アメリカでのトレーニング第9回 「秋!祭りの季節」

 秋は行事が盛りだくさん。
 まずは10月31日、ハロウィン。本来はこどもたちのためのイベント。渋谷で大学生が騒ぐためのものではない。
アメリカの大学生で仮装パーティーにいくやつはあまりいない。普通に食堂で、普通のご飯食べてた。「パーティーとかないの?」って聞いたら、「もうそんな年じゃないから」とばかにされた。そういうものらしい。
 一方で練習はハロウィンスペシャル。
一人ずつくじを引いて、そこに練習メニューが書かれている。もう、やる前から大盛り上がり。俺が引いたのは、1500mのブロークン。めっちゃきついのひいてしまった。
ちなみに他には、
・400m個人メドレーを5本
・パワーラック(とんでもなく重たいおもりを引いて泳ぐ)
・ジャグジー30分
などがあった。ジャグジーに当たらなければ基本きつい。来年はジャグジーひくぞ。

 語学学校もイベントがたくさんあった。
 まずは遠足。行き先はトウモロコシ畑。どんな田舎に行くんだと思ってたら20分でついた。
そして、見事なまでのトウモロコシ。ほんとにもう、トウモロコシだらけ。トウモロコシは成長すると2から3mぐらいの高さになる。それが壁となって延々とつらなり、およそ4キロにわたる迷路を作っている。お見事。
corn mazeという、立派な秋の風物詩らしい。しかも、迷路はかなり難関で、畑に設置されたチェックポイントを10箇所クリアしないといけない。めっちゃ歩いた。

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ちなみに前日に食堂でCharmiにあったときに、「明日は遠足でcorn mazeに行くんだ」と言ったのに、発音が悪くてcornをなかなか聞き取ってもらえなかった。
俺は半年アメリカにいて、cornも言えないのかと落ち込みそうになったけど、きっと外国人はトウモロコシ、なんてきれいに発音できないだろうから、まあいいことにした。

 次は、大学全体の遠足としてニューヨークに行った。ニューヨークはボルチモアから車でおよそ4時間。土曜日の午前6時に学校を出発、ノンストップで走り続け、タイムズスクエアの真ん中で下ろされて、8時間の自由行動をして、午後11時に学校に戻ってくるという、まあできないことはないけど、無理しすぎだろって感じの日帰り旅行。
 土曜日は本来練習がある日だが、前にMcKenzieが「明日はパーティーだから練習休みまーす」といって許されていたので、俺も「明日遠足だから練習休みまーす」って言ってみた。そしたら「明日は試合があるから最初からプール使えない日だよ」といわれた。勇気出して言ったのに。

 今学期からまた日本人が入学してきた。名前はあやかさん。ご主人がMBA取得を目指すことになったので、ボルチモアにやってきたらしい。
 アルゼンチンに留学経験があり、スペイン語も話せるので、南米出身の留学生とすぐに仲良くなっていた。で、仲良くなりすぎて猛烈な宗教勧誘にあっていた。
「木村君も気をつけてね」といわれたが、幸か不幸か、俺はそこまで彼らとうまく話ができていないので、今のところ大丈夫。

 ニューヨークはあやかさんと、ご主人のよしさんと散策した。
とりあえず9.11メモリアルに行った、一応俺の誕生日。あと、新しい靴買った。

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よしさんがスニーカーに詳しかったので、一緒にナイキショップに行った。よしさんもほしそうにしていたが、「嫁にプレゼンをして、承認を得ないと買えない」と言って断念していた。パワーバランスを垣間見た。一流大学から大企業、海外駐在を経て、さらにMBAを取って大きな夢に向かっているエリートも、奥様にはかなわないらしい。

 さらに、語学学校ならではのイベント、culture day!
留学生がそれぞれ、自分の国の物をもちよって紹介するという祭り。
俺とあやかさんが、日本を代表して、おりがみとか箸とかハイチュウを紹介しておいた。ガムのような食感なのに飲み込むことのできるハイチュウは、なかなか好評だった。これが日本、というか森永の実力じゃ。
ディレクターのMBが「これも飾ろう」と、オフィスからこいのぼりを持ってきた。
なんでそんなもの持ってるんだ。そして、みんな「この魚はどういう意味?」と聞い てくる。知らんわ。
 Culture dayでは、みんなそれぞれ気合を入れて祖国を紹介していた。サウジアラビアは人数も多いので、がんがん料理を振舞っていた。タンザニアとかバルバドスのテーブルには、手作りっぽい楽器とか動物の置物が並んでいて、民芸品を売ってる現地の露天みたいになってた。ゾウの置物ちょっとほしくなった。
 最後は、最大のイベントThanks Giving!
ボルチモア在住日本人のれいこさんに、盛大なパーティーにご招待していただいた。
最小限の荷物で渡米してたけど、ジャケットもってきててよかった。
場所はれいこさんの語主人、トムさんの兄弟の家。トムさんは8人兄弟。ものすごい大家族。甥っ子やら姪っ子やらその彼氏彼女友達…と大集合。60人ぐらいはいたと思う。
大変おこがましいが、トムさんれいこさん夫妻の友人枠で、上原投手一家と一緒に招待してもらった。

このパーティー会場が、もう、人の家とは思えない。
広さは60エーカー(アメフトコート60面)。
敷地内にはアメフトフィールド、プール、キャンプファイヤーできるとこ、馬小屋(馬はいない)、ゴルフの打ちっぱなし、地下には体育館、ジム、映画館。とりあえず思いつく贅沢は何でもある。
 夕食は馬小屋で振舞われた。馬小屋っていうか、ようは巨大なカフェテリア。
ここでついに、上原投手ご本人と対面。久しぶりに人に会うのに緊張した。たぶん上原投手に肉を切ってもらった人なんて、家族の他には俺しかいないと思う。
アメリカ生活のことや野球のこととかを、すごく気さくに、そして関西弁でたくさん話をしてくださった。
 印象的だったのは、「日本シリーズも取った。ワールドシリーズも取った。WBCも取った。でもまだ、オリンピックで優勝してないねん。だから俺、オリンピック出たいねん」という、野球に対する半端内貪欲さ。恐れ入った。

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 次回は12月、日常生活のことや、真冬の大会に出場したときの話を書きたいと思います。

#パラリンピック #水泳 #アメリカ #トレーニング #留学


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