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Vol 4.★明日のキンシャサのサウンドトラック     コンゴ エレクトロニック ジャンク バンド (Congolese Electronic Junk Band)

★サバイバルはクリエイション!

 

“ あなた達が、汚い、貧しい、危ないと切り捨てていったもの達の生と死をかけたサバイバルは、私達をクリエイティブにしてくれる。雑草のように強い生命力で、今、華開く!”

 コンゴ民主共和国の首都、キンシャサのゲットーから生まれた音楽集団 "KOKOKO" 独創的でサイケデリックで、トランスを誘発するような新しい音楽スタイルのグループだ。彼らの楽器はすべて、タイプライター、空き缶、プラスチックボトルなど路上に捨ててある廃棄物を再利用し、自分たちのユニークなアイディアで作ったものだ。そのサウンドマシンから聞こえてくる革新的な音に、フランス人のプロデューサー、Débruit が参加し、伝統のリズムやアナログの音とエレクトロニックミュージックとが融合する。                                                                                           2016年 初シングル”Tokoliana”がリリースされ、そのビデオと共に大きな話題を呼び、2017年、ヨーロッパの大々的なツアーが行われた。

 私達は、ほとんどみんな、子供の頃からお互いをよく知っているNguakaの住民なんだ。そして、そこは、クリエイティビティーと苦しみが充満するリアルなゲットーだ。自分達は電子音楽が好きなのだが、楽器や機材などないし、それらを買えるお金もない。それで捨ててあるジャンク品の中から、いろいろ見つけ、工夫して楽器を作リ始めた。その楽器から出る音は、なかなかいい音でおもしろいと思い、12年前から、いろんなバンドで演奏するようになった。このような楽器や音楽、グループが生まれたのは、楽器を買う余裕がないため、必要にかられて作ったのだが、そのおかげで、オリジナルサウンドを作ることができた。そう、それで、

サバイバルは自分達にクリエイティブを与えてくれると言うことに気付いたんだ。

その後、2012年、 Staff Benda Bilili の映画や Jupiter & OkwessのDVDなどの作品を手がけている”La Belle Kinoise Production”のフランス人のRenaudとFlolant に出会い、一緒に仕事をしようと言うことになった。
2016年の7月に、 Renaud がフランス人のプロデューサー、Débruitと彼の作ったサウンドトラックをもってキンシャサにやってきて それで私たちは、Débruitと一緒にバンドを始めることに決めた。

私たちのインスピレーションの基本は民族の中にある。私達の先祖の伝統的な歌とリズムが私たちのDNAに入っている。D.R.Congoにはそれぞれが異なるメロディーやリズムを持つ450の部族がいるので、さまざまなリズムパターンからインスピレーションを受け取っている。例えば、モンゴ族の音楽のリズムパターンを
ベースラインに生かしたり、バテケ族のチャントを取り入れたりね。でも、それだけではなく、街の音、生活の音、人生の音、ガソリン売りの瓶の鳴らす音、靴磨きの音、、、そういった周りの日常的な街のサウンドからも受け取っている。
メンバーは大勢いて、私達はミュージシャンだけでなく、パフォーマーやアーティスト達も全部含めて ”KOKOKO”と言う集団なんだ。
”Tekno kintueri”または”Zague”とキンシャサの人々は呼ぶけれど、私達のサウンドを定義することは難しい。パンクであり、部族の深いグルーブであり、電子的なトランスであり、斬新な新しい音楽だ。
その自分達のサウンドで今のキンシャサの若者たちに火をつけて、前向きで刺激的な新しい音楽シーンに導いていけるような道を開きたい。
その為にも、時々、このNgwaka地区の近所にブロックパーティーを開催している。そこに地元のミュージシャン、アーティスト 達がやって来て、いろんなアイデアを出し合い、刺激しあい、即興を始め、踊っている人たちも子供たちも、みんなが参加する生き生きとしたライブそのものだ。ここは、政治情勢が悪化し、街が物騒になっても、みんな音楽をやめない。過酷な状況だからこそ、音楽が必要なんだ。音楽は生きる力なんだ。 そして、創造は私達を気分良くさせ、私達に可能性と夢を与えてくれる。このゲットーの真ん中でこんなことができることは素晴らしいと思うよ。
 キンシャサの街には、何百ものルンバロック(日本ではリンガラミュージックなどと呼ばれるコンゴのポップミュージッ)のバンドから部族の音楽、レゲエ、ラップ、ヒップホップ、DJ…  あらゆるスタイルの音楽と才能あるミュージシャンが溢れる程いて、毎日、どこかでリハーサルをやっている。夜は街中にあるクラブから流れるデジタルミュージック、どこかのライブの生音、いつも音楽がここには沢山ある。しかし、結局の所、資金がなく、プロデューサーやマネージャーもいなく、よいスタジオや機材もないので、コンサートやレコーディングもなかなか出来ずで、キンシャサの音楽シーンは厳しい状況に置かれている。それでも、最近は、ラップやアフロハウスのようなデジタルミュージックから、ロックンロールをしているピグミーのバンドや、70年代の古いコンゴのスタンダードをサンプリングしたテクノのような新しいクリエイターなど、今までの古い流れとはまた違った新たな変化の流れがキンシャサの音楽シーンにもきている。

初めてリリースされた曲名は”Tokoliana”、直訳すると私達は食べ合っている、という意味。
コンゴをはじめ、世界には常に戦争があり、人類は殺し合いが絶えない。世界の不条理は弱者にそのしわ寄せが来る。特にコンゴは国民のほとんどが貧困に喘ぎ、人生は厳しく、苦労している。私達はこの貧困生活をもたらした恐ろしい社会、人々に対して抗議をしています。音楽、パフォーマンス 映像などを通し、この社会の変化を動かす一歩になれるよう動いています。それが”KOKOKO”の大きなプロジェクトなのです。
                        kokoko インタビューより

 限りなく反復されるフレーズは、この空間にダイナミズムを描きながら、人々に語りかける。                  そしてそれは、身体の中に流れ込み心の奥底に潜むものを呼び覚ます。 これをトランスリズムと言う。アフリカの原点だ。


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