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【Prologue】はじまりの終わり


やっと…

終わった…。

2022年3月22日から取り組みはじめてから約2年。私は、ようやく『革命物語(仮)』の最終項目【いざ修羅場へ!一生、少年ジャンプで生きてやる!】を書き終え、長い長い長い、革命の日々に終止符を打った。

目からは自然と涙がつーっと。

本当に…本当に長かった。もう、何度もムリだと思ったし、何度も途中で投げ出そうとした。でも、どう考えてもこの物語を書くということからは逃げることができなかった。なぜなら、この物語を書くということ自体が私自身に変化と新化をもたらすための「革命」だったからだ。

この物語を書き進めている間に、私は随分と変化した。仕事もプライベートも。なぜか、住む場所まで変わって現在は東京以外のとある土地に住んでいる。


書くことは、捨てること。


捨てると新しいものが入ってくるというのは本当だった。それを、私はこの物語を書くことで身をもって体験したような気がする。

それだけじゃない。

どうしてだか、物語を書き進めていくうちにネガティブな感情を抱いていたはずのモノ・コト・ヒトに対する「負の感情」が浄化され、嫌いという感覚がなくなっていった。あれほど文面では罵倒してもう2度と関わらないとかやらないと誓っていたのに、今はそういった気持ちが微塵もない。

不思議だ。

それにしても、本当に疲れた。もう、血がない。これ以上は書けない。少し、休みたい。

思い返せば、この作品に取り組んでからの約2年間、書いていない日も常に何者かに書くことを促されているような気がして気が休まることがなく、365日24時間考え続けていたような気がする。

だから、少しだけ…少しだけ休ませて…っていうか、もしかしたらこのまま死ぬのかも…パトラッシュ、疲れたろ。ぼくも疲れたんだ。何だかとても眠いんだ。パトラッシュ…。


最終項目を書き終えた夜、私は『フランダースの犬』のネロのように眠りについた。


もしかしたら、もう2度と目を覚ますことはないのかもしれない。と、エアフィーヴに沈み込みながら死を覚悟した瞬間、どこからともなくけたたましい音楽が聞こえてきた。


ファファファファーン!!!


ん?

え、何この音?

も、もしかして…これがあの有名な『革命のファンファーレ』というやつなのか?

パチッと目を開けて見ると、そこには緑の芝生と見たこともない青空が繋がっていて、ああ、これが天国ってやつか、と思った。

がしかし、天国の割には天使の姿も神様の姿も見当たらない。代わりにやってきたのは、真っ赤な赤いワンピースを着た小さな女の子だった。

胸には、"中村慧子"と書かれた「たすき」がかけられていて選挙活動のときの政治家のような感じのいでたちをしている。どうやらこの子は、5才のときの私らしい。昔、こういう格好をして演説ごっこをしていたことを思いだした。

5才の私は、まだまだ社会に言い足りないことがあるんだぞ!といった感じで眉毛をキリッとさせ、フォロミーと言わんばかりに手招きをしている。

私は、仕方なく重いカラダを引きずりながら5才の私の後についていった。


大きな扉。


5才の私は、自分の身長の10倍はあるであろう大きな扉にひるむことなくノックをし、ゴーッと開いたその中へと果敢にトットットッと入っていった。私も、躊躇しながらも必死でその後ろ姿を追いかけていった。


鏡の間。


私と私が入った部屋は、ベルサイユ宮殿の鏡の間を彷彿とさせるような左右両方の壁が一面鏡でできた細長い部屋だった。窓はない。かすかなロウソクの光でかすかに前方を歩く「私」の姿が見えるだけ。

ようやく部屋の暗さに目が慣れてくると、鏡の中にボワッと血だらけの人が現れた。


革命家だ…!


あの日、約6年前のいつかの夜に私の夢枕に現れた血だらけの革命家じゃないか!

いや…違う…。

これは…私だ!!!

七転八倒、紆余曲折。自分の人生を駆けずり回り、様々なモノ・コト・ヒトを自分のカラダから引きちぎりたびに流した血で真っ赤に染まった私自身の姿だ。そうか…あの日、私の夢枕に現れた革命家は私自身だったんだな…。

私が、未来の私自身がやってきて、私に…自分に革命を起こせと告げたんだだ…。

私は、そうすべてを悟った瞬間に涙が止まらなくなった。もう、顔もカラダも血や涙でぐちゃぐちゃだ。けれど、私が今まで流せなかった涙は涙ではなく、次第にほうっと薄白い光を放って全身を包み込み、私を、私の傷のすべてを癒していった。


私は、それを「再生」と呼ぶ。


私を包む再生の光は段々と大きくなり、遂には部屋全体を明るく照らした。恐る恐る、もう一度鏡の中をのぞき込んでみると、さっきまで真っ赤な血で染まていたシャツが真っ白に。そこには、白いシャツに黒のパンツといういつもの私が立っていた。


ファファファファーン!!!


目の前にたちはだかる真っ黒なドアの向こうから、再び、私を呼び覚ます『革命のファンファーレ』が聞こえてきた。

怖い。

私が、その未知の扉を開けられずにいると、その恐れを察知したのか5才の私がギュッと手を握り、真っ直ぐな瞳を向けながらコクリと頷いた。

私は、その瞳を見つめながら、そうだな、大丈夫だな、私は私としっかり手を繋いでさえいればどんなポジティブもネガティブも乗り越えていくことができるし、今までだってそうしてきたじゃないか!と思った。

そう、私は長い年月をかけて最初の一歩を踏み出す前の「最初の0歩」を踏んできた。

新しい自分になるまえの儀式を、逃げず、諦めずにやってきたんだ。


エイッ!


私は、重く軋む真っ黒な扉を勇気を持って私と一緒に開けた。怖くて、目を開けることができない。無音。何も音がしない。え、どうしよう!?


と、思った"時"だった。


ワァーッ!といった歓声が上がり、カーテンコールのような拍手がどこからともなく聞こえてきて会場に反響していた。その嵐のような喝采に思わず目を開いてみると、どうしてだか私と私は手を繋ぎながら舞台の中央に立っていて、真っ白なスポットライトを浴びていた。

まぶしい。

拍手は、まだ鳴りやまない。よーく目をこらして会場中を見渡してみると、客席には…なんと!今までの人生で関わってきた人たちが!全員、満面の笑みで私と私に熱い視線を送りながら拍手を送ってくれているではないか!

ポジティブな関わり方をした人も、
ネガティブな関わり方をした人も。

みんな、笑顔で迎えてくれている。そうか、一見、ネガティブに思えた出逢いも、すべては私を"ここ"へと導くための「悪役」を演じてくれていたキャストの1人だったんだな…。人生で出逢う人に、良い・悪いなんてないんだ。

一番後ろの席に目を向けてみると、
そこには亡くなったはずの祖父母の姿が…。

私は、必死で涙をこらえた。が、ムリだった。泣きながら舞台の真ん中で立ち尽くしていると、5才の私がツンツンと手をつつき、私に舞台の花道を後方の扉に向かって歩いていくようにと促した。

私は涙をふき、私に手を引かれながら一歩一歩ゆっくりと花道を歩きはじめた。

すると突然、客席の前方から「おかえり」という掛け声が飛び出し、その掛け声は1人2人5人10人と増えていって次第に拍手よりも大きな喝采となって私と私を飲み込んでいった。

そして、花道の後半に差し掛かると徐々に「おかえり」が「いってらっしゃい」に代わり、これまた大きな大きな新しい扉が目の前にボワンと現れた。


また、扉か…。


私が、そう呟きながら一瞬怯んでいると、「誰か」が背後から肩をトントンと叩いて"こう"声をかけてきた。


「そなたが落としたのは…金の鉛筆か?それとも、MacBook Air 13.3インチのゴールドか?」


き、きんのえんぴつぅ!?

そ、それって…あの宣伝会議コピーライター養成講座で課題の優秀者に贈られるあの金の鉛筆ですか!?ほ、欲しい…卒業した"今"でもあの金の鉛筆は喉から手が出るほど欲しいです!


でも…


私は、金の鉛筆の誘惑を振り払い、声のするほうへと振り返り、覚悟を決めて答えた。

「どちらも、私のモノではありません!私が落としたのは…っていうか、私が持っているのは真っ黒なLet's noteです!ホントは、Macのほうがおしゃれだからそっちのほうがビジュアル的にはいいんですが、書くとなったらキーボードの音的にレッツノートじゃなきゃダメなんです!」

「ほほほ。正直でよろしい。では、正直者のそなたにはこの王冠を授けよう」


再び、ファンファーレが鳴った。


と同時に、会場の暗がりから神様…か…?とりあえずなんかよくワカラナイけど、どう考えても神様っぽくないヨレヨレの白いTシャツを着た神様が登場してきて、私に王冠を授けようとしてきた。なんていうか、ナポレオンの戴冠式の絵のパロディのようである。けれど、私は知っていた。


この王冠のことを
「天命」と呼ぶのだということを。


やりたいとか、好きだとか、そんな概念を超えている。もう、自分の意志ではどうしようもない。私は、神の意志を自分を通して成すしかない。


そうだ。


私は、書かなくてはいけない。

私が、自分自身に革命を起こして自らの「天命」に気づいたように、後に続いていくであろう革命家たちに伝えなくてはいけない。

だから、

私が次に書くべきタイトルは…



『●●●●●●●●の●●●』だ!



さぁ、はじめよう!

私の物語は"ここ"では終わらない。この物語にはカーテンコールも「完」という一文字もエピローグもいらない。私は今、ここからはじまるから。

新たな扉の向こうには、
私を待っている人がいる。

もう、迷っている暇はない。私はこれから、私と一緒に革命を起こしていくのだから…!


今、革命のとき

自分の天命を受け入れ
神の意志に耳を傾けるとき

自意識を捨て
この身を捧げる"時"が来た

真っ赤な血をすべて流し、
真っ赤な大輪の花を咲かせよう

今、革命のとき

今、革命のとき…!












※この物語は99.9%ノンフィクションです。




最初から観る

ここで問題です。私、中村慧子は、いただいたサポートで「何を」するつもりでしょうか?①革命を起こす②冒険の旅にでる③野心に正直に生きる。Let's think!