人は脳内で抹殺してにこにこ接するようにしている。「殺してやる」と思えるほど憎くなる体験をしていないだけなのかもしれないが。

—— 〻 ——

一言でいうと、マネジメントの本質とは、複雑な環境にうまく対処し、既存のシステムの運営を続ける上で必要なことをやっていく能力といえる。一方で、リーダーシップの本質とは組織をより良くするための変革を成し遂げることにある。

一見すると維持していくことと改革していくことという2つの矛盾した内容だが、これをうまくバランスとって共存していくことが理想的なマネジメントであるとコッターはリーダーシップ論で説いている。

リーダーシップとマネジメントを比較してみる

具体的にどう違うかというと、かなり意訳になってしまうがざっくり以下のような違いがある。



図4

例えば左側のマネジメントでは計画を作って予算を遂行していく能力が必要である一方、右側のリーダーシップでは根本的な方向性の策定や戦略などを描いて推進していく力が必要になる。イメージとしてはマネジメントの方は経営管理的な要素がメインで、リーダーシップの方は経営企画的な要素が多いといえば分かりやすい。

人や組織に関して言えば、マネジメントの方は組織を設計(主にヒエラルキー型の三角形のイメージ)して人を配置して指示、管理していくイメージだが、リーダーシップの方は人の配列を考えるイメージ。配置はポストに人をおいて管理させることに対して配列は各組織の上下の人間関係にまで目を配り、組織としてファンクションするかということを考えることに主眼がある。

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一番下の最後のワーキングスタイルにあたる部分でいくと、マネジメントの方は「コントロールする」という意識があって、問題解決型、何か発生してそれを解決していく仕事に合う。今引いている風邪や病気に手術などの治療によって良くしようということ。リーダーシップの方は「コントロールではなく任せる型」。全部自分ではできないのだから、人を信じて任せるけど、任せた人が前向きに良いアウトプットをしてくれるようにモチベーションを上げていくようなやり方。

これだけを見ているとリーダーシップとマネジメントは対極的な要素だが、誰もが両方の性質をもっていて、どっちがいいかというのは問題ではない。みんな両方もっていて強弱が違ったりするだけだ。

リーダーシップ力とマネジメント力のバランスと4象限

それではどんなバランスが考えられるか。簡単に図式化してみた。

図3

 例えばマネジメント力の方が強ければオーバーコントロール状態となり、独裁政治、強権的な経営になっていく。

部下は言われることをやることが主眼にあり、恐怖政治によるコントロールっぽくなる。ミスをしないことがベストな選択肢となり、ある職種には向くが、クリエイティブ度合いが強い組織にはあまり向かなかったり、積極的なチャレンジは生まれにくい。

リーダーシップの方が強すぎるということになれば自由な人たちの集まりになり収集がつかなくなり、ゴールに向かって進むような組織とならない場合もある(ゴールセットをしない会社であれば別)。やりたいことをドンドンやるような面は良いが、みんな勝手にやっていくイメージですので危険もはらんでいる。

例えばベンチャーなどカリスマ的なリーダーがいる場合はその人に賛同する人たちがあつまって全員がリーダーシップを発揮しながら動いていくイメージが当てはまる。ただ、そういった組織も規模が大きくなるほどそういったことはやりづらくなり、企業の成長ステージによってリーダーシップとマネジメントのバランスは変化してくる。

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どちらにも当てはまらず、図でいったら左下のところは最悪。マネジメントもリーダーシップも低い状態では組織は死んでいく。

末端の社員たちはマネジメントもされていないし、誰もリーダーシップも発揮しない環境にずっといることになり、ドンドンやりたい人は離反して会社を退職していき、ぶら下がり社員はさぼりながら寄生するこになる。

もっと危険性なのはお互い不干渉になるということで、これは結構やっかいな問題となる。一度こういった状態に陥ったときにはリーダーシップを発揮するように頼んでもやれなくなるし、強権的なマネジメントがくれば反発される。

みんながみんなバランスをとっていくのが良いのか

全員が右上のバランスをとっていくことが良いかと言えば、そうではないともいえる気がする。

例えばそれはどちらかに振り切っちゃってる場合。マネジメントしまくる人になるか、リーダーシップを発揮しまくって、どちらかに思いっきり傾斜してしまうというのは案外良い選択肢である場合もある。ただしどっちのタイプも大抵は嫌われることは間違いないので、そんなのヘッチャラっていう人以外は精神的に持たないだろう。

世にいう天才、カリスマ、成功した人などは必ずしもバランスが取れていない方が多いし、そういう人はどう思われているか気にしていなかったりする(気にしている暇もないというのが正しいかもしれないが)。

サラリーマンとしてやっていくのであればある程度バランスを考えてどちらかに傾きそうだったら自分で修正していくのが良いのだろう。

組織としてバランスをとっていくこともできる

ぼくは基本的に自分の内部でのバランスを気を付けて修正していく考えだが、一方で会議や人間関係に応じてどっちかにワザと振り切って演じることも多々ある。

場がマネジメント色が強ければリーダーシップの方の発言を増やし、場がリーダーシップ色が強ければ管理志向を強めてマネジメントの方を強めに出すようにして組織や会議体としてバランスがとれるように考えながら周りと接するようにする。これは1対1のコミュニケーションや相談を受けるときでも同じ。
 
これがどういうことかというと、このバランスは一人の中だけの問題ではなくチームや会社全体にも波及するということ。

「必ずしもバランスをとれた人ばかりではない」「個性がなくなる」というようなことを前提に考えると、「組織の関係性」でバランスをとっていくということを考えるとさらに深掘りできる。

こんな感じ。

図2

 
このように組織にいると各階層でそれぞれどっちの傾向が強い人がいるか異なる。それぞれがある程度バランスをとっていった方がよいが、組織全体でバランスをとっていくということまで考えて、組織を設計したり、経営者が人事異動とか配置すると前よりもうまくいくこともあるかもしれない。

—— 〻 ——

もちろん、これには「タイプが違ってもお互いを尊敬しあう」という組織の土壌は前提として必要。日本で働いていると「周りに合わせる」「違う意見を言ったらハブられる」という残念な文化を感じることも多く、海外で住んでいたこともあるぼくとしては残念に感じるときも多い。

こういった昭和的な価値観は今の若い子たちには薄れているはずなので徐々に変わってくるんだと思うが、そういった尊敬しあう土壌があったうえで、お互いの個性をみとめつつ、全員がある程度バランスをとっていくというのが良いのではないかとぼくとしては考える。

長くなってしまったが、簡単にマネジメントとリーダーシップの違いについて今朝振り返ってみたことを備忘録として残す。

 部門長、幹部、役員、取締役、経営者の皆さんが自分のことを振り返ったり、誰かの部下である我々が上の方々を評価したり、話題にするときにこういった考え方はその人の人格と切り離して、ファンクションとして考えられるので有用な気がしている。

まとめると、

リーダーシップとマネジメントの能力は人によってどっちが色濃いかタイプが分かれるが、例外的なぶっ飛んでいる人を除いて基本的にはバランスをとっていった方がよさそう。

また、場によって意図的に使い分けることで議論をスムーズにしたりあえて議論を混乱させることもできるのでうまく使えると武器になる場合もある。

そして組織としてバランスさせていくことを考えれば組織を改善していくことにつながる可能性があるといったところ。


 
それでは今日はこの辺で失礼します。

keiky.



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