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CSRの"C"の意味 20220510解説

不正ニュースは尽きない

デイリーSDGsニュースではほとんど取り上げていませんが、実は「不正」に関するニュースも毎日ウォッチしています。
そして、毎日「不正」に関するニュースが絶えません。やろうと思えばデイリー不正ニュースだって、できます。

この2-3日だけでも、こんな感じです。

謝罪にかすむ好決算 40年不正で崩れた「新生三菱電機」の筋書き

日本製鋼所の子会社で検査不正 98年からデータ書き換え

出光子会社、ガソリンなど12品目で品質検査不正

それにしても、40年、24年、5年、長年にわたる不正が多いですね。数年前の事案ですが、こちらも。

神戸製鋼不正 「40年以上前から」元社員ら証言

不正の「温床」とは

40年といったら、大学新卒22歳で入社して、60歳定年で退社するまでの38年より長い期間です。
「いや、実は君が入社する前から今まで、ずっとこの不正が行われていたんだよ」なんて知らされたとしたら、、、
自分はまったく潔白であるとしても、生涯賃金のなにがしかは、その不正に由来するということになり、お世話になったあの上司・この先輩も関係者だったの?となるわけで、何ともいたたまれないというか、やるせない心情にならざるを得ないでしょう。

では、不正事案に手を染め(続け)た当事者は、極悪非道、根っからの犯罪者、倫理観ゼロ、、、の人々なのでしょうか?

・・・といえば、おそらく、ほとんどの場合、そうではないでしょう。

1人ひとりの個人としてみれば、善良なる子であり親であり、「嘘つきは泥棒の始まりだよ」と教わり、自分も教えてきたことでしょう。

しかし、、、「あってはならないこと」が、日々、起き続けているわけです。

制度、組織、風土、慣習、上下関係、マネジメント、ガバナンス。いろいろ要因はあるのでしょうけれど、結局のところ、

■業務上の影響力:法人の行動規範>個人の行動規範
 かつ
■社会的望ましさ:法人の行動規範<個人の行動規範

の状態である場合に、不正が生まれる「温床」があるのでしょう(前者は、そうでないと組織としての体を成さないでしょうから、実質、後者が問題)。
制度、組織、風土、慣習、上下関係、マネジメント、ガバナンス等々を改善する再発防止策をいくら講じたとしても、上記の状態が変わらなければ、やがて「再発」してしまうのは避けられないでしょう。そして、そのニュースもまた、尽きません。

CSRの"C"の意味を考える

そこで、CSR(企業の社会的責任)の出番となるわけですが、このとき、C(Corporate)は、「企業の」よりも、「法人の」と訳した方が意味合いが明確だと考えています。

「個人の」社会的責任に対する考え方と「法人の」社会的責任に対する考え方の間に、「ギャップ」がないようにガバナンスしましょう、そうしないと、不正が生まれる「リスク」があり、それが現実化すると、財務的に大変なことになってしまいますよ(会社自体が消滅することだってありますよ)、というのが、CSRのキモではないかと、思っています。

CSRのSRの方(何をやればいい、何をやってはいけない)に目を奪われがちですが、その判断基準は、その企業(C)が経済活動を行う社会(S)が決めるもので、突き詰めると、その社会(S)を構成する「個人の」考え方に左右されます。

ですから、

「個人の」社会的責任に対する考え方と「法人の」社会的責任に対する考え方の間に、「ギャップ」がない

ことが重要です(なお、「法人」の方が、「広く・高い」という「ギャップ」であれば、それで社会的には問題はないでしょう)。

何十年という、なが~~~い目で見ると、この「ギャップ」は埋められる方向にあり、また、「法人の」社会的責任に対する社会の要求は「広く・高く」の方向にあるという一貫した傾向にあるはずです。

一言で言うと、「外部不経済の内部化」です。

ここ20年ほどは、それがCSRやESG、そしてSDGsなどの概念が示されたことでわかりやすくなり、かつ、その傾向をさらに強化する作用を働かせるようになったのです。

サステイナブル歴30年の眼(筆者プロフィール)


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