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死力を尽くした最高峰の激突が迎えた、“たられば”のない結末。CLレアル・マドリー対マンチェスター・シティ分析

こんにちは。

国内外の最先端のサッカーを扱う専門誌『footballista』に、CL準々決勝レアル・マドリー対マンチェスター・シティの2試合のレビューを寄稿しました。


記事の小見出しは以下の通りです。

第1レグ:ロドリゴ左SH起用の背景と機能したハイプレス
第1レグ:ストーンズが本領発揮。シティの修正で押し込まれた後半
第2レグ:100点満点だった立ち上がりの15分
第2レグ:唯一の勝ち筋は
おわりに

今回の記事は、昨シーズンのCLラウンド16リバプール戦第1レグ以来、noteの記事も含めればラ・リーガ第24節ジローナ戦以来の純粋なマッチレビュー記事となっています。2試合それぞれのピッチ上で起きた現象が互いのどのような戦術的、戦略的意図によって引き起こされたのかを考察しました。

(シティ戦を含む過去のマッチレビュー記事はこちら)


この紹介記事を書きながら思考を整理していて、改めてマッチレビュー記事を書くときに注意しなければいけない点について思い至ったことがあるので、自身への戒めの意味も込めて書き残しておきたいと思います。

マッチレビューとは、現象の(実況)解説ではない

ということです。

具体を説明した方がわかりやすいと思うので、今回のマドリー対シティの第2レグを例に挙げます。

この試合は、延長戦も含めた120分間のほとんどをマドリーのブロック守備をシティがどう崩すか?という局面が占めていました。このピッチ上で起きた現象を見て、マッチレビューを書き始めた当初の筆者ならば、まずマドリーのブロック守備はどのような戦術(意図)で、シティの崩しはどのような戦術(意図)なのだろうと考えていたと思いますし、今でもそれは自然なことだと思います。

それはそれで当然ながら大事です。マドリーはアーリング・ハーランドへの対応、両ウィングへの対応、チャンネルの管理、この辺りをしっかりと設計して試合に入ったと考えていますし、シティも再現性のある崩しの形からチャンスを何度も作っていました。

しかし、カルロ・アンチェロッティは試合後にゲームプラン通りにはいかなかったと述べています。筆者自身はというと、試合前にシティのハイプレスをどう回避し、どうラインを下げずに守備を行ってどれほど押し込まれる時間帯そのものを短くできるかが大事、という趣旨の指摘をしました。

つまり、そもそもマドリーのブロック守備対シティの崩しが試合における支配的な局面となったのは、マドリー視点で言えばプレス回避、あるいはミドルブロック/プレス、ハイプレス(つまりより前方での守備)の局面に問題があった、あるいはその局面で相手に上回られたからだと考えられ、そちらの方が戦術的意図を考察する上で重要である可能性が高い、ということです。現象の(実況)解説をする前にまずはこちらを掘り下げることをしないとそもそも分析そのものを間違えることもありますし、現象のただ表層をなぞるだけのマッチレビュー(もっと最悪なのは、無理やり現象に理由付けをしていくようなマッチレビュー)になってしまいます。

もちろん、現象の(実況)解説がまったく重要でないなどということはないですし、どんな層をターゲットとするかや、文章そのものの読みやすさなどを考慮しながら複合的に情報の取捨選択をしていくことが求められると思います。マッチレビューだけでなく、より高度な自チームの考察や対戦相手のスカウティングを行う上でも非常に重要な視点だと思っています。


筆者は、前半のうちにマドリーのミドルブロックよりも前の守備をシティが攻略したところがこの試合展開に至った要因だったと考えており、あっさりと書いてはいますがそんなところに注目して読んでいただけると嬉しいです。

また、5月6日(月)にはサッカー分析の最前線、ということで筆者が大学院で行っている研究内容(「サッカーにおけるスペース評価に基づく攻撃時の選手配置評価」)を紹介する記事が公開されます。こちらもぜひ。


最後までお読みいただきありがとうございました!


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