アメリカでのトレーニング第12回 「プエルトリコ合宿その2」

先週に続いて、アメリカの大学水泳部と一緒に行った、プエルトリコでの合宿のことを書いていこうと思う。相変わらず突込みどころは満載。
 1月7日、この日の午前中は練習オフ。みんなで観光にいくことになった。行き先は熱帯雨林。国立公園、みたいなとこだと思う。
 ホテルからバスでおよそ1時間。ガイドのおばさんがプエルトリコの歴史みたいなのを話していた。
 広大な森に到着。珍しい植物を触ったり、山を上ったり、川に入ったり、滝を登ったり、とりあえず無傷で帰ってこれたことが奇跡に近い。コーチも容赦なく滑る岩場とか歩かせてくるし。

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 昼食は屋台みたいなところで、プランティーノというバナナみたいなやつとか、蛸や海老をパンに乗せたやつとか、とりあえずここぞとばかりに地元っぽいものを食べた。今日を逃すとまたハンバーガー生活に戻ってしまう。
 ココナッツウォーターも飲んだ。ココナッツの実に穴を開けて、ストローで中の水を吸う。ココナッツって大きいのな。全部飲みきるのに苦労した。

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 午前中がお出かけだったので、完全に今日はそういう飛騨と油断していた。そういう日というのはつまり、午後もプールには行くけれど、リレーとかやってわいわいするものだと思ってた。違った。
 午後の練習は、合宿で一番の目玉であり、もっともきつい毎年の伝統トレーニング、five miles set。1500mを5本という、根性練習いがいの何者でもない思い出作り。
 そういうのって普通最終日にやるものだろ。常識が通用しないのか、俺が常識知らずなのか。
 きついし腹減ったしのどか沸いたし足つりそうだし。ゴールしたら参加者の中で一番遅かったみたいで、全員から暖かい拍手をいただいた。お待たせしました。

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 1月8日、完全に昨日のダメージが残っている。
今日は午前中に練習をして、午後はほんとうの完全オフ。チームとしての行事も入っていない。みんなそれぞれ、買い物に行ったり、海に行ったり、部屋でゆっくりと過ごしていた。
 俺はというと、語学学校で一緒に勉強していた友人の中に、プエルトリコ出身のdeborahという学生がいたので、連絡してみたら会いに来てくれた。たまたま帰省していたみたいで、1時間ほどかけて車できてくれた。語学学校は世界中に友達ができるので悪くないところだ。
 まずは昼食。さすが地元の人間、アメリカ人はぜったいに選ばないような、定食屋みたいなとこに連れて行ってくれた。名前忘れたけど、豚肉を揚げたやつがすごくおいしかった。
 久しぶりにゆっくりした英語を聞いた。この数日はアメリカ人が高速でしゃべる下ネタばかり聞いていたので、なんかほっとした。
 スーパーにも連れて行ってもらって、お勧めのお土産も買えた。半日のオフは充実していた。
 俺が知らない女子と歩いていたから、大学生たちは、「おまえTinder(マッチングアプリ)でひっかけただろ」といわれた。なんでそうなるんや。

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 1月9日、この日が練習は最後。
 午前と午後の練習を無難にこなして、夜はホテルでピザをオーダーして、大広間を貸しきってのパーティー。
ここで、1年生は全員、皆の前でダンスを披露するという、これも伝統儀式が始まった。どうやら俺も「初参加」なので、1年生扱いらしい。
 これはまずい。ダンスというのは、経験者でなければアジア人にとって最大の危機だ。
「無理だよ、だって、俺、絶対変だし」と抵抗したが、「ダンスとは変なことをすることさ」と丸め込まれた。
 頼れるMcKenzieからいくつか振り付けを習っていざ出陣。これがもう、見えないししゃべれない日本人という圧倒的マイノリティのおかげで、何をやっても大歓声が上がる。これはこれで気分がいい。
 その後も次々と1年生がもちねたを披露していく。歓声もどんどんヒートアップし、文字通りどんちゃん騒ぎになっていたそのとき。
 「静かにしてください」
 怒られた。ホテルのフロントから起こられた。
 ここプエルトリコだぞ。もともとめちゃめちゃうるさいとこだぞ。みんな騒ぐことがすきな民族だぞ。そこでうるさいって怒られるってどんだけやねん。コーチが謝罪に向かった。

 1月10日、合宿最終日。帰る前に皆で海に行って、およそ1キロほど泳ぐ、いわゆるオープンウォーター。
 見えない俺が一人で泳ぐと確実に迷子になるので、おそらくチームでもっとも泳ぐのが速いであろう屈強な男が、ガイドしてくれることになった。
 お互いの腰をゴムチューブでつないで、そいつに引っ張られるように泳ぎだした。
オープンウォーター、めちゃめちゃ難しい。
 容赦なく押し寄せる波に流されてすぐに方向が分からなくなるし、泳ぐペースも合わないとタイミングがぐちゃぐちゃになるし、普通にめっちゃ水飲むし。
 泳ぎながら、結論を出した。俺は何もせずに、ひたすら彼に引っ張ってもらうのが一番速い。余計なことをするとむしろ迷惑だ。すまないが、頼んだ。
 こうして、分からないことだらけの合宿が終わった。
 次回からは、過酷な冬の様子を書いていこうと思います。



#水泳 #パラリンピック #アメリカ #トレーニング #留学




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